「機を見るに敏」の意味とは?語源や類語と対義語なども紹介

「機を見るに敏」という言葉は、ビジネスチャンスを逃さない有能な営業マンや戦いを勝利に導く智将をイメージさせます。しかし「機を見るに敏」は単に鼻が利いたり勘が働いたりするだけではないのです。この記事では、「機を見るに敏」の意味と語源の解説に加え、類語や対義語なども紹介しています。



「機を見るに敏」の意味とは?

「機を見るに敏」の意味はチャンスに敏いこと

「機を見るに敏」とは、好機をすばやくつかみ的確に行動することです。「機」には兆しや折(おり)という意味があり、ちょうど都合のよい状況や時期のことを指しています。

「敏」は「敏捷」や「鋭敏」という熟語からもわかるように、動作や頭の働きがすばやいことを示す文字です。まとめると「機を見る」ことに「敏」であることとなり、好機を見て取ることに敏捷であるという意味合いがあります。

「敏」とは素早く行動すること

「機を見る」は、好機を見逃さないことやタイミングを見計らうことという意味がありますが、すばやく行動に移すという点についてまでは言及されていません。しかし、あとに続く「敏」に行動や頭の働きがすばやいという意味があります。

適期をいち早く見て取ったうえで、すかさず的確な行動をとってこそ好機を逃すことなく活かし切ることができるのです。したがって「機を見るに敏」は、好機をすばやくつかむだけにとどまらず、的確な行動をとることまでを含んだ言葉です。

行動あってこそ好機を活かせる

「機を見るに敏」には、ただ鼻が効くだけでなく、見て取った好機をすばやく的確な行動によってものにするところまでが含まれています。つまり、単なる傍観者や批評家で終わっているような人に対して「機を見るに敏」であるということはできません。

実際にチャンスを活かせる「機を見るに敏」な人は、いち早く察知した好機をそのまま見過ごすようなことはせず、的確な行動をすばやく起こして成果を手に入れるのです。

「機を見るに敏」の語源とは?

「機を見るに敏」の語源は『論語』

「機を見るに敏」の出典や語源は、明確ではありません。しかし『論語』のなかの一文にある「君子欲訥於言、而敏於行」が「機を見るに敏」に近い意味を持っています。

日本語では「君子は言に訥にして行ないに敏ならんと欲す」と読み、現代語に直すと「徳ある人は、多弁を弄するより敏捷に行動する人物でありたいと願っている」という意味になります。

『論語』のなかにはほかにも似たような意味を持つ一文として、「敏於事而慎於言、就有道而正焉」も見られます。「事に敏にして言に慎み、有道に就きて正す」と読み、「行動は機敏で言葉は慎重で、徳の高い人について自らを正そうとする」という意味合いです。

いずれも不言実行を理想とする孔子の主張が色濃く反映されていますが、君子の徳目としてに「敏」に重きが置かれていることがわかります。

「機を見るに敏」の類語

「機を見るに敏」の類語は「機に乗じる」

「機に乗じる」には、事のなりゆきをうまく見極め、状況に応じた行動をとるという意味があります。

状況や時流に合わせて適切に対応する「機を見るに敏」と同じ意味合いがあり、類語として使いやすい言葉ですが、「乗じる」という語句が使われていることから、「機を見るに敏」より積極的で能動的な行動力が伺える慣用句です。

「機に臨み変に応ず」は「機を見るに敏」の類語

「機を見るに敏」の類語として、「機に臨み変に応ず」が挙げられます。四字熟語の「臨機応変」としもよく知られた言葉で、その場に応じて適切な処置を行うという意味です。

時勢をつかむことと適切な行動をとることのふたつの意味を併せ持っており、「機を見るに敏」と同じ意味合いで使うことができます。

「当意即妙」も「機を見るに敏」の類語

「当意即妙」は、即座にその場に適した機転を利かせることを指す四字熟語で、気が利いていることや様子を表します。場に応じて即座に機転を利かせて行動を起こすということで、具体例としては石田三成の「三献の茶」が挙げられます。

もともとは、「あらゆるものがそのままで真理に適っている」という意味を持つ仏教用語の「当位即妙」が由来ですが、「位」が「意」に変わることで意味も違ったものになりました。

「機を見るに敏」の対義語

「機を見るに敏」の対義語は「杓子定規」

「機を見るに敏」の対義語としては、機会をとらえた適切な行動が起こせないとことを表す言葉が考えられます。その意味で「杓子定規」は「機を見るに敏」の対義語といえる四字熟語で、決まった考え方にとらわれてその場に応じて融通を利かせることができないことを示しています。

平時であれば「杓子定規」的な行動は無用な波風をたてることもなく効率よく物事が進んでいきますが、定型的でない出来事が勃発した場合、取り残されてしまうかもしれません。

「鈍重」も「機を見るに敏」の対義語

「鈍重」は、物事に対する反応が鈍く動作が遅いことを指す熟語です。「鈍」という漢字には「にぶい」「のろい」「切れ味が悪い」という意味があり、動作や頭の働きが遅いことを表し、「重」は重たいことを指します。

動きや働きが重い機に応じてすばやく反応する「機を見るに敏」のちょうど裏返しの意味を、「鈍重」は持っています。

まとめ

「機を見るに敏」の意味と語源をはじめ、類語や対義語なども紹介しました。せっかくつかんだ好機を活かせるかどうかは、その後いかに的確かつ敏捷に行動できるかに掛かっています。

「敏」は君子に求められる徳目でもあり、一般人が到達することは難しいようです。しかし、日頃から小さなアウトプットを繰り返して行動力を高めておけば、大きなチャンスが訪れたときにいち早く動き始めることができるかもしれません。