今回インタビューさせていただいたのは、ソングライティング・デュオ「parallelleap」(パラレルリープ)のボーカルを担当する友谷まいさん。
アルバムリリースやライブ活動だけでなく、CMやBGMの楽曲制作も行っています。小さい頃からずっと歌うことが特別だったと語る友谷さんに、これまでの音楽とのつながりや歌に込めた想いを伺いました。
大きなチャンスを逃しても、やっぱり救ってくれたのが音楽だった
ーまずは活動内容を教えてください。
parallelleapというソングライティング・デュオのボーカルです。“昨日聞いたミュージックまだ耳に残る”をコンセプトに、楽曲制作をしたり歌ったりしています。
ー歌はいつから始めたんですか?
歌うことは小さい頃から大好きで、お芝居やダンスを含めたミュージカルにも参加していました。でも中学2年生に病気になってしまったことで、ミュージカルをやめざるを得なくなってしまって……。
それでもずっと歌だけは続けていて、高校生のときにパン屋でアルバイトして、3万円のギターを買ったんです。それから弾き語りや路上ライブを始めました。
ー小さいころからずっと歌が好きなんですね。
その後、作詞作曲を始めたのは大学のフォークソングサークルに入ってからですね。それまではなんとなく「こういうコード進行が好きだな」と思うことがあったくらい。そのサークルではオリジナル楽曲じゃなきゃいけないことを、入ってから知ったんです(笑)。今一緒にparallelleapで組んでいる田村くんに出会ったのも、このサークルでした。
ーやっぱり、歌手は長年の夢だったのでしょうか?
歌手になりたいとは思っていたのですが、大きなチャンスがあるたびに体を壊してしまっていて……。そんな中でもやっぱり救ってくれていたのが音楽だから、歌しかないなって思っています。
身体のこともあって、みんなと同じように就活をして就職することが私には無理だと思ったので、だったら好きなことをした方がいいなって。ずっと歌が好きで歌ってたら、ありがたいことにお仕事がもらえるようになったんです。
ー友谷さんは以前から多趣味で、今は自作のお菓子も販売したりしていますが、それでも音楽は特別なものですか?
幼稚園のときに、先生が「まいちゃんはクラスで1番歌が上手です」って親に言っていたのがすごく嬉しくて。それから歌うことが特別になったし、その言葉をずっと信じて歌っています。私は忘れたくないことがあったときとか、自分のために曲を作ってきた部分もありますね。
音楽が絵を引き立たせてくれていると言われると、泣きそうになるくらい嬉しい
ー音楽のお仕事依頼はSNSなどから来るのでしょうか?
SNSからはほとんどないですね。営業活動もしていないので、お仕事依頼は直接知り合った人からが大半です。ボランティア活動で知り合った方だったり、音楽活動以外で出会った人が音楽関係者だったり。ひとつの依頼を受けるたびに、この仕事が次の仕事を生み出すと思って取り組んでいます。お仕事相手は数少ないけど、その分出会いは大切にしていますね。
ーずっと大好きな音楽が仕事にもつながりましたが、活動をする中で辛かったことはありますか?
いっぱいあったけど、今はもうあまり覚えてないです。好きなことだから覚えてないのかも。しかも私は笑ったり怒ったり感情の変化が激しいけど、田村くんは何があっても「そんな人もいるよ」と穏やかだから、バランスがいいのかもしれないです(笑)。
ー真逆の2人だからこそ、調和がとれてますね。
あとはPRの動画用のBGMは、映像が出来上がってから依頼が来るので、どうしても納期が短いことが多いんですよね。大変だとも思うけど、逆にそれがやる気を出させてくれたりもします。
ーちなみにどれくらい短いんですか?
直近のお仕事だと4日でしたね。いつもお仕事をくださる方が、前に「頼まれごとは試されごと」と言っていたのが印象的で。音楽の仕事をできることが幸せなので、大変さより依頼をいただける嬉しさの方がありますね。
ー曲が作れないなどのスランプに陥ることはないですか?
お仕事の依頼をいただく度に、こんなの無理!って思うんです。前回どうやって作ってたっけ?みたいな(笑)。でもやり始めると不思議とできるんですよね。
ーお仕事で作る楽曲はテーマが決まっていると思いますが、どのように歌詞やメロディに落とし込んでいくのでしょう?
私、普段から妄想が好きなんですよね。外で見かけた人に対して、あの人は朝に何を食べて、どんな風に過ごしているのかって勝手に考えたりするんです。
ーそれは想像力が鍛えられそうですね(笑)。
あとは、ラジオも好きで。リスナーさんからのお悩み相談に対しても、自分のことのように考えて、自分だったらどう答えるか一緒に考えるんです。そこで聞いた言葉や思いついた言葉はすぐにスマホにメモしていますね。田村くんと議論すると、全く違う意見が出てくることもあって面白いです。それが音楽にも影響しているのかもしれないですね。
ー日常と音楽がセットになっていますね。1日の中で音楽活動をする時間はどれくらいですか?
日中は2人とも他で働いているので、深夜や土日に行っています。朝になって鳥が泣き始めてしまうとレコーディングができなくなってしまうので、鳥との戦いです(笑)。
ー曲作りにおいて大切はことは何でしょう?
お仕事で作る曲はPR動画のBGMに起用されることが多いので、絵を引き立たせる曲にしなくてはいけないと思っています。BGMとして歌が邪魔にならないように、でも聞こえてきた歌詞や歌が見てくださる方に刺さるように届けと思いながら作っています。なので、「音楽が絵を引き立たせてくれている」と言われると、泣きそうになるくらい嬉しいですね。
いつかは映画の主題歌を
ー最後に、今後の活動の展望を聞かせてください。
いつか映画の主題歌を担当したいなと思っています。私の歌ももちろん聴いてほしいですが、田村くんのギターが本当にすてきなので、もっと多くの人に届けたいです。身内が言うのもあれなんですけど(笑)。とにかく目の前にあるものに対して全力で感謝して、これからも活動を続けていけたらと思っています。
インタビューを終えて
音楽が好きだから、辛いことがあっても忘れてしまうという言葉がすごく印象的でした。好きなことや趣味を仕事にすることについては賛否あるとは思いますが、好きを仕事にするとは、きっと辛いこと以上に楽しさや嬉しさが勝ることなんだろうなと思います。
また、私自身も音楽が好きなので、音楽に救われたというエピソードにとても共感しました。parallelleapの音楽は丁寧で温かみのある曲ばかりなので、ぜひ聴いてみてくださいね。
伊藤 美咲
ステキな人やモノを広めるフリーライター。1996年東京生まれ、東京育ち。関心のあるジャンルは働き方・ライフスタイル・美容・邦ロックなど。
“昨日聞いたミュージックまだ耳に残る”をコンセプトに
音楽を奏でる友谷麻衣(Vo)と田村孔一(Gt)からなるソングライティング・デュオ。
完全自主制作盤としてこれまで4枚のアルバムをリリース
ナレーションやCM、サウンドロゴやBGMに至るまで楽曲制作・提供を行うなど活動をひろく展開している
ウエディングソングプロジェクトとして結婚する新郎新婦向けに楽曲の書き下ろしも行っている
毎日はそれほどドラマチックではないからこそ
繰り返されるその日々の音を丁寧に切り取り
日記をつけるように音楽を作り、歌う
そういった日々の音や
どこかで聞いたような懐かしさを感じられるメロディーは
あなたの細胞まできっと届く