平成から令和に元号が変わった際、「すめらぎいやさか」という言葉をよく耳にしました。「すめらぎいやさか」とはどんな意味があり、どういったシーンで使われる言葉なのでしょうか?この記事では、漢字表記や使い方、天皇との関係に外国語表記なども解説します。
「すめらぎいやさか」の意味とは
意味は「天皇の御代がますます栄えますように」
「すめらぎいやさか」は「天皇の御代がいつまでも末永く、ますます平和に栄えますように」という意味の言葉です。新天皇が即位した際などに、お祝いの言葉として使われます。
「すめらぎ」とは「天皇」という意味
「すめらぎいやさか」の「すめらぎ」は、大和言葉で「天皇」を意味します。大和言葉とは、奈良時代以前から存在した日本古来の言葉です。「てんのう」という読み方は中国の音であるため、祝詞などでは大和言葉の「すめらぎ」が使われます。
「いやさか」の意味は「ますます栄える」
「いやさか」は、「ますます」を意味する言葉と「栄える」を意味する言葉が結びついたものです。つまり、「いやさか」で「ますます栄える」ことを表しています。
「すめらぎいやさか」は漢字で「天皇弥栄」
「すめらぎいやさか」は漢字で「天皇弥栄」と書きます。「弥栄」は旧字体で「彌榮」と表記される場合もあります。「いやさか」の「弥」という字は、花が咲き誇る様を表す漢字です。生命力が満ち溢れる様子を表すことから「ますます」という意味で使われています。
「すめらぎいやさか」の語源は祝詞
「すめらぎいやさか」の語源は、古くから使われてきた大和言葉による祝いの言葉・祝詞(のりと)です。「すめらぎ」という言葉は、19世紀の良寛歌では「すめらぎの千代万代の御代なれや花の都に言の葉もなし」と読まれています。
「すめらぎいやさか」の使い方と例文
「すめらぎいやさか(天皇弥栄)」を使う場面
「すめらぎいやさか(天皇弥栄)」を日常で使うことはあまりなく、天皇や国に関わる正式なお祝いで用いられます。
- 新天皇の即位を心よりお祝い申し上げます。天皇弥栄
- 令和の時代が長く続くことを祈る。天皇弥栄
「すめらぎいやさか」を挨拶で使う
「すめらぎいやさか」は、挨拶としても使われる言葉です。新元号に変わった時だけではなく、天皇誕生日や建国記念日、新年など日本にとっておめでたいとされる日に使われることが多いです。また、天皇陛下のご訪問を受けた際などにも使われることもあります。
「すめらぎいやさか」を挨拶で使う場合の例文
- 「今日は天皇誕生日ですね。天皇弥栄」
- 「天皇弥栄。謹んで新春をお祝い申し上げます」
- 「天皇陛下の温かい御心に触れることができて感謝しております。天皇弥栄をお祈り申し上げます」
「すめらぎいやさか」の関連語
「すめらぎいやさか」と似た言葉「すめらみこといやさか」
「すめらぎいやさか」と同じような意味の言葉として、「すめらみこといやさか」があります。「すめらみこといやさか」は漢字では「皇尊弥栄」と表記し、「天皇陛下の御代がいつまでも長く、ますます栄えますように」という意味になります。
「すめらぎいやさか」とほぼ同じ意味ですが、「天皇」と「皇尊」の違いは尊敬語であるかどうかです。「皇尊」のほうがより敬っている言葉になるため、「すめらぎいやさか」をさらに丁寧に言いたい場合には「すめらみこといやさか」を使うと良いでしょう。
「すめらぎ(天皇)」の読み方は複数ある
「天皇」には「すめらぎ」「すめろぎ」「すめらみこと」など、大和言葉では複数の読み方があります。
読み方によって意味が異なり、「すめろき」「すめろぎ」は古来からの皇統が続いている文脈内で用いられ、皇祖や皇祖から続く皇統を意味します。「すめらみこと」と読む場合には、特定の天皇もしくは今上天皇を指す言葉として使われます。
「すめらぎ」という苗字もある
「皇」と書いて「すめらぎ」という苗字もあります。
「皇」の苗字の由来はハナノキを呼称した皇木(スメラギ)で、滋賀県東近江市にある浄土真宗の寺院の僧侶による明治新姓とされています。
「すめらぎいやさか」の外国語表現
「すめらぎいやさか」はヘブライ語ではない
ヘブライ語で「スメラ」は「神を奉じる」、「ミコト」は「栄光」という意味があります。「すめらぎいやさか」と近い意味を持つため、「すめらぎいやさか」はヘブライ語だと勘違いされることがあります。
しかし、「すめらぎいやさか」は大和言葉を由来とする祝詞です。ヘブライ語として間違って覚えないよう気をつけましょう。
「すめらぎいやさか」は英語で「prosperity to the emperor」
「すめらぎいやさか」は英語では「prosperity to the emperor」または「message welcoming a new imperial era」などと表現されます。
まとめ
「すめらぎいやさか」とは、「天皇の御代がいつまでも末永くますます栄えること」をお祈りする言葉です。古くから日本で使われてきた大和言葉を由来とするこの言葉を、新元号に変わる際や日本にとっておめでたい日などに使ってみてはいかがでしょうか。