噛み合わせで笑顔と健康に貢献!!歯科技工士の挑戦

歯科技工士は歯を通して笑顔と健康を創る!みらいデンタル企画の挑戦

今回インタビューするのは、株式会社みらいデンタル企画の代表歯科技工士の武市拓郎さん。歯科技工士として都内歯科医院に10年務めたのち、栃木県に移住し独立しました。

歯をつくる職人でもある武市さんは、スポーツマウスガードや補綴(ほてつ)物コンサルティングにも力を入れています。

今回は、武市さんがどのようにして歯科技工士になったのか、デジタル化した歯科技工や、スポーツマウスガードを通して挑戦していきたいことを聞きました。

歯科技工士とは「歯」をつくる職人

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—歯科技工士の仕事について教えてください。

歯科技工士とは、歯を作る専門家です。患者さんの失われた歯などを技工物(差し歯や入れ歯など)でつくったり、再生したりします。

歯科技工士の中でも入れ歯、差し歯、スポーツマウスガード、矯正専門と色んな技術ごとに得意分野が分かれています。全国に歯科技工士は3万人程いて、独立しているのは6〜7割程度といわれていますね。

医療に携わることもあり、宣伝に制限があるため多くの歯科技工所は看板とかも特にもっていません。そのため、認識されていることが少ないかもしれませんが、医療に携わる製造業です。

—直接患者さんとやり取りすることはないんですか?

日本では歯科技工士への依頼は基本的に歯科医院からで、歯科医師が作ってほしいものをつくります。海外だと自由診療ですので患者さんが歯科技工士を見つけて依頼し、歯科医院を紹介するというパターンもあります。

技術力に信頼のある日本の歯科技工士は海外でも重宝され、一時期はアメリカやドイツ、中国や東南アジアに行って活躍していました。海外で指導して、日本に技術者を連れてくる流れもありましたね。海外では「メイドインジャパン」が一つの信頼になっています。

—海外でも通用するスキルなんですね。独立したのはなぜですか?

一番はデジタル化した歯科技工にチャレンジしたかったことですね。

歯科業界では近年デジタル化が進んできており、私自身も歯科技工のデジタル化にチャレンジしたいと思っていました。10年務めて後輩も育ち、前職からお世話になっている歯科医師さんが病院を増築してそのスペースを歯科技工所として借りられるめどもついたなど、条件がそろったのでチャレンジするには今だなと思ったからです。

デジタル化した歯科技工のメリット

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—デジタル化した歯科技工では何が変わるんですか?

デジタル化した歯科技工は、かたどりが変わります。例えば、患者さん目線で言うと、口の中に粘土を入れてかためて7~10分程かかっていた型取りが、口腔内スキャナーを使って1〜2分で終わるようになります。

歯型をデータ管理できるようになり、説明する際に視覚的に患者さんとデータの歯型を見ることもできるようになりました。

僕らが歯を作るときも、今までは歯型を取って石膏を歯型に流し、歯の模型を作って、ワックスというろうを足して、歯の形を作って型を取っていました。そこに900℃程の金属を分量を間違えないように流し、固めて、磨いて……歯が完成します。

—そんなに大変で、技術のいる仕事なんですね。

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はい。手が熱に強くなります(笑)。削りカスもすごい出るので当然汚れる仕事でした。しかしこの作業が、デジタル化するとパソコン上で、データにした歯型上で歯をデザインできます。

そのデザインデータを使って材料を削るマシンに指令を出すと自動で歯を削ってくれます。そのあとは僕ら色をつけたり微調整したりして完成です。

制作工程が半分くらいになるし、データとして残すこともできます。誰でもある程度までは同じクオリティでできるし、機械が削っている間に他のこともできて、会社をきれいに保てる。メリットづくしですね。

もちろん、トライアンドエラーしながらやっています。職人芸のような一級品はもしかしたら全てアナログの手作業の方ができるかもしれません。

アナログの良さも理解しているので、できるところはデジタルでやりながら、手作業に集中するという、メリハリを持った仕事のスタイルができました。

15人中14人が新記録をだしたスポーツマウスガード

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—デジタル化の他に、武市さんはスポーツマウスガードでスポーツの成績向上させる取り組みも行っていますよね。

はい。小学校からずっとサッカーをやっていたのもあり、スポーツがずっと好きなんです。

歯科技工士の専門学校時代に「スポーツマウスガード」に出会いました。でも「それだけでは全然もうからない」とも言われていました。その結果、僕は見た目のいい美しい歯をつくることを第一に学び、技術を磨いてきました。

でも、開業して、好きなスポーツの分野に関わりたいと改めて思ったんです。

そんな時、宇都宮アクセラレーター2021を知ったんです。宇都宮市の企業「スタートアップ」や「第二創業」へ支援があり、事業成長を加速させ、大きな事業を創ることを目的としていて、自分にぴったりでした。

—そこで、スポーツマウスガードの挑戦を行ったんですね。

サポートする企業の中にスポーツチームが多くあったんです。

儲かる儲からないは別として、僕にはスポーツに対する熱意があり、嚙み合わせも勉強していたので自信も技術、ノウハウもある。だから、行う前から6割程度はいい結果がでるだろうと思っていました。

オリンピックの選手村にもスポーツマウスガードをつくるために、毎回ボランティアの歯科医師と歯科技工士が常駐しているんです。

今回は、作新学院大学陸上部さんにつかっていただき、15人中14人に新記録が出ました。予想をはるかに超えて好成績だったのもあり、メディアにとりあげられ、注目してもらえました。

—あまりに顕著な結果に驚きました。

スポーツマウスガードの効果はまだまだ知られていないんです。だからこの価値をどうPRしていくかは僕らの課題かなと考えています。

—それだけ効果が出るのに、普及しなかったのには理由があるんですか?

