数多ある四字熟語の中でも、良い意味のものを知っておくと様々なシーンで役に立ちます。今回は、良い意味があってかっこいい四字熟語をはじめ、スローガンに使えるもの、卒業する人に贈れるもの、学校でも使えるものをご紹介。もちろん、それ以外のシーンにも使えます。
良い意味の四字熟語とは?
良い意味の四字熟語一覧
- 英明果敢(えいめいかかん)
- 意気衝天(いきしょうてん)
- 花紅柳緑(かこうりゅうりょく)
- 感奮興起(かんぷんこうき)
- 精神一到(せいしんいっとう)
- 前後裁断(ぜんごさいだん)
- 桑弧蓬矢(そうこほうし)
- 則天去私(そくてんきょし)
- 一路平安(いちろへいあん)
- 涸沢之蛇(こたくのへび)
- 報恩謝徳(ほうおんしゃとく)
- 博聞強記(はくぶんきょうき)
良い意味の四字熟語の特徴
良い意味の四字熟語は幅広くあり、使いたいシチュエーションに合わせて最適なものを選ぶ必要があります。挨拶や文章を書く際などに、何か一般的な表現よりもかっこよく聞こえる、読めるものが使いたい場合は、意味の他に字面や響きも考慮してみると良いでしょう。
スローガンに向いている良い意味の四字熟語では、前向きな意味のものが好まれます。目標に向かい進んで行けるような四字熟語を選びましょう。
卒業する人に向けてや、学校で生徒たちに四字熟語を使いたい場合には、その人たちの立場から想像しやすい意味の四字熟語を選ぶと、意味や気持ちが伝わりやすくなります。
良い意味があってかっこいい四字熟語
「英明果敢」は才能があり道理に明るく思い切りが良いこと
「英明果敢(えいめいかかん)」は、才能があり、物事の道理に明るいうえに思い切りが良いこと、という意味を持つ四字熟語です。「英明」には才知に優れていて賢いこと、という意味があり、「果敢」は決断力があり思い切って物事を行うという意味があります。
「君のような英明果敢な人を採用したいと考えていた」や、「彼は英明果敢さを発揮して会社を牽引している」などのように使用します。
「意気衝天」は意気込みが盛んで勢いが溢れている様子
「意気衝天(いきしょうてん)」は、意気込みが盛んで元気がよく、天を衝きそうなほどに勢いが溢れている様子を表す言葉です。「意気」には気概や元気という意味があり、「衝天」には天を突き上げるいう意味があります。訓読をして「意気天を衝く(つく)」と言う場合もあります。
「意気衝天」には「意気軒昂(いきけんこう)」や「意気揚揚(いきようよう)」などの類語があります。
「花紅柳緑」は春の美しい景色を形容する言葉
「花紅柳緑(かこうりゅうりょく)」は、紅い花と緑の柳を意味しており、春の美しい景色や、色とりどりの華やかな服装を形容する言葉です。また、人の手が加わっていない自然のままの美しさを指して使うこともあります。
出典は蘇軾(そしょく)の『東坡禅喜集(とうばぜんきしゅう)』と言われており、禅宗においては、花は紅く、柳は緑という、自然そのものの姿こそが悟りの境地であることを示しています。
スローガンに使える良い意味の四字熟語
「感奮興起」は心に深く感じ奮い立つこと
「感奮興起(かんぷんこうき)」は、心に深く感じ奮い立つことという意味の言葉です。「感奮」には、心を揺り動かされ奮い立つという意味があり、「興起」には気構えが奮い起こるという意味があります。
「私を感奮興起させてくれる作品に出会った」のように使用し、類語には「一念発起(いきねんほっき)」や「悔悟奮発(かいごふんぱつ)」などがあります。
「精神一到」は心を集中し努力すればできないことはないこと
「精神一到(せいしんいっとう)」は、心を集中し努力すれば、できないことはないことを指す言葉です。中国のことわざである「精神一到、何事か成らざらん」に由来しており、出典は「朱子語類(しゅしごるい)学二」です。
「精神一到」の類語には、「一念通天(いちねんつうてん)」や「 射石飲羽(しゃせきいんう)」などがあります。
「前後裁断」は過去や未来を今と切り離し、今を生きること
