「考える」の意味と敬語は?由来やメール例文を紹介!

「考える」はあれこれ思いを巡らせるという意味ですが、私たちは日常会話の中でとても便利に、いろいろな意味を込めて「考える」という言葉を使いわけています。ここでは、相手に「考えたい」「考えて欲しい」という気持ちを敬語で表現する方法や、もっとうまく伝わる類語などを例文を使って紹介します。

「考える」の意味と敬語

英語の「考える」が「think」だけでなく、「guess」「suppose」などシチュエーションによって使い分けられることからもわかるように、日本人は「考える」という言葉をさまざまな意図で使っています。敬語はおもに「考えられる・お考えになる・考える」などですが、場合によっては「考える」よりも別の類語に置きかえたほうが相手に伝わりやすいことがあります。まずは自分がどのような意図で「考える」を使いたいのかを判断し、適切な敬語に変換しましょう。

「考える」と「思う」の違い

「考える」のもっとも一般的な意味は、「自分の知識や経験をもとに、筋道立てて頭を働かせること」です。「思う」が心の働きを表す言葉であるのに対して「考える」は主に知的に分析することを表すときに用いられることが多いですが、そうでない場合もあります。日本語の「考える」がややこしい理由は、その由来を見れば分かります。

やまと言葉の「向かう」に由来する

「考える」の古語である「かんがふ(考ふ・勘ふ)」は、語源のやまと言葉「かむがふ(かうがふ)」が変化したものです。のちに大陸から漢字が入って「考」の文字が当てられ、意味も漢字に寄せられるようになりましたが、本来の日本語である「かむがふ」を漢字で表すと「か向ふ」となります。最初の「か」は「か細い・か弱い」と同じであまり意味のない発語(接頭語)ですが、「彼・処」を当てるという説もあります。

日本人の「考える」は「向き合う」こと

「向かう」の意味は「顔を向ける・近づく」が筆頭で、「考える」は「ふたつの物事の間で思いを巡らせると」と解釈することができます。明治時代に活躍したある文芸評論家によれば、日本語本来の「考える」は「知識をもとにあれこれ思い巡らす」ことではなく、「(自分が)ある事柄と向き合うこと」であり、向き合うとは「心を通わせる」という意味になるそうです。やや哲学的ですがシンプルで、妙に納得のいく解釈ではないでしょうか。

「考える」を敬語に変換する方法

改めて「考える」を敬語に変換してみましょう。それぞれのシーンによって、「謙譲語(自分が考える)」と「尊敬語(相手が考える)」を使い分けるのが敬語の基本ルールです。

尊敬語は「お考えになる」「考えていらっしゃる」

相手が考える場合は「お(ご)~になる」「いらっしゃる」などのパターンを使って、「お考えになる」「考えていらっしゃる」といいます。「お考えになられる」は二重敬語で間違いです。考えてほしいときは「お考え(になって)ください」「ご検討ください」ですが、目上の人に向かって敬語で「判断してください」と指示する機会はそれほど多くないので、こちらの依頼や提案に対して良い返事が欲しいようなときは「お考え」ではなく「ご検討(良く調べ考えること)」を使います。

謙譲語は「考えております」「存じる」など

自分が「考えている」ことを意見として述べたいときは、「いる」を謙譲語の「おる」に変え、「~と考えております」といいます。しかし、日本語には「考える」という行為を表す謙譲語が存在しないため、たとえば「良いアイデアをこれから考える」と敬語で言いたいときは、丁寧語の「です・ます」を使って「考えます(考えません)」のような表現になります。判断が付かず返答ができない場合は「考えさせてください」と依頼形に言い換えることもできます。

「考える」の類語を敬語に使う

日ごろ無意識に使っているためにあまり深く考えることはありませんが、「考える」の意味はひとつではありません。しかし、意味を振り分けてみるとで類語も明確になり、あとは敬語のルールを類語に適用するだけで敬意を表現することができるため「考えておきます」の敬語は?」と悩む必要もなくなるでしょう。「考える」には主に次のような類語があります。

  • 判断する・結論を出す・保留にする(解決法を考える・よく考えてからものを言え・考えておく、など)
  • 予測・想像する(常識では考えられない・考えていたとおりの展開だ、など)
  • 意図する・決心する(そろそろ独立を考えている・少しは先のことも考えろ・見返してやろうと考えた、など)
  • 思いを巡らせる・気遣う(クヨクヨ考えても始まらない・周りの迷惑も考えろ、など)
  • アイデアを出す・工夫する(新しいダイエット法を考えてみた・有効な活用法を考える、など)

「考える」に代わる熟語

「考える」は意味によって「検討・判断・考慮・高配・高察・拝察」などの熟語に置きかえることができます。尊敬語では「お(ご)~になる」や「~くださる」が一般的で、「れる・られる」はビジネス敬語としては難があり、たとえば「ご検討になられる」「お考えになられる」のような二重敬語になりやすいので避けたいところです。「拝察(はいさつ)」はポピュラーな書き言葉で、人の心中を察するときの謙譲語です。「ご拝察」とは言わないので注意してください。反対に、相手が察する場合は「ご高察」となります。

敬語の「考える」を使った例文

「考える」を口頭(話し言葉)で伝える

  • 日本の「裁判員制度」について、どのようなお考えをお持ちですか?
  • ときにはご家族やご自分のこともお考えになってください。
  • 今回の事故はそれほど深刻なものではないと考えております。
  • ご迷惑は重々承知しておりますが、もう一度ご検討いただけないでしょうか。

「考える」をメール(書き言葉)で伝える

  • 皆さまのご意見から拝察できるだけ早い問題の解決が必要であるとの結論に達しました。
  • ご両親におかれましてはお喜びもひとしおと拝察し、心よりお祝い申し上げます。
  • お客さまが仰せの件につきましては、ご高察のとおりかと存じます。

まとめ

「考える」は言葉自体がシンプルなので日常会話で使用するには便利ですが、いろいろな解釈ができるといった意味では粗さが目立ちやすい言葉だといえるため、敬語として使うには難易度が高いと感じるかもしれません。特に「考えておきます」などは使い方を間違えてしまうと礼を欠くどころか、尊大で幼稚な印象を与えてしまう恐れもあります。ビジネス敬語では無理をせず、類語を使って確実に思いを伝えるのもひとつの方法です。