IT業界でよく使われる「フルスタック」とは、複数の分野に精通したスキルを持つことです。この記事では、「フルスタック」の意味や使い方・例文などを紹介します。あわせて、IT分野以外で使われる「フルスタック」の意味についても解説しています。
「フルスタック」の意味とは?
「フルスタック」とはあらゆる分野に精通していること
「フルスタック」の意味は、あらゆる分野に精通していることです。主にシステムやWeb開発において、設計から運用まで一通りの工程を手掛けられる幅広いスキルのことを指します。アメリカのIT企業の求人募集から、業界に広まっていった表現です。
英語の「フル」と「スタック」を合わせた言葉
「フルスタック」は、英語の「full-stack」がそのままカタカナ語として定着したものです。「full」は「全部」「満たした」を、「stack」は「積み重ねる」などの意味があります。
Web・IT分野以外での「フルスタック」の意味
筋トレでの「フルスタック」とはマシンの負荷が最大
ジムなどに設置してあるウェイトマシンに備わっている、負荷を調節するためのプレートのことを「スタック」と言います。スタックに挿すピンの位置によって負荷が変わる仕組みです。
このマシンのピンをスタックをすべて使う位置に挿し、最大の負荷をかけることを「フルスタック」と呼びます。
基板の「フルスタック」はビルドアップ基板の構造
基板の「フルスタック」は、層を重ねることで省スペース化を実現したビルドアップ基板の構造のひとつです。
「スタック」は、層を接続するビアを直上に重ねたもので、「フルスタック」は、全層でビアを直上に重ねた構造のことを言います。
ギターアンプの「フルスタック」は3段積み
楽器用のアンプは、アンプ部(ヘッド)とスピーカーが一体のコンボアンプと、それぞれ独立しているスタックアンプがあります。
スタックアンプの中でも、ヘッドにスピーカーを2台重ね、全部で3段積みにしたものがフルスタックアンプです。フルスタックアンプは、大きな音量・音圧を好むプレイヤーに好まれています。
自動運転の「フルスタック」は車を全天候下で運転できるシステム
自動運転技術での「フルスタック」は、自動運転に必要な機能をすべて含んだシステムです。
自動運転は悪天候が苦手ですが、高度なセンサーやソフトウェアなどを搭載するフルスタック車は、あらゆる天候下で安全な運行ができます。
「フルスタック」の使い方と例文
「フルスタックに活躍」などと形容詞的に使う
「フルスタック」は、その状態を表す形容詞的にも使える言葉です。
開発ですべての工程に関わることを「フルスタックで開発」、あらゆる分野で活躍できることを「フルスタックに活躍」などと表現します。
「フルスタックエンジニア」とはすべての開発工程を担えるエンジニア
すべての開発工程を担当可能なスキルを持つエンジニアのことを「フルスタックエンジニア」と言います。
通常、開発は各工程をそれぞれ専門のエンジニアが担いますが、フルスタックエンジニアはオールラウンドにこなせる知識を持ち、効率よく開発を進められることが大きなメリットです。
例えば、Web開発では見た目や操作部分を扱うフロントエンド、処理を担うプログラムを扱うバックエンドやデザイン・運用マネジメントなど、一通りの業務を行えるエンジニアを指します。
ただし、何をもってフルスタックとするかの定義は明確ではないため、業務内容から判断する必要があるでしょう。
「フルスタック」を使った例文
- 弊社ではフルスタックに活躍したいというエンジニアを積極採用しています。
- 得意分野はデータベース設計ですが、今回の案件はフルスタックで開発に携わっているところです。
- フルスタックエンジニアの強みは、プロジェクトの課題を俯瞰的に捉えられることです。
「フルスタック」の類語・対義語
「フルスタック」の類語は「オールマイティ」「マルチロール」
「オールマイティ」とは、英語で「何でもできること」を意味する言葉です。「オールマイティに活躍」のように、フルスタックと言い換えられることも多くあります。
「マルチロール」は、複合的な役割を果たすことです。あらゆる業務や役職に対応できる人のことを「マルチロールプレイヤー」と呼びます。
「フルスタック」の対義語は「スペシャリスト」
「スペシャリスト」は、特定の分野や技術に精通している人のことを指します。
ただし、エンジニアについて言えば、フルスタックエンジニアであっても個々の部分ついてスペシャリストである人材も少なくありません。スキルの方向性を表すときに、フルスタックと対照的に使うことがあると認識しておきましょう。
まとめ
「フルスタック」は、あらゆる分野に精通することを意味します。フルスタックであることは活躍の機会が増える一方、器用貧乏に陥ってしまうことがある点に注意が必要です。まずはひとつの分野をスペシャリストレベルに極めたあと、知識や技術の幅を広げていくと良いでしょう。