敬語表現の「されました」には、どのような意味があり、どのように使うのが正しいのでしょうか。今回は、「されました」の意味と使い方を確認しながら、「されましたでしょうか」や「されましたら」の使い方をはじめ、他の表現に言い換える場合や英語表現も解説します。
「されました」の意味とは?
「されました」は「しました」の敬語表現
敬語の「されました」は、わかりやすく言うと「しました」の敬語表現です。動詞「する」の尊敬を意味する語「される」(動詞「する」の未然形+助動詞「れる」)に、丁寧の助動詞「ます」の過去形「ました」がついたものです。
つまり、敬う表現ではないものが「しました」で、敬語にすると「されました」となります。
「されました」を使った例文
- 先生は朝早くに出発されました。
- 先程のお客様はこちらの商品を購入されました。
「されました」の使い方
「されましたら」は「そうしたら」の敬語表現
「されました」に助動詞「た」の仮定形「たら」がついた「されましたら」は、そうしたら、それならば、という意味の敬語表現です。
「宿に到着されましたら、ご一報ください」「ご一読されましたらご意見をお聞かせください」などのように使います。
「されましたか」は疑問の表現
「されました」をもとにした疑問の表現で、「されましたか」という言い方があります。たとえば「お客様、すでにご注文されましたか?」といった使い方をします。
ここに「だろうか」の丁寧な表現「でしょうか」を加えたものが「されましたでしょうか」です。
「されましたでしょうか」は二重敬語?
「されましたでしょうか」は正しい表現
「されましたでしょうか」という表現の仕方は、間違っているのではないか、二重敬語にあたるのでないか、という意見がありますが、これは文法的には間違っていません。
二重敬語とは、1つの語に対して同じ種類の敬語を二重に使ったものを指します。それを踏まえて「されましたでしょうか」を分解してみると、
の3つで構成されていることがわかります。「ます」と「でしょうか」はどちらも丁寧語ですが、「ます」に「だろうか」を添えた表現のため、1つの言葉に敬語を2つ使っているわけではありません。
「されましたでしょうか」は敬語であり、丁寧な表現
「されましたでしょうか」は、それぞれを敬語にしたうえで、「でしょうか」を加えることでさらに婉曲に相手の気持ちや都合を尋ねる意味を強め、丁寧さが加わる表現となります。
「されましたか」でも敬語の形として正しく、丁寧な表現なので、「されましたでしょうか」とどちらを使うかは、相手との関係やシーンによってよりふさわしいと考えられる方を選びましょう。
「されました」の言い換え表現
「なさいました」はより敬意が高い言い換え表現
動詞「する」の尊敬語には、「される」の他に「なさる」という表現もあります。「なさいました」は、この「なさる」に丁寧の助動詞「ます」の過去形「ました」がついたもので、「されました」同様「しました」の敬語表現です。
尊敬語にも、簡単なものとより丁寧なものが存在し、「される」よりも「なさる」の方がより敬意が高い尊敬語です。「なさる」を使う場合には、前の言葉に「お」や「ご」をつけるのが正式な形となり、文末は「ます」や「ました」で締めます。
「なさりました」にも言い換えできる
「なさりました」も、「なさいました」同様「なさる」に丁寧の助動詞「ます」の過去形「ました」がついたものです。
「なさる」に補助動詞の「ます」がつく場合、「なさりました」よりも「なさいました」になる方が一般的です。
「されました」の英語表現
「されました」は<主語 + was/were + 過去分詞>
英語には丁寧な表現の仕方はありますが、尊敬語や謙譲語などの敬語表現はありません。そのため、敬語の「されました」も、英語で表現することはできません。ここでは敬語表現の「されました」ではなく、「~されました」という過去のことを表す受け身の表現をご紹介します。
英語で「~されました」と言う受け身の過去表現の場合は、<主語 + was/were + 過去分詞> で表します。
「されました」の英語表現を使った例文
- I was invited to her birthday party.
私は彼女の誕生日パーティーに招待されました。
まとめ
敬語の「されました」は、動詞「する」の尊敬を意味する語「される」に、丁寧の助動詞「ます」の過去形「ました」がついた「しました」の敬語表現です。「されましたでしょうか」や「されましたら」などの使い方もあり、より敬意の高い表現の「なさいました」「なさりました」などに言い換えることもできます。