「前後裁断(ぜんごさいだん)」は、過去を意味する前と未来を意味する後をそれぞれ今と切り離し、今を生きよ、という意味の言葉です。「前後裁断」は禅の教えの言葉で、江戸時代に臨済宗の名僧である沢庵禅師が『不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)』で言及しています。
過ぎたことやこれから起こることに囚われず、今、目の前にあるものに全力で取り組むことを説くこの言葉は、スポーツ選手も多く感銘を受けています。
卒業に贈りたい良い意味の四字熟語
「桑弧蓬矢」は男子が志を立て雄飛すること
「桑弧蓬矢(そうこほうし)」とは、桑でできた弓と蓬(よもぎ)でできた矢のことで、男子が志を立て雄飛すること、またはその遠大な志を例える言葉です。
古代中国では、諸侯は男児が生まれると、将来大きく世の中に羽ばたいて欲しいという願いを込め、桑の弓「桑弧」で蓬の矢「蓬矢」を天地四方に向けて射たことに由来しています。出典は『礼記(らいき)』の射義です。
「則天去私」は小さな私心を捨て天地自然に身を委ね生きること
「則天去私(そくてんきょし)」は小さな私心を捨て、天地自然に身を委ねて生きることを意味します。「則天」は普遍的な妥当性や天地自然の法則に従うことを指し、「去私」は私心を捨て去ることを指します。訓読では「天を則り私を去る」です。
夏目漱石が晩年、理想とした境地や人生観として有名で、宗教的な悟りを意味しているとも自身の文学観を意味しているとも言われています。
「一路平安」は旅立つ人に道中の無事を願い言う言葉
「一路平安(いちろへいあん)」は、旅立つ人に向けて、道中の無事を願い言う言葉で、「道中ご無事でありますように」という意味があります。「一路」は一筋に続く道やひたすらという意味を指し、「平安」は、平穏無事であることを指します。
出典は『紅楼夢(こうろうむ)』の一四。同じように使われる類語に「一路順風(いちろじゅんぷう)」があります。
学校でも使える良い意味の四字熟語
「涸沢之蛇」は互いが利用し合い利益を得ること
「涸沢之蛇(こたくのへび)」は、相手をうまく利用し、互いに利益を得ることを意味します。「韓非子(かんぴし)」の説林(ぜいりん)・上にある以下の逸話が由来の言葉です。
水が干上がった沼地「涸沢」に住む蛇が別の沼地に引っ越す際、小さな蛇が大きな蛇に向かって「大きなあなたの後に小さな私がついて進んで行けば、人間に見つかった時に殺されてしまいます。
人間たちが神の使いだと思うように、大きなあなたの背に小さな私が乗り、お互いの尻尾をくわえて進んではどうでしょう」と言いました。その通りにしたところ、蛇たちは無事に引っ越すことができました。
「報恩謝徳」は受けた恩に対し感謝の気持ちを返すこと
「報恩謝徳(ほうおんしゃとく)」とは、受けた恩や特に対し、感謝の気持ちを持ってそれに見合ったお返しをすること、という意味を持つ言葉です。「報」には報いる、お返しをするという意味があり、「謝」にはお礼をいうこと、という意味があります。漢文を訓読すると「恩に報い徳に謝す」となります。
「報恩謝徳」の語源は仏教で、「四恩の教え」(「父母の恩」「国王の恩」「衆生の恩」「三宝の恩」で四恩)が「報恩謝徳」の由来だと言われています。「報恩謝徳」の類語には「報本反始(ほうほんはんし)」や「卵翼之恩(らんよくのおん)」などがあります。
「博聞強記」は広く物事を知り、よく覚えていること
「博聞強記(はくぶんきょうき)」は、広く物事を知り、その内容をよく覚えていることを意味する言葉です。「博聞」は、広く物知りであることを指し、「強記」は記憶力が優れていることを指します。
出典は『韓詩外伝(かんしがいでん)』です。類語に「博識洽聞(はくしきこうぶん)」「博聞強志(はくぶんきょうし)」などがあり、「彼は博聞強記の学者だ」のように使用します。
まとめ
良い意味を持つ四字熟語を、使いたいシーンやカテゴリごとに分けてご紹介しました。ニーズに合った四字熟語は見つかりましたか?シチュエーションに合った四字熟語を上手に使うことで、いつもの挨拶や文書に変化をつけてみてはいかがでしょうか。