東洋医学を用いたアプローチを手がける柔道整復師・山本将也の患者さんとの向き合い方

今回インタビューするのは柔道整復師として出張施術を行う、山本将也さん。出張施術を行うかたわら、イベントやセミナーも多く手がけ、この春、高尾に施術院もオープン予定です。今回は山本さんに患者さんとの向き合い方や施術についてのこだわりを伺いました。

積極的に足を動かした結果、口コミが広がっていく

東洋医学を用いたアプローチを手がける柔道整復師・山本将也の患者さんとの向き合い方

ー山本さんは現在、柔道整復師としてさまざまな場所に出張して施術をされていますが、これまでの経歴を教えてください。

もともと地元である名古屋や、沖縄などの接骨院や整形外科に勤めて患者さんに施術をしていたんです。その後、自分の力がどこまで通用するのか試してみたくて、誰も知り合いのいないカナダに渡りました。期限である1年後に帰国した後、結婚をきっかけに東京を拠点にした出張施術をスタートさせました。

ー東京での出張施術はどのように展開されていったのでしょうか?

最初は知り合いなどに連絡して、出張で施術をするのと同時にイベントにも出店して知名度を上げていきました。まずは僕という人間を知ってもらうことが大事だと思い、高尾山でグループランなどのイベントも積極的に開催していましたね。

ー最近はSNSなどを活用したオンラインでの集客に注力される方も多いですよね。

流行りとは真逆のことをやっていますね。もちろん、これまでもSNSを使ったりポータルサイトに掲載してもらったりと、さまざまな施策を行ってきました。いろいろなことを試した結果、結局は実際にお会いした方の口コミが最強だと思ったんです。

やっぱり柔道整復師は対人の仕事なので、SNSなどのオンラインより直接会った方が良いと思ったんです。なので、まずはきっかけ作りとしてイベントやセミナーを開催したり、一緒に飲みにいったり(笑)。

なるべくいろいろな場所に顔を出していましたね。そうすると「この前会った柔道整復師の人が〜」と自然に患者さんやお会いした方が広めてくれるんです。

僕は整体に関わることだけでなく、腸内環境や内臓の話もできますし、カナダで160km走ったなんて経験もあるので、一度会っただけでもインパクトを与え、印象に残してもらえるのかもしれません(笑)。

ーSNSやインターネットが身近になっても、実際に対面することに越すことはありませんものね。それにしても160km走ったなんてすごいです……

僕はスポーツはやっていましたが、決して運動神経がよかったわけではないんです。高校時代の持久走では下から2番目くらいでしたし。なので、正しい体の使い方を知っていれば怪我をしないことを僕の経験を通じて患者さんに伝えていけたらと思っています。

一人ひとりとしっかり向き合い、手厚いアフターフォローを心がけた施術

東洋医学を用いたアプローチを手がける柔道整復師・山本将也の患者さんとの向き合い方

ー山本さんの施術は内容によって価格が変わるのではなく、時間単位で定められていますよね。

接骨院は基本的に保険診療なので、患者さんは3割負担なんです。そのため、利益を考えるとどうしても薄利多売になってしまう傾向があって。それでも経営していくことは可能ですが、どうしても患者さん一人当たりに10〜15分程度マッサージして終わりになってしまう状況です。

そんな中、最近は1時間単位などで価格が設定されている揉みほぐしのお店も増えていますよね。保険適用ではないので割高にはなってしまいますが、それでもちゃんと時間をかけて施術をしてほしい人が増えているということだと思うんです。

ーたしかに、15分程度で終わってしまったら「本当にこれで治るのかな?」と思ってしまうかもしれません。

一般的な接骨院だと1日200名の患者さんが来ることもあります。でも一人ひとりにきちんと時間を取ってじっくりと向き合った方が、患者さんの満足度も高いはずですよね。

ですので僕は一人につき1時間確保するようにしています。そして、日頃から「ケアの仕方は全部教えるから、それでも痛くなったら呼んでください」と伝えています。

ー「不調を感じたらまずは呼んでください」ではないんですね!?

健康になるには僕が施術しなければ治らないより、患者さんが自分でケアできるようになる方が理想的ですよね。なので場合によっては画像や動画を使ってストレッチやマッサージの仕方を教えることもあります。それで改善されたらお互い嬉しいじゃないですか(笑)

とはいえ、やっぱり人間はそれだけで解決しない場合もあるので、深い原因を探るために痛くなったら呼んでもらうようにしてもらっています。そして施術後もいつでも不安点や疑問があったらメッセージ送ってくださいと伝えています。

意外とメッセージを送ることに遠慮される方も多いのですが、自分の体に対して関心があるのはありがたいことなので、どんどん気軽に聞いてもらえればと思います。

ーアフターフォローまで手厚い……!情報を惜しみなく出してくれることがいい循環になって信頼にも繋がりますね。

筋肉と臓器の意外な関係性。山本さんの東洋医学を用いたアプローチ

東洋医学を用いたアプローチを手がける柔道整復師・山本将也の患者さんとの向き合い方

ー施術に来られる方はどんな症状の患者さんが多いですか?

やはり多いのは、肩こりや腰痛がある患者さんですね。僕が今力入れているのは東洋医学の未病と呼ばれる分野です。未病というのは、痛いところはないけれど、なんとなくだるかったり、調子が悪いような方を指します。実は未病の方って結構多いんですよ。

ー未病ってなんとなくの不調はあっても明らかな症状が出ていないので、診察してどこが悪いのか分かるものなのでしょうか?

