「ステマ」の意味とは?法律では違法になるか・何が悪いかも解説

ニュースやSNSなどでよく耳にする「ステマ」という言葉。どんな意味があり、なぜ問題になっているのか実はよくわからない、ということはありませんか?今回は「ステマ」の意味をはじめとして、その手法や何が悪いのか、また違法になるのかなども解説します。

「ステマ」の意味とは

ステマとは「消費者に宣伝と悟られないようPRすること」

「ステマ」は「ステルスマーケティング(Stealth marketing)」を略したマーケティング用語です。消費者に、宣伝であると悟られないよう商品やサービスをPRする方法を指します。

ステルス戦闘機のように、相手に気付かれない方法であることが語源とされています。海外では「覆面マーケティング」という意味の「アンダーカバーマーケティング(Undercover marketing)」とも言われます。

「ステマ」は、マーケティングの方法というよりは、日本に昔からある「やらせ」や「サクラ」とよく似た方法と言えるでしょう。

「ステマ」の反対語は「ダイマ」

「ステマ」と反対の意味があるマーケティング用語には、「ダイマ」があります。「ダイマ」とは「ダイレクトマーケティング(Direct marketing)」を略した言葉です。宣伝であることを隠さず、商品やサービスをPRする方法を指します。

「ダイマ」は企業が営利目的で行う以外にも、個人がSNSやブログなどで商品をレビューする際に「#ダイマ」として拡散するケースもあります。

「ステマ」が行われる理由と例

「ステマ」が行われる理由は「低コストと高いPR効果」

「ステマ」が行われる理由は、広告を出すよりも低コストで、高いPR効果が見込めることです。口コミなどは自分達で行えるため、ほとんどコストはかかりません。

芸能人やインフルエンサーなどに依頼する場合コストは発生しますが、影響力や信頼度による売り上げを考えると高い効果が期待できます。認知度も一気に上がるため、売り上げにつながりやすくなります。

「ステマ」の例①芸能人やインフルエンサーにPRを依頼

「ステマ」の手法の1つに、芸能人やインフルエンサーに報酬を払い、商品やサービスなどのPRを依頼するというものがあります。自身のSNSやブログなどでPRを行い、紹介者のファンがステマだと気が付かなければ、商品やサービスなどを利用する確率が高いとして用いられる手法です。

2012年に発覚したペニーオークション詐欺事件では、複数の芸能人がステマを行っていたとして責任を追及されました。この事件では、ペニーオークションの運営者が詐欺罪をはじめとするいくつかの罪で有罪判決を受けています。

また、芸能人やインフルエンサーのSNSのコメント欄に、業者がファンやユーザーを装って無許可で宣伝コメントを書き込むというケースもあります。

「ステマ」の例②一般人になりすまし口コミ・記事を書く

よくある「ステマ」の例2つ目は、業者や従業員が一般の消費者になりすまし、サイトやSNSに口コミや記事を書くというものです。これらは、あたかも客観的に高く評価されているかのように偽装されています。

人気グルメサイトで行われたステマでは、飲食店が口コミ評価代行業者にお金を払い、高評価を付けてもらっていたことが発覚し、大きな問題となりました。現在ではサイト側もチェック体制の強化を図り、不自然な評価の排除をするなどのステマ対策を取っています。

「ステマ」は法律で違法?何が悪いの?

「ステマ」は意図的に消費者の目を欺いている

「ステマ」は、消費者を意図的に欺く行為です。ステマが行われることで、消費者はその商品やサービスを正しく評価し、判断する機会を奪われてしまいます。

また、信じていた芸能人やインフルエンサーに裏切られたり、口コミへの信頼を裏切られたりすることで、真摯に情報を発信している人に疑いの目が向けられてしまうこともあります。ステマは、多方面に悪影響を及ぼす可能性があるといえるでしょう。

「ステマ」は違法になる可能性も

現在の日本の法律には、「ステマ」を直接規制するものはありません。しかし、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」や「軽犯罪法」に抵触すれば違法です。

景品表示法では、2011年に消費者庁が「インターネット消費者取引に係る、広告表示に関する景品表示法上の問題点、及び留意事項」というガイドラインを公表しています。

ガイドラインには、事業者が提示する商品やサービスの内容、取引条件について記されています。たとえば、実物や競争事業者の商品より著しく優良、または有利だと一般消費者に誤認される情報を、自ら口コミ情報として掲載、第三者に依頼して掲載させた場合、景品表示法上の「不当表示」として問題になるという内容です。

また、実際に購入していないものを購入したと偽り、体験談を口コミサイトやSNS、ブログなどに掲載する行為は、軽犯罪法の「人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした」に該当する可能性があります。

「ステマ」のリスクとは?

「ステマ」が発覚すれば大損害を負うことも

「ステマ」は、大きなリスクを伴います。ステマが発覚すれば、企業は大きなダメージを負うからです。一度でもブランドイメージに傷がつくと、回復することは容易ではありません。また、ステマ発覚による炎上が大きければ、商品の回収や販売停止など大きな損害が発生する場合もあります。

もし、芸能人やインフルエンサーが依頼されてステマを行った場合は、ファンからも「騙された」と不信感を持たれ、好感度の失墜は避けられないでしょう。

「ステマ」は競合他社からも批判対象になる

一般の消費者だけでなく、競合他社も「ステマ」には目を光らせています。競合他社がステマに気がつけば、それを暴露し批判することもあります。

ステマが認識されれば、消費者は競合他社の商品やサービスなどに流れてしまうでしょう。競合他社にとってもステマによるデメリットが生じる可能性があるため、ステマを見抜き、厳しく対応しようとします。

「ステマ」は業界全体の信頼を失う

ある商品やサービスで「ステマ」が発覚した場合、ステマを行った企業や組織だけでなく、業界全体が影響を受ける場合があります。ステマとは無関係であっても、「同じ穴の狢」と見なされてしまう可能性があるからです。

一度ネガティブなイメージがついてしまうと、信頼を取り戻すのは難しいでしょう。業界全体のビジネス成長に大きな営業を及ぼす可能性があります。

まとめ

「ステマ」は「ステルスマーケティング」を略したマーケティング用語です。消費者に宣伝であると悟られないようにしながら、商品やサービスをPRする方法を指します。

消費者を意図的に欺く行為であり、場合によっては違法になることもあります。ステマに騙されないためには、SNSでの商品PRや口コミは冷静に判断しましょう。