位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」を提供するレイ・フロンティア株式会社田村さんインタビュー

位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」を提供するレイ・フロンティア株式会社田村さんインタビュー

今回インタビューさせていただいたのは、レイ・フロンティア株式会社代表取締役社長である田村建士さん。

レイ・フロンティア株式会社では自社アプリ「SilentLog」で得た移動情報・行動情報を活用して行動予測モデルを構築し、それを基礎とした位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」として提供しています。

位置情報をどのように活用しているのか、ユーザーにとってのメリットや今後の展望などをお伺いしました。

移動情報を定期的に得て、無意識の行動を把握する

位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」を提供するレイ・フロンティア株式会社田村さんインタビュー

ーさっそくですが、改めて事業内容を教えてください。

レイ・フロンティア株式会社では移動情報の分析事業を行っています。自社アプリ「SilentLog」から蓄積した緯度経度データを用いて行動予測モデルを構築し、BtoB向けの位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」としてサービスを展開中です。このサービスは「無意識の人間理解を深めること」を目的としています。

従来の人間理解の手法は、アンケートや特定の人物を観察することで情報を得ることが主流でした。しかしこのような方法だと、意識的な行動の結果しか得られません。われわれの取り組んでいる分析手法を用いれば、移動情報を定期的に得ることで「人が無意識に行う挙動」を知ることができ、人々の動きの特性が見えてきます。

ーなるほど。自社アプリ「SilentLog」のユーザーさんから得た移動情報はどのように活用されているのでしょうか?

一つの事例としては、宇都宮市が提供するヘルスケアアプリに活用されています。結果の可視化が難しいと思われた健康施策についてですが、いつも持ち歩くスマートフォンから定量的に計測や分析をすることで、結果がよくわかりました。

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▲宇都宮市で活用されている健康ポイントアプリ

「市民は行動することでポイントを得ることができ、自治体が提供する商品と交換できるメリットがある仕組み」を構築することができました。

また、利用者の行動を分析することで、ある施策に対しての定量的評価も実現に成功しています。
このようにヘルスケア事業や、都市開発事業などで多く活用していただいています。

ユーザーにきちんとメリットを提供することの重要性

ー他社と比べたときの強みは何ですか?

位置情報データを取り扱っている企業は他にも多くありますが、その中でも私たちの強みは「細かくデータを取っていること」です。なぜデータを細かく取得するのかというと、第一にユーザーにに楽しんでもらえるサービスを提供するためです。

私たちが提供するアプリ「SilentLog」では、日々の出来事を簡単に記録することで思い出を振り返って楽しむことができるようになっており、今後もさまざまな機能を追加していく予定です。

これは詳細なデータの収集と分析技術があるからこそ、実現できるサービスとなっています。2014年の10月からサービスを開始して以来、7000を超えるレビューをいただき、全体評価で4点以上(5点満点)をいただいています。

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▲iPhone向け ライフログアプリ SilentLog

多くのユーザーに使っていただくほど、私たちにナレッジが蓄積していくので、その分、社会貢献できるようにとデータを活用する努力を行っています。移動情報・行動情報の分析を必要としている企業は日本だけではなく世界中に存在するので、海外での展開も進めている状況です。

ーユーザーにきちんとメリットがあることが重要ですね。そもそもなぜ行動分析事業を行おうと、考えたのでしょうか?

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現代のようにまだスマートフォンが普及しておらず、ガラケーが主流だった2005年ごろ、創業者の大柿と位置情報がケータイ画面に出るようなシステムを作っていたんです。

今となっては位置情報の活用は珍しくありませんが、当時はやっと位置情報サービスが出始めたばかりの時期でした。僕は後にAR事業にも携わるようになったのですが、ARと位置情報って実は深いつながりがあるんです。

ARは現実世界の位置情報を分析して、画面上に出す仕組みですよね。そのように現実世界と仮想空間がシームレスになる技術は大事になってくるだろうし、僕自身ももっと発展していけば面白いだろうなと感じて始めました。そうした考えもあり、現在弊社では「現実と仮想をつなぐ世界一のサービスを創る」を企業理念に掲げています。

アウトプットに重きを置き、自由度を高くするレイ・フロンティア株式会社

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▲SilentLog Analytics を活用した事例

ーレイ・フロンティア株式会社で大切にしていることはありますか?