そこは腕の見せどころですね(笑)。未病の方って人間ドックなどの健康診断の数値に問題のない場合が多いです。でも東洋医学的なアプローチでは脈や舌の色、お腹の硬さなどを診て、臓器のどこが悪いかを判断します。

その結果から、悪そうな臓器に該当するツボを押すんです。そうするとだいたい痛がります(笑)。ツボは筋肉の硬いところになっているので、念入りにほぐしてあげることで筋肉の刺激が内臓や脳に伝わって楽になるんです。

ーそんなアプローチ法があるんですね……!初めて聞きました。

以前、走ると足の脛(すね)の前側がすぐ張ってしまうという陸上の短距離走選手がいたんです。脛(すね)の前側って実は胃と関係する部位なので、お腹の調子を聞いてみました。

すると案の定、胃もたれやお腹がゆるくなりやすい症状があるとのことで、胃に直結する重要なツボを押すと激痛でもだえていましたね。そのツボを重点的にマッサージして走ってもらったら、めちゃくちゃ調子が良くなったと言ってくれました。

ーまさか、胃が脛(すね)に関係しているとは思わないですよね。

実は内臓がスポーツのパフォーマンスに関係することもあるんですよね。東洋医学を学んでから、腸内環境や食事まで勉強する範囲を広げていきました。

「健康に関心はあるけど、どうすればわからない方」に来てほしい

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ー山本さんが施術をする上で気をつけていることを教えてください。

「対話すること」は重要視していますね。ただ患者さんが訴えた悪いところだけを聞いても、マッサージをしたら何か見落としがあるかもしれません。

実は怪我をしていたとか、内臓に疾患を持っていたとか。身体を見ればわかることも多いですが、対話しないと見つけられないこともあるかもしれませんから。治療にはマッサージも大事ですが、信頼関係も不可欠なんです。そのためにも患者さん一人ひとりに十分な時間を取っています。

ー先ほどおっしゃっていたように、自分では関係ないと思っていることが直結していることもありますもんね。どんな人に診察にきてもらいたいですか?

身体に不調がある方はもちろんですが、「健康に関心はあるけどどうすればわからない方」にも来てほしいですね。今はネットで検索してもたくさん情報があるので、何をすればいいか迷ってしまうと思うんです。

でも実際に話を聞いたり身体を見れば原因などがわかると思うので、選択肢を狭めてあげることはできるかなと思います。それから朝のストレッチやヨガなどを、ちょっとずつ生活の中に少しずつでも取り入れてもらえたらと思います。

理想は1回診察に来たら身体の調子が良くなって、街中とかで再会した時に「今も調子いいです」と言ってもらうことですね!

ーしかし、「ちょっとだるいな」と思っても「行くほどじゃないかな」と思ってしまう人もいると思います。

そんなときもあると思います。最悪、調子が悪くなってしまったときにきちんと放置せずに来てもらって改善できたら、調子が悪いときと良いときの差が分かるようになりますよね。

そうしたら再び調子が落ちてきたときに分かるようになるので、自分で改善することもできるようになります。

拠点を構え、さらに心身健康な状態を提供できるように

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ー今まで各地で出張施術やイベントを行ってきて、なぜ高尾に拠点を構えることを決めたのでしょうか?

高尾ってちょうどいい場所なんですよ。山もあるし、新宿からも1時間程度で行けます。今、アウトドアブームやフェスブームがあるように、都心に疲れて自然を求めている人が多いんです。とはいえ山奥すぎるとさすがに来れないと思うので、高尾がちょうど良かったんです。

ー都心部の方が人も多くて、集客しやすそうなので、高尾はちょっと意外でした。

まずは都心から物理的な距離を置いてほしいと思って。リフレッシュになりますし、高尾だったら施術の前後にランニングやウォーキングもできますしね。自然に近い場所を選んだのは、カナダに在住していた時に登山口の近くに住んでいた影響もありますね。

ー現在、開業に向けてクラウドファンディングも行っていますよね。

はい、開業や設備の資金をクラウドファンディングで調達中(サイトはこちら)です。今後はECサイトも開設して健康に繋がるものの販売もしようと思っています。腸内環境や遺伝子検査キットなども取り扱い予定なので、その結果を僕が解析して適した食品を紹介したりできたらと考えていますね。

また、診察に行く時間がない方々のところに出張できるように、会社やグループ単位の施術も鍼灸師の方と進めているところです。これからもみなさんに心身健康な状態を提供できるようにしていけたらと思っています!

山本将也さんの患者さんとの向き合い方を聞いて

取材中、山本さんのフォローの手厚さに驚きました。施術を受けて終わりではなく、その後も「なんでもメッセージで聞いてくださいね」と言ってくださるのはかなり心強いと思います。そういったgiveの精神が信頼に繋がり、口コミが広がっていくのだと実感した取材でした!

山本将也さんプロフィール

山本将也(Masaya Yamamoto)

資格:柔道整復師

やま施術院代表。
名古屋・沖縄・カナダ・東京で国内外のクライアントに十年以上施術を提供。カラダを骨や筋肉といった見えるものだけでなく内臓・精神・脳・腸内環境などを包括的に捉え、施術以外に正しい医療知識を一般の方へ広める活動に尽力している。

2020年春、八王子市に実店舗開院予定

ホームページ(yamasejutsuin.com)

この記事を書いた人

伊藤 美咲
ステキな人やモノを広めるフリーライター。1996年東京生まれ、東京育ち。関心のあるジャンルは働き方・ライフスタイル・美容・邦ロックなど。