「横紙破り」の意味と語源とは?使い方と類語や英語表現も紹介

「あの上司の『横紙破り』(よこがみやぶり)には迷惑している」というボヤキを、職場で耳にすることはありませんか?「横紙破り」が迷惑な行為であることは充分察せられますが、具体的にどのような行為を「横紙破り」というのでしょうか。この記事では、「横紙破り」の意味がよく分かる語源や使い方のほか、類語や英語表現も紹介しています。

「横紙破り」の意味と語源

「横紙破り」の意味はわがままを通すこと

「横紙破り」は「よこがみやぶり」と読み、意味は「我を押し通そうとすること・人」です。傲慢な様子や横柄な行動など、自分の思い通りのことを無理に押し通そうとすることや、そのような振る舞いをする人を指します。「横紙破り」を縮めて「横紙」、あるいは「横紙裂き」ということもある言葉です。

「横車」や「横柄」などの熟語が示すように、「横」という文字には「道理に従わない」「勝手気まま」という意味があり、「横紙破り」も事情や状況を顧みず意のままに振る舞うことや、そのような人のことを表しています。

「横紙破り」の語源は和紙の性質

「横紙」とは横長の紙という意味ではありません。紙は原材料に含まれる繊維を流しながら製造するため、繊維が一定の方向に沿って並行にそろい、これを「漉き目(すきめ)」と呼びます。

多くの場合、紙は漉き目を縦にして使うもので、横長の巻紙や障子紙などでも漉き目は縦に入っています。そのためシワをつけずにきれいに巻くことができるのですが、漉き目を横にして使うことを「横紙」いいます。つまり「横紙破り」は、紙の漉き目どおりではなく、横方向へ破ることをいう言葉です。

和紙の繊維は洋紙に比べるととても長いため、薄くても大変丈夫です。日本紙幣の主な原料は和紙ですが、1万円札の寿命は4~5年もあります。ちなみに海外紙幣の原料は洋紙ではなくプラスチックが多いようです。

かなり丈夫にできている和紙ですが、漉き目通りに破るとすんなりときれいに裂けていきます。一方繊維の横方向から破ろうとするとなかなか破れず、無理に力を入れると縦方向に裂け目が走ってしまうのです。このような和紙の性質から、無理を押し通そうとすることを「横紙破り」というようになりました。

「横紙破り」の使い方の例文

「横紙破り」の使い方を示す例文を以下に挙げます。

  • うちの社長は自分の言動を「横紙破り」ではなく、「上意下達」だと思っているようだ。
  • 御曹司の「横紙破り」な言動を諌めようとした上司が、更迭されてしまった。
  • 「横紙破り」にしか思えなかった外国人社長の方針が功を奏し、経営危機を脱することができた。
  • 斬新さと「横紙破り」を履き違えたのか、とんでもない企画が提案された。

「横紙破り」の類語

「横紙破り」の類語は 「横車を押す」

「横紙破り」の類語にはさまざまなものがありますが、「横車(よこぐるま)を押す」は意味合いや語源の類似性が強い慣用句です。「横車」とは、前後に進むようにできている車を横から押して動かそうとするような、道理に合わないことをしている状態を指す言葉です。

「横車を押す」で、道理に合わない理不尽なことを押し通そうとすることを表しており、「横紙破り」に大変近い慣用句です。なお、「横紙破り」は行為・人の両方に使えますが、「横車を押す」は行為のみに使います。

「ごり押し」「無理強い」も「横紙破り」の類語

「ごり押し」や「無理強い」も「横紙破り」の類語です。いずれも周囲の状況や事情に配慮することなく、自分の思い通りに事を進めようとすることをいいます。「ごり押し」や「無理強い」も強引に自分の意見を押し通すことを指す言葉ですが、意見そのものが必ずしも道理に合わないとは限りません。

「横紙破り」では、道理に合わない意見を強引に押し通すことを意味しており、この点の違いを押さえておく必要があります。

「横紙破り」を英語でいうと?

英語表現にも存在する「横紙破り」

和を尊重する日本とは異なり、英語圏においては自説を主張することは是とされるものです。しかし、「横紙破り」に相当する以下のような言い回しが存在しています。

  • acting illogically
  • unreasonably obstinate
  • have one’s own way against all reason

「acting illogically」は非合理な行動、「unreasonably obstinate」は「不当に頑固な様子」、「have one’s own way against all reason」は「大勢に逆らってわが道を行くこと」を表しており、いずれも「道理に逆らう」という意味と「譲らない強硬な姿勢」という意味を含んだ言い回しです。

まとめ

「横紙破り」の読み方や意味と語源のほか、類語や英語での表現、使い方を示した例文などについて紹介しました。ある程度の地位を得ると、周囲が遠慮して本当のことや反対意見を言ってくれなくなりがちです。

その結果、「横紙破り」な言動でも許されることが多くなり、横暴な言動がエスカレートしてしまうようになります。地位が高くなるにつれて、周囲がさらによく見えるようになる人物でありたいものです。