ネックは価格ですね。オーダーメイドで、1個作るのに歯科医院で頼むと2.5~4万円程かかります。

でも、例えば靴なら、みんな履いたことがあるから高くてもいいものを買いますよね。

ですからエビデンスがあり、間違いなく結果が出るというデータがあれば、スポーツマウスガードを使う可能性は出てくるはずです。そのためにも今回のように実験して、論文にしていくことが大事だと思っています。

補綴(ほてつ)物コンサルティングで患者さんの声を聞く

武市さんが行っている補綴(ほてつ)物コンサルティングとはどんなサービスですか?

患者さんと歯科技工士が対話するサービスです。補綴物とは(差し歯・銀歯)のことをいいます。

今、歯科技工士は患者さんとちょっと離れています。でも、作り手だからこそ、形や色はどうしたいか、予算に合わせた材料の提案をして、その人のライフスタイルに合わせた歯をつくることができます。

顧客の「どうしてこうしたいのか」を聞くことで、お互いの満足度があがる体験が過去にありました。

例えば、歯の形によって発音する際に「さ」行「た」行が言えなくなるなど、喋りにくくなることがあるんです。喋るのが職業の人の場合とても困りますよね。歯の色も、昼間の仕事か夜の仕事かでも違います。

前歯にコンプレックスがあって直したい人には、できることとできないことを話しながら、その人ができるだけ満足するように歯をつくるのも僕らの仕事です。

希望や悩みも含めて「ずっとこうしたかった」というお話を聞くことで、患者さんに心から「お願いします」と任せてもらえるのが理想ですね。

歯科技工士がつくるミライとは

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—歯科技工士は、私たちの体の一部をつくる職人と考えると身近に感じます。最新技術を取り入れながら、独立し新しいことに挑戦している武市さんの原動力は何ですか?

一番は、人を笑顔にしていきたいという気持ちです。

僕の得意なのが「歯」というだけで、人が笑顔で健康に生活できることに貢献したいんです。

今お世話になっている歯科医師の先生から、現代は5人に4人の子どもが叢生(そうせい)歯列になっているという話を聞きました。食生活が変化し、顎が小さくなることで今まで歯が生えていたスペースが小さくなり、きれいに生えてこないようになってしまっているんです。

そうなると、睡眠障害、口呼吸になるなど、全身に関わるいろんなところに支障が出ます。

だから矯正する人が多いんですが、5〜12歳位でしないと、矯正しても後戻りする可能性が出てきてしまう。見た目や器具でいじめられたりすることもありますよね。

そんな話を聞いたときに、「歯を1本直してる場合じゃない!」と思ったんです。歯へのリテラシーの向上や、認知を同時進行しないと僕はずっと、壊れた方を直す仕事しかできなくなってしまう。

こう言った事を知ることで、歯のトラブルを防いだり早めに対処できることで歯の状態は変わります。だから、歯科技工士も歯科医師や歯科衛生士と共に、知ってもらうための情報発信をしていけたらと考えています。

まずはスポーツマウスガードをきっかけに「歯ってすごい」「噛み合わせは大事」ということを知ってもらいたい。そういうきっかけを今後も作っていきたいです。

武市さんの取材を終えて

歯科技工士は歯を通して笑顔と健康を創る!みらいデンタル企画の挑戦

歯の専門家として歯医者さんを思い浮かべる人は多いと思いますが、歯をつくる職人の歯科技工士の技がその治療を支えているんですね。

少子高齢化で、高齢者ニーズがあるのは想像できましたが、食生活の変化から子どもの歯の問題もそこまで大きくなっているとは思っていませんでした。

技術職として腕を磨いてきた武市さんが「ひとつの冒険」と話す、スポーツの可能性を広げるスポーツマウスガードの利用による効果も、歯や噛み合わせへの理解を深めることに繋がります。

歯並びや噛み合わせ、歯の悩みがある方は、「歯」の専門家、歯科技工士の武市さんに是非相談してみてください。

武市拓郎さんプロフィール

歯科技工士は歯を通して笑顔と健康を創る!みらいデンタル企画の挑戦

埼玉歯科技士専門学校卒

マスターセラミストスクール卒

埼玉歯科技工士専門学校 非常勤講師

バイオデンタル、河津歯科医院で歯科技工士を務めた後みらいデンタル企画を開業

HP:https://mirai-dk.jp/

 

 

この記事を書いた人

日本が誇る太鼓打ちになるには?鼓童池永レオ遼太郎さんインタビューさかもとみき

1986年高知生まれ。広告代理店や旅館勤務を経て、観光・ジビエライター・恋愛コラムニストをしています。

HP:坂本、脱藩中。