リピーター続出の「月額制ヘッドスパニスター」りらましの唯一無二になる方法

今回インタビューするのはフリーランス美容師として活躍する、りらましさん。フリーランス美容師は増えていますが、彼が他の人と異なるのは月額制のヘッドスパを行なっていること。

人気インフルエンサーも続々と来店し、月額制で通うのは抽選制になるほどの大人気ぶりです。そんなりらましさんの今のスタイルを確立するまでの過程や、考え抜かれた戦略をお伺いしました。

転職を繰り返すも、やっぱり戻ってきたのは美容師だった

リピーター続出の「月額制ヘッドスパニスター」りらましの唯一無二になる方法

ーりらましさんはもともと美容師ではなく、製薬会社に勤めていたと伺いました。まずはフリーランス美容師になるまでの経歴を教えてください。

学生の頃から美容師への憧れはありましたが、高校卒業後は生活のために製薬会社に入社して働いていたんです。

社会人になってからも美容師になりたい思いは消えず、バイトもしながらなんとか学費を稼いで美容の専門学校に入学しました。

卒業後は念願の美容師として大手の美容室に入ったんですけど、1年もたたないうちに辛くて辞めてしまって。その後は美容業界から離れてWi-fiを販売する派遣社員として働いていました。

ーやっと念願の美容師になっても、辞めてしまったんですね。

でも、街中でガラス越しに見かける美容師さんたちが楽しそうで。Wi-fi販売員も1カ月たたずで辞めて、再び美容師に戻りました。

その後も美容室を転々とした後に、今所属しているシェアサロン「GO TODAY SHAiRE SALON」のオープニングスタッフの募集を見て、フリーランス美容師になったんです。

ーフリーランス美容師になるまでに、さまざまな葛藤があったんですね。美容室を転々とする中で、再び美容師を辞めようと思ったことはないですか?

それはないかなと。フリーランスになる前に美容室を転々としたのは、カット専門店で他の技術ができないのがつらかったり、お店の経営スタイルが合わなかったりと理由はさまざまで。美容そのものを嫌いになったわけではありませんでした。

ーりらましさんはヘッドスパを専門にしていますが、美容師の代名詞とも言えるカットをしない美容師さんは珍しいですよね。

カットは今でもあまり好きじゃないので、ほとんどしていません(笑)ヘッドスパの話をすると、私の手は大きくて荒れにくい手なので、以前から得意だったんです。そしてシェアサロンの社長から「毎日ヘッドスパを受けたい」と言っていただいたことをきっかけに、月額制のヘッドスパを始めました。

誰と比べても負けない1番になれる分野を作る

ー美容室はお客さん側がお店を選んで来店することが基本だと思いますが、りらましさんは自分が来てほしいと思った人を次々とお店に呼んでいますよね。何か秘訣はあるのでしょうか?まさかお金をもらっていないとか……?

素直に「来てほしい」って言います。どんなに思っても、言わなきゃ伝わらないので。もちろん、来てくれた方はみなさん、正規の料金をお支払いしてくださっています。

相手をランクづけをするわけではないですが、有名だったりすごい人だったりしても、自分を相手と同じステージまで高めれば来てくれます。

ーなるほど。そもそも自分の価値を高めるには、どうすればいいのでしょうか。

「相手のレベルが高いから来てくれない」のではなく、届いていないだけなんですよね。とはいえ、ただ私がSNSでメンションをつけて「ヘッドスパを受けに来てください」と言っても、流されて終わりです。

しかし、レベルの高い相手の仲が良い人やSNSをフォローしている人が私のことを発信していたら、レベルが高いその人も自然と自分を認知してくれるかもしれませんよね?

自分がその人に認知されたと思うタイミングで「来てほしい」と声をかけたら、「私も行っていいんだ」ってなるはず。自分の位置と相手の位置を見極めることが大事なんです。

ーすごい戦略的……!

私の場合、月額制ヘッドスパは他にやっている人がいないので既にトップなんです。だから他のところに行く選択肢はなく、私のところに来てくれるんですよね。

何万人といる美容師の中でカットやカラーでトップになるのはかなり難しい。でも、例えばピンクヘアで1番になるとか、分野を絞ったらトップになれる可能性はありますよね。まずはどこかの分野で1番になれば、自分の価値を最大限に引き上げられると思います。

ー初来店まではすごく戦略的でも、みなさん技術や接客に満足しているから毎月リピートされているんですよね。人気が絶えない理由はなぜだと思いますか?

