「衆生」の意味や由来とは?「衆生救済」や類語・英語も解説

「衆生」とは簡単に言うと「すべての生き物」という意味の言葉です。日常会話ではあまり登場しませんが、「衆生の恩」や「一切衆生」などの慣用句や四字熟語で知っている方はいるかもしれません。今回は「衆生」の意味やさまざまな表現、そして類語や英語表現も解説していきます。



「衆生」の意味とは?

「衆生」の意味は「心をもつすべての存在」

「衆生」の読み方は「しゅじょう」で、「心をもつすべての存在」や「一切の生き物」、「生きとし生けるもの」などという意味を持ちます。“すべての存在”には仏や菩薩が含まれていることもありますが、「人々(平凡な普通の人を指す)」という意味合いで使われることが一般的です。

「衆生」の由来はサンスクリット語

「衆生」の由来は、「存在」や「生き物」という意味をもつ古代インド・アーリア語に属する“サンスクリット語”の「サットヴァ(sattva)」だと言われてます。

「衆生」は日本では仏教用語

「衆生」の範囲は六道(ろくどう)

日本では「命ある者すべて」をさした仏教用語として使われています。また「衆生」の範囲は、一般的に以下の「十界(じっかい)」と呼ばれる“全世界を構成している10の世界”のうち、“悟り・解脱”を得ていない「六道(ろくどう)」だと言われています。

【十界】
▽六道(輪廻する世界)▽ ※これが衆生の範囲

  • 「地獄道(じごくどう)」→ありとあらゆる恐怖に苦しめられた世界
  • 「餓鬼道(がきどう)」→飲食に自由がない飢えと渇きに苦しむ亡者の世界
  • 「畜生道(ちくしょうどう)」→悪業の報いとして死後生まれ変わる世界
  • 「修羅道(しゅらどう)」→怒りや争いが絶えない世界
  • 「人間道(にんげんどう)」→人として存在している世界
  • 「天道(てんどう)」→生前に道徳的によい生活を送った者“天人”の住む世界

▽四聖(天台宗において六道に付け加えられた4つの世界)▽

  • 「声聞界(しょうもんかい)」→仏の教えから部分的に悟りを得ている
  • 「縁覚界(えんがくかい)」→さまざまな物事を縁とし、自らの力で部分的な悟りを得ている
  • 「菩薩界(ぼさつかい)」→仏の使いとして、見返りを求めず行動している
  • 「仏界(ぶっかい)」→悟りを開いている

「衆生」は4種の恩の1つ

「衆生」は、「四恩(しおん)」と呼ばれる“人間がこの世界で受ける4種の恩”の1つでもあります。分類方法はいくつかありますが、仏教経典8巻「心地観経(しんぎかんぎょう)」においては、「父母」「衆生」「国王」「三宝」の4つに分けられています。

「衆生」を使った表現とは?

「衆生の恩」とは「たくさんの人から受ける恩恵」

「衆生の恩(しゅじょうのおん)」とは、先ほど説明した“四恩”の1つのことです。たくさんの人から受ける恩恵をさしています。

「衆生済度」「衆生救済」は「衆生を悟りの世界に導くこと」

「衆生済度(しゅじょうさいど)」とは、生きとし生けるものすべてである「衆生」を迷いや苦しみから救い、悟りの世界に導くことを意味します。「衆生救済(しゅじょうきゅうさい)」や「衆生を救う」と表現されることもあります。

「一切衆生」とは「この世の生き物すべて」

「一切衆生(いっさいしゅじょう)」とは、この世に生きている生き物すべてを意味します。とくに人間をさす場合が多いです。「衆生一切」と表現されていることもありますが、正しくは「一切衆生」なので間違えて覚えないよう気をつけましょう。

「縁なき衆生は度し難し」とは「仏縁のない者は救えない」こと

「縁なき衆生は度し難し」とは、“どんなに慈悲を与えるという仏でも、仏縁のない者は救うことが難しい”ということを表している言葉です。この意味が転じて、“忠告を聞き入れない者は救いようがない”という意味でも使われます。

「衆生」の類語や類似表現は?

類語は「万人」「人間」

「衆生」の類語には、日常的に取り入れすい「万人(ばんにん)」と「人間(にんげん)」があります。「万人」は、“すべての人”や“多くの人”という意味をもつ言葉です。生きとし生けるものを意味する「衆生」をわかりやすく言い換えています。「人間」は、「衆生」の“人々(平凡な普通の人を指す)”という意味合いと似た言葉です。

似た意味をもつことわざは「猫も杓子も」

「猫も杓子も(ねこもしゃくしも)」は、“何もかも”や“誰もかれも”を意味することわざです。「衆生」には杓子のような心のないものは含まれていませんが、多くの存在をさす言葉としては似たニュアンスも持った言葉と言えるでしょう。

「衆生」の英語表現は?

英語表現は「living things」

「衆生」を英語にする場合、「生きている」や「生存者」という意味をもつ「living」を使って「living things」、または「all living things」と表現します。

「人々」という意味合いなら「people」

「人々」という意味として「people」も「衆生」を表現する単語として使えます。他にも“人間”や人類“を意味する「mankind」でも表現できます。

まとめ

「衆生」は仏教用語なため、仏教に精通している方以外はなかなか使う機会がない言葉です。日常語としては類語で紹介した「万人」や「人間」の方が理解してもらいやすく、使いやすさもあります。仏教について学びたい方は必須とも言える言葉ですので、意味を理解し覚えておきましょう。

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パーティーコーディネーターとして勤務後、10カ国以上で様々な文化を体験。帰国してからはライターに転職し、ライフスタイルからビジネスまで幅広く執筆しています。趣味は1人旅。好きな国はニュージーランドです。