ディストリビューションの意味とは?ITやLinuxと金融についても

「ディストリビューション」とは、IT業界や金融、サッカーなどさまざまなシーンで使われる言葉です。基本の意味としては「流通、配布されたもの」ですが、各業界や使われるシーンによってどう意味が変化し、何を指しているのかをご紹介します。

「ディストリビューション」の意味とは

「ディストリビューション」とは「流通、分布」の意味

「ディストリビューション」の基本の意味とは「流通・分布」です。ただし、IT用語として使われる場合や金融、サッカーに関して使われる場合などで指しているものが異なります。

「ディストリビューション業務」とは商品の分配・管理

アパレル業界には、「ディストリビューター(DB)」という仕事があります。ディストリビューターの仕事のメインは、商品を店舗に分配し在庫管理を行うことです。商品の仕入れは、マーチャンダイザー(MD)やバイヤーが行います。

企業やメーカーによって仕事内容は違いますが、各店舗の顧客属性や在庫状況などを考慮し、どこに・なにを・どれだけ配分するかを選び、在庫状況のコントロールを行う業務です。

ディストリビューターの仕事内容

  • 各店舗への商品分配
  • 商品の移動に伴う在庫調整
  • 自社倉庫からの商品補充
  • 売上げ状況の分析

「ディストリビューションセンター」とは在庫型物流センター

「ディストリビューションセンター(DC)」とは、在庫型物流センターのことです。商品を一旦保管し、配送先に商品を供給するために物流センター内で荷捌きをして、流通加工作業を行います。卸売業や小売業、製造業で多くみられるストック型の物流センターです。

ディストリビューションセンターに対して、商品の在庫を持たない通過型の「クロスドッキング・トランスファーセンター(TC)」があります。

ディストリビューションセンターでの作業工程

  1. 商品が入荷したら検品をする
  2. 商品を在庫として保管、管理をする
  3. 顧客からの要請でピッキング、梱包、出荷

ITにおける「ディストリビューション」とは

IT用語の「ディストリビューション」はLinuxの配布形態

「ディストリビューション」はIT用語として使われることが多いでしょう。IT用語での「ディストリビューション」は、Linux(リナックス)の配布形態を指します。Linuxとは、パソコン向けに開発された無料のOSのことです。フィンランド出身のLinus Torvalds(リーナス・トーバルズ)氏がUNIXとの互換性を意識して作成しました。

LinuxはOSの核となる部分のみのため、利用する際にはユーザーが目的に応じてプログラムを収集し、環境のセットアップをする必要があります。この状況を改善するため、最初から組み合わせて配布するようにしたものが「ディストリビューション」です。

Linux「ディストリビューション」の確認方法

Linuxには多くの「ディストリビューション」が存在し、種類やバージョンを確認するにはいくつかの方法があります。

「ディストリビューション」の種類を判別するためには、「/etc/*-releaseファイル」を確認することが基本です。以下の代表的なファイルを参考に、それぞれのOSに合わせて確認してみましょう。

ディストリビューション共通

  • /etc/os-release
  • /etc/system-release

ディストリビューション固有

  • /etc/redhat-release
  • /etc/centos-release
  • /etc/oracle-release

「ディストリビューションスイッチ」

コンピューターネットワークの集線装置をネットワークスイッチといいます。その製品の分類のひとつが「ディストリビューションスイッチ」です。ネットワークスイッチに内蔵されている機能は、受信したデータの宛先を確認し、接続されている各機器への転送の可否を判断します。

「ディストリビューションスイッチ」は、中枢部から末端部への通信の分配(ディストリビューション)や集約を行うという意味があり、ネットワークの中枢部と末端部との橋渡しを行います。

awsの「ディストリビューション」とは

awsとは「Amazon Web Services」の略

代表的なクラウドコンピューティングサービスのひとつであるawsは「Amazon Web Services」のことです。

クラウドコンピューティングとは、あらかじめインターネット上で運用されているサーバーなどをシステムのほとんどが使う形態で、「クラウド」とも呼ばれます。クラウドを使えば、利用者は自分でサーバーなどのソフトウェアやハードウェアを持っていなくても、必要な時に必要な分だけインターネットを通じコンピューターによるサービスを受けることができます。

awsは、世界で最も利用されているクラウドインフラサービスです。Amazon社内のビジネス課題を解決するために誕生した ITインフラストラクチャのノウハウをもとに、2006年にサービスがスタートしました。

awsの「ディストリビューション」概要

awsのCloudFront を使用してコンテンツを配信する際には、ディストリビューションを作成します。awsのディストリビューションには、以下のような構成設定が選択可能です。

  • コンテンツオリジン
  • アクセス
  • セキュリティ
  • キャッシュキー
  • オリジンリクエスト設定
  • 地域制限
  • アクセスログ

awsのディストリビューションの作成に関しては、awsのHPを参照してみてください。

金融における「ディストリビューション」とは

「ディストリビューション」は投資家への売却を意味する

金融の世界において、「ディストリビューション」は「投資家への売却」を意味します。

銀行などの事業戦略で、融資を実行した後に(これをオリジネーションという)貸付債権を大規模に集積。社債等の形態に再構成した状態で投資家にディストリビューションすることで、資金調達をします。さらにそれを原資にして新たに融資することを、オリジネーション・アンド・ディストリビューションと言います。

オリジネーション・アンド・ディストリビューションを行うことにより、総資産を圧縮し、経営効率を高めることが可能になります。

株は「ディストリビューション」をチェックする

株の売買において、「ディストリビューション」は日々チェックしておくべき事項です。

株に関して「ディストリビューション」は「売り抜け」とも言われており、株価の下落や暴落またはトレンド転換のサインとして使うことができます。過去のマーケットでは「ディストリビューション」が2~4週間以内に3~5回発生すると、高い確率で株価が下落したり暴落に向かいます。

「ディストリビューション」をチェックしておくことで、事前に株価の下落や暴落、トレンド転換を察知することが可能です。

サッカーにおける「ディストリビューション」とは

「ディストリビューション」とは配球を意味する

サッカーにおける「ディストリビューション」とは「配球」を意味しており、GK(ゴールキーパー)固有のプレーを指します。

GK(ゴールキーパー)の「ディストリビューション」

GKの「ディストリビューション」に含まれるのは、パントキックやゴールキックはもちろん、オーバーハンドスロー、アンダーハンドスローの全てです。

GKは、ゴール前に来たボールを確実にキャッチまたはキックできることを大前提に、その後の攻撃の起点となるよう、正しい判断でボールをディストリビューションすることが求められます。キャッチやキックの精度を上げると同時に、優れた状況判断能力と戦術眼が必要となります。

まとめ

「ディストリビューション」とは「流通・分布」を意味する言葉です。IT用語や金融、株、サッカーなどで使われる場合などシーンによって指している内容が違います。それぞれのシーンで使い方を覚えておくと役立つでしょう。