現在、月額制ヘッドスパはトリートメント込みのコースでも月2万円です。だいたい4回来店なので、計算すると1回5,000円程度。

こちらはヘッドスパ後の状態

でも他のお店でヘッドスパとトリートメントをしたら1回で1万円を超えることも考えられます。しかもスタイリストを指名をしても、ほとんどアシスタント任せになってしまうのが実情。1回の施術で1万円もかかっていたら通うのも大変ですよね。

ーでもみんなが毎週通っていたら自分も気軽に行けるし、担当が変わらないのも安心できますね。

一般的な美容室が早朝から施術をする場合、開店時間前なので早朝料金で数千円がプラスになってしまうところもザラにありますが、私は24時間対応しています。

たまに仕上げでヘアアレンジをしたり、前髪を切ったりしてあげることもありますよ。もちろんどれも追加料金はなし。どこのお店と比べても私の方が安いので、月額料金を上げても、「やっと値上げするんだ」と言われるほどですね。

ー圧倒的なサービス精神ですね……!

なぜフリーランスになりたいのかが大事

リピーター続出の「月額制ヘッドスパニスター」りらましの唯一無二になる方法

ーフリーランス美容師をしていて、楽しいことと大変なことはなんですか?

自分の大好きなお客様に毎週、会えることが何より楽しいです。仕事の話をすることもあったり、彼氏ができた報告を聞くこともあったりと、いろいろな話をしていますね。

大変なのは予約の枠が限られている分、売り上げの限界が決まっていることでしょうか。必要以上に値段を上げるのも違うと思うので。

ーなるほど。フリーランスとして働く上で大切なことを教えてください。

なぜフリーランスになりたいのかが大事です。私は好きな人しか会いたくないから、フリーランスになりました。「稼ぎたいから」が理由だとだいたい成功しません。

とにかく人をいっぱい呼んで、その場しのぎで稼ぐようなお金のことしか考えていないような人に、施術してほしくないですよね。

ーなぜフリーランスになりたいのかは、美容師に限らずどの職種でも大事ですね。美容師として働くときに気をつけているポイントはありますか?

全部です。先週との違いや髪の状態の変化はもちろん、目線、しぐさ、スマホの充電があるかまで細かく意識します。美容師はただ技術力が高ければいいわけではないので。

「月間新規◯名様!」と自慢している美容師さんも見かけますが、新規のお客様が多いのは、裏を返せばリピートするお客様が少ないということです。もしくはお客様の回転率をよくするためにカットを5分ほどで終わらせていたり。

実は新規のお客様よりも、リピーターを大切にする方がずっと大事。あと、来てくれて嬉しい気持ちをきちんと伝えることは常に意識しています。

ーいくら技術がうまくても、接客で嫌な思いをしたら2度と行きたくないですもんね。最後にりらましさんの今後の展望も聞かせてください。

月額制ヘッドスパは常に働いた分しか収入が得られないので、何かあった場合に備えてヘッドスパができなくても収入が減らないように、別の事業も展開していきたいとは考えています。もちろんヘッドスパを辞めることは考えていませんが、今話題のYouTubeなども積極的にやっていきたいですね。

りらましさんの「唯一無二になる方法」を聞いて

抜群の技術力と圧倒的なサービス精神で一度来たお客様を離さないりらましさん。何かで1番になることや、相手に届ける努力をすることの大事さを感じました。

美容師さんに限らず、他の同業者の方と差別化をしたい方はどの分野なら1番になれるか考えてみるといいですね。

りらましさんプロフィール

りらまし(益子達也)

山野美容専門学校卒業後、複数の美容室で勤務。2018年、原宿の「GO TODAY SHAiRE SALON」所属をきっかけにフリーランス美容師に。「月額制ヘッドスパ」が予約殺到するほど大人気。

■SNSアカウント
・Twitter(@tatsuyamashiko)

 

 

この記事を書いた人

伊藤 美咲

ステキな人やモノを広めるフリーライター。1996年東京生まれ、東京育ち。関心のあるジャンルは働き方・ライフスタイル・美容・邦ロックなど。