インターネットスラングに「ディスる」という言葉があります。耳にしたことはある、または使ったことがあるという人も、曖昧な意味しか知らないということがあるかもしれません。
この記事では、「ディスる」にどんな意味があるのかをはじめ、語源や使い方を例文をふまえて紹介します。また、言い換え表現と反対語も解説しましょう。
「ディスる」の意味や語源とは
「ディスる」の意味は「否定する」「けなす」など
「ディスる」には、「相手やものを否定する」「けなす」「馬鹿にする」「侮辱する」などの意味があります。人や店などの悪口を言ったり、貶めようとしたりしてする発言を指す言葉です。
自分自身に対してではなく、他者に対して上記のようなことを言う場合を「ディスる」と表現し、悪意のニュアンスを含む言葉のため、使う場合には注意が必要です。
「ディスる」の語源は英語「disrespect」
「ディスる」の語源は、英語「disrespect(ディスリスペクト)」です。「disrespect」は、「尊敬する」という意味の「respect(リスペクト)」に、否定の意味を持つ接頭語「dis(ディス)」がついています。
名詞では「無礼」「軽蔑」「軽視」などの意味を持ち、動詞では「無礼なことを言う」「軽んじる」「蔑む(さげすむ)」などの意味があります。
「ディスる」の表現はヒップホップ文化に由来
「ディスる」という表現がいつから一般的になったかというと、2000年代後半以降だとされています。インターネット上のスラングとして若者の間で使われ始め、幅広い年代で使われるようになりました。
「ディスる」は、海外のヒップホップのラップバトルが由来です。相手を挑発したり侮辱したりするラップが「diss(ディス)」、侮辱され挑発されたラッパーが批判し返すことが「beef(ビーフ)」です。
日本のヒップホップシーンでは、1990年代半ばから後半くらいにこのやり取りを指して「ディスる」「ディスられる」という表現が定着。テレビ番組に出演したヒップホップ集団が「ディスる」を多用したことで、若者の間でも使われるようになったと言われています。
「ディスる」の使い方や類語・言い換えとは
「ディスる」の使い方と例文
「ディスる」は、ネガティブな意味を持ち、きつい表現として受け取られる言葉です。使うシーンや相手には注意する必要があることを覚えておきましょう。
- 匿名だからと、ネット上で人をディスるのは卑怯だ
- 彼は人をディスってばかりいるから、周りから疎まれている
- いつもあの人にディスられてばかりいるから、この間ついに反撃してやった
言い換えに使える類語は「悪口を言う」「侮辱する」
「ディスる」は、「侮辱する」や「悪口を言う」「馬鹿にする」などと言い換えることができます。
- 匿名だからと、ネット上で人の悪口を言うのは卑怯だ
- 彼は人を侮辱してばかりいるから、周りから疎まれている
- いつもあの人に馬鹿にされてばかりいるから、この間ついに反撃してやった
「ディスる」の反対語とは
「ディスる」の反対語①「リスペクトする」
「ディスる」の語源「disrespect」と反対の意味を持つ言葉は「respect」です。つまり、「ディスる」の反対語には「リスペクトする」が該当します。
「リスペクトする」は「相手を尊敬する」「憧れている」という意味で使われ、相手を敬う表現です。「リスペクトしているアーティストのライブに行ってきた」「彼のそういう部分を私はリスペクトしている」というように使用します。
「ディスる」の反対語②「褒める」
「褒める」も「ディスる」の反対語です。「ディスる」の「悪口を言う」という意味の反対が、「褒める」になります。
「褒める」は言わずもがな、物事が優れていることを評価する時に使う表現です。ネガティブな表現の「ディスる」に対して、とてもポジティブな表現となります。
「ディスる人」の心理や対処法とは
「ディスる人」は優位に立ちたい
「ディスる人」は、心理状態が不安定である場合があります。たとえば、「自分を認めてほしい」という承認欲求が強く、そのために相手より優位に立ちたいという例です。
人を見下しマウンティングすることで、自分のポジションを守りたいと考える心理が働いていると考えられます。本当は自分に自信がなく、他人をディスることで「自分はこんなにすごいんだ」とアピールして優位に立とうとしているのです。
「ディスる人」は相手が羨ましい
相手を羨むあまりディスってしまう、ということもあります。容姿や境遇など、自分の努力ではどうにもならない部分で敵わないと感じている例です。
同じようなポジションにいたはずなのに、いつの間にか相手が理想を実現していると感じることで、嫉妬心から相手をディスり、自分の心を落ち着かせようとする心理が働いていると考えられます。
「ディスる人」はストレスが溜まっている
自分の中に溜まっているストレスを、他人をディスることで吐き出そうとしてしまう人もいます。ストレスが溜まって感情のコントロールができなくなり、自覚がないまま溢れる負の感情を相手にぶつけてしまうのが特徴です。
無自覚に人を傷付けたり不快な思いをさせたりすることがないように、自分の心としっかり向き合いましょう。
「ディスる人」への対処法
「ディスる人」の心理や特徴をふまえて、いくつか対処法を整理してみます。
まずは「ディスられる」可能性を減らしましょう。距離をとったり連絡を減らすことが大切です。「ディスる人」を相手にするほど、自分のストレスが溜まっていきます。気づいたら自分が「ディスる人」になっていた、ということがないよう気をつけましょう。
もう1つは「ディスる人」に自信をもって意見することです。「ディスる人」には「自分に自信はないけど認められたい」という心理があります。自信に満ちた姿は「ディスる人」に効果的だと言えるでしょう。くれぐれも喧嘩にならないよう、冷静であることがポイントです。
まとめ
「ディスる」には、「相手やものを否定する」「馬鹿にする」「侮辱する」などの意味があります。人や店などの悪口を言ったり、貶めようとする発言のことです。
英語の「disrespect」が語源になっていて、2000年代後半以降にネットスラングとして使われ始めました。ネガティブな意味を持つため、使うシーンに注意しましょう。