「恐れ多い」の意味とは?畏れ多い・恐縮との違いや類語・英語も

何か好意的な声掛けをしてもらった時に、「恐れ多い」という言葉を使おうと思ったことはありませんか?今回は「恐れ多い」の意味をはじめ、漢字表記が違う「畏れ多い」や、同じような使われ方をする「恐縮」との違いも解説。他の類語や英語表現も解説していますので、参考にしてみてください。

「恐れ多い」の意味とは?

「恐れ多い」の意味は”失礼になるので申し訳ない”

「恐れ多い(おそれおおい)」の意味は、“貴人(地位や家柄が高い人)や尊敬している人などに対し、失礼になるので申し訳ない”ということです。他にも「自分の身にはありがたすぎてもったいない」という意味があります。

かけてもらった言葉やしてもらった行動が、自分の身に過ぎたことであり、恐縮するという状況で使う言葉です。

「恐れ多い」の使い方と「畏れ多い」との違いとは?

「恐れ多い」は謝罪をする場合やお断りをしたい場合に使う

「恐れ多い」は、謝罪をする場合やお断りをしたい場合に使います。目上の人に対して使う言葉で、同僚や後輩など、立場が同じ人や下の人に対しては使いません。

「恐れ多い」は、言いにくいことや否定的なことを伝えなければならない時に使う「クッション言葉」になっており、本題に入る前に「恐れ多いことですが」と導入として使うと、相手を敬う気持ちや失礼になってしまい申し訳ない気持ちを表現することができます。

「大変恐れ多いことなのですが、今は別の案件に対応中でして、後ほどご連絡差し上げてもよろしいでしょうか」や、「社長、恐れ多いですが、一言申し上げさせていただきます」のように使用します。

「畏れ多い」はとても身分の高い人に対し使う

「恐れ多い」と同じ読み方をする「畏れ多い」。意味もほぼ同じですが、この2つの違いは「使う対象」にあります。

「恐れ多い」が一般的なビジネスシーンでの上下関係で使われるのに対し、「畏れ多い」は偉大な人や崇高なものを畏れ敬う意味を持ちます。天皇陛下や国王など、非常に身分が高い人に対しての敬意を表現したい場面で使う言葉です。

「畏れ多い」を使った例文

「畏れ多い」を使った例文をご紹介しましょう。

  • こちらの作品は、畏れ多くも先日天皇陛下から直接お褒めの言葉を賜りました。
  • 国王自らお出ましになるとは、なんと畏れ多いことか。

「恐れ多い」と「恐縮」の違いとは?

「恐縮」は”身の縮むような思い”を意味する

「恐縮(きょうしゅく)」も「恐れ多い」と似たような場面で使われる言葉です。「恐縮」は、”申し訳なく、またはありがたく思い、身の縮むような思いをすること”を指します。

「恐」は恐れることを意味し、「縮」は身がすくむことを意味しており、もともとは恐怖で身がすくむという意味もありました。しかし現代では、申し訳なさやありがたさで身がすくむ思いをすることを意味しています。

「恐れ多い」が目上の人に対して申し訳ない、ありがたい、という意味で使う言葉であるのに対し、「恐縮」は相手に迷惑をかけたり、厚意を受けたりして申し訳なく思っている、という時に使う言葉です。

「恐縮」を使った例文

「恐縮」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 「ご多忙のところ大変恐縮ではございますが、ご臨席賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます」
  • 「あなたのような方から褒めていただけるなんて、恐縮です」

「恐れ多い」の類語・言い換えとは?

「恐れ多い」の類語は”有り難い”

「恐れ多い」には、上記に挙げた「畏れ多い」や「恐縮」の他にも類語があります。そのひとつが「有り難い」です。

「有り難い」にはいくつかの意味がありますが、なかでも「またとないほどに尊い、もったいない」という意味が「恐れ多い」の類語となります。「私などがこんな有り難いお言葉をかけていただけるとは」のように使用します。

「もったいない」も「恐れ多い」の類語

「もったいない(勿体ない)」も「恐れ多い」の類語です。「もったいない」には、”無駄にしてしまうことが惜しい・不都合である”などの意味の他に、「身に過ぎていて恐れ多い、かたじけない」という意味があります。

「僕にはもったいないお言葉です」や「もったいないご配慮、ありがとうございます」のように使います。

「恐れ多い」の英語表現とは?

「恐れ多い」は英語で”I am humbled”

「恐れ多い」を英語で表現する場合、“I am humbled.”が使えます。「humble」には”謙虚な”という意味があります。「I’m humbled.」で”謙虚になれる、謙虚な気持ちにさせられる”となり、「自分にはもったいないことだ・ありがたいことだ」という意味です。

もっと恐れ多いことを表現したい場合には、「Humbled」の前に「Truly」を入れると、「本当に恐れ多いです」というニュアンスで使えます。

「I am honored」という表現も

「光栄に思います」という意味の「I am honored.」も、「恐れ多い」の英語表現として使えます。「honored」には、”名誉ある・光栄な”という意味があります。

「I am honored that I can meet you.(あなたにお会いできて光栄です)」や、「I am greatly honored by your words.(あなたの言葉は身に余る名誉です)」のように使います。

まとめ

「恐れ多い」には、「貴人や尊敬している人などに対し、失礼になるので申し訳ない」「自分の身にはありがたすぎてもったいない」という意味があり、かけてもらった言葉やしてもらった行動が、自分の身に過ぎたことであり、恐縮するという状況で使います。「畏れ多い」や「恐縮」との違いを理解して、正しく使いましょう。