自由、実務力、創造力です。僕はもともと新卒で橋梁メーカーのエンジニアとして7年ほど働いていましたが、次第に最高に自由度が高く、自身の創造力を全力で発揮できる会社を作りたいと思ってきました。

そのような理由もあり、弊社は働いた時間に評価するのではなく、アウトプットに重きを置いています。もちろん稼働時間が絶対に必要な仕事もあるので一概には言えませんが、エンジニア、営業など問わず、クリエイティブな仕事は独創性を含めたアウトプットで評価したいと思っています。

ちなみに、弊社の社員就業規則1条では下記にように定めており、上記の考えを反映させたものとなっています。

この規則は、レイ・フロンティア株式会社の経営陣と従業員が相互の信頼関係のもと、国内外の社会課題を解決するためのサービス開発に必要な想像力と実務力を身につけ、プロフェッショナルとして職務を全うできる自由な環境を保つことを目的として制定したものである。

ーこれまでに大変だったことはありますか?

僕にBtoCのビジネス経験がなかったことですね。BtoCサービスでは、ちょっとしたトラブルが起こるだけでユーザー数が一気に減ってしまうことも珍しくありません。

不具合が発生するとたくさんのメールが一気に届くので、特にアプリをリリースして1〜2年目のときは、問題を起こすと焦って直ぐに行動を起こすことが多かったです。しかしそれは間違いで、「冷静に状況を認識して、一呼吸おいてから解決すること」が正しいプロセスだと理解できるようになりました。今になって思うと恥ずかしいほどに当たり前のことですが。

データに関することは何でも任せてもらえるような企業に

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ー最後に、今後の展望を聞かせてください。

今、日本だけではなく世界中でデータ事業が注目されています。

ヨーロッパも含めた海外各国のルールでは「データの使用目的を説明する義務」があります。厳格なルールが一般的になれば、データの重要度が高まったときに、企業がデータを開示しにくくなって流通が悪くなってしまうんですね。

そうすると企業は、自分たちでデータを集めなければならなくなってしまいます。でもほとんどの企業はデータを集めた経験がありません。だから企業が正しくデータを保有して、正しく活用することが世界中で重要となってきます。

一方で、データは平等に流通させるべきという流れもあります。これはデータの保有企業が経済的に、競争を阻害するほどの独占的な地位を確立する恐れがあるといわれているからです。

これらの状況下で今後はデータの重要度が上がり、データ管理や仕組みが大きく変わってきています。その急速な大きな変化の中で、私たちはデータの管理や集め方などの仕組みまで提供していく。

ただ集めた情報を提供するだけではなく、「データ管理からデータビジネスの仕組みまで、データに関しては全て私たちにお任せしてもらえるような企業」を目指しています。ユーザーには楽しくアプリを利用してもらい、私たちが集めたデータを社会に生かしていければと思っています。

レイ・フロンティア株式会社田村さんインタビューを終えて

ユーザーにメリットのあるアプリを提供し、得た移動情報・行動情報はさらに社会貢献に生かしていく流れがすごく良い循環だなと感じました。「ユーザーの位置情報を取得して活用する」と言葉だけ聞くと、何だか怖い印象を持ってしまう方もいるかもしれません。

しかしどのように活用されているか、どのように社会貢献しているかが分かれば印象も変わってくるはず。IT化が進む社会の中でデータを正しく活用していけば、より良いサービスがもっと生まれていくのではないかと期待しています。

そして現在レイ・フロンティア株式会社さんでは「機械学習リサーチャー」「データアナリスト」「データアーキテクト」「サーバーサイドエンジニア」「アプリエンジニア」「営業・事業開発」「人事」など、全職種で採用募集中です。スキルや経験も重要ですが、それよりもビジョンや事業に共感できるかどうか、を重視しています。少しでも興味を持たれた方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

関連URL:https://www.wantedly.com/companies/reifrontier

田村建士さんプロフィール

田村建士

レイ・フロンティア株式会社 代表取締役社長 CEO

位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」を提供するレイ・フロンティア株式会社田村さんインタビュー2002年、川田テクノシステム(現:川田テクノロジーズ:東証一部)に、橋梁設計ソフトに関わるエンジニアとして入社。2011年、レイ・フロンティア代表取締役に就任。企業・自治体向けや大規模イベントでの位置情報技術、およびAR技術に関する多数の講演実績。複数社の大手企業への位置情報系サービスの導入を支援。岩手県出身。東北学院大学 土木工学科卒(構造工学)。(レイ・フロンティア株式会社 サイトより引用)

この記事を書いた人

伊藤 美咲
ステキな人やモノを広めるフリーライター。1996年東京生まれ、東京育ち。関心のあるジャンルは働き方・ライフスタイル・美容・邦ロックなど。