// 「サブリミナル効果」の意味とは?禁止の理由もわかりやすく解説 | TRANS.Biz

「サブリミナル効果」の意味とは?禁止の理由もわかりやすく解説

「サブリミナル効果」というものに対して、「得体の知れない怖いもの」というイメージを抱いている方もいるのではないでしょうか?今回は「サブリミナル効果」の意味をはじめ、何故「怖い」というイメージがあるのかに関してもわかりやすく解説。ぜひ参考にしてみてください。

「サブリミナル効果」の意味とは

「サブリミナル効果」は「潜在意識に影響を与える効果」

「サブリミナル効果」の「サブリミナル(subliminal)」には「閾下(いきか)」という意味があります。「閾下」とは、「刺激が小さくて生体に反応が起こらない状態」や「意識していない状態」という意味の言葉で、心理学では「刺激が知覚されない状態」を指します。

「サブリミナル効果」は「閾下知覚」とも呼ばれ、「非常に短い時間のみ刺激したり、与える刺激を非常に小さくしたりなどして、刺激が知覚されない状態で人間の潜在意識に対して影響を与える効果」という意味があります。

「サブリミナル効果」を使った例

過去の日本のアニメやバラエティ番組には、認識できない1コマを挿入したり、一瞬のメッセージを挿入したりしたものがあり、サブリミナル効果を利用したとして演出が変更されることがありました。

現在では、「サブリミナル効果」は、企業のロゴデザインに用いられることがあります。たとえば、大手通販サイトのロゴでは、オレンジ色のニッコリ笑っている口元のような矢印がAからZまで伸びています。これは笑顔の中に「(A~Zまで)何でもそろえています」という意味が含まれています。

ドイツの有名ビールの会社のロゴも、eの文字に特徴があり、笑っているように見えます。「スマイルe」と呼ばれるこのeの文字には、「お客様に笑って欲しい」というメッセージが込められています。

「サブリミナル効果」は嘘?

「サブリミナル効果」の有名な実験

「サブリミナル効果」の実験結果として有名なのは、1957年にアメリカの市場調査業者ジェームズ・ヴィカリが発表したものです。

ヴィカリは上映中の映画のスクリーンに、コーラを飲め」「ポップコーンを食べろという文字メッセージのコマを1/3000秒ずつ5分間にわたり繰り返し二重映写し、コーラやポップコーンの売り上げに影響が出るかを調べる実験を行いました。

その結果、コーラは18.1%、ポップコーンは57.5%の売り上げ増加があったとしましたが、この実験結果の論文はアメリカの広告調査機構の要請を受けたにもかかわらず発表されず、再実験でも効果が証明されませんでした。こうした不審な点が次々と明らかになり、1962年には、ヴィカリ本人がこのサブリミナル効果の実験はねつ造だと認めました。

「サブリミナル効果」は立証されていない

上記の実験以外に、「サブリミナル効果」を否定する実験も行われています。その1つが、1958年にカナダ放送協会が行った実験です。

このカナダの実験では、全国放送を使い、人間には認識できないスピードで映像の中に「すぐに電話してください」というメッセージを流しました。しかし、電話は大量にかかってはきませんでした。こうした結果から、「サブリミナル効果」の信憑性は疑わしいとされています。

「サブリミナル効果」の影響はないとは言い切れない

「サブリミナル効果」は立証されていませんが、「閾下単純接触効果」を証明した実験はあります。「閾下単純接触効果」とは、知覚の強さが小さすぎて意識には上らない状態「閾下」、つまりサブリミナルで受けた影響が意識決定に影響を及ぼす効果のことです。脳には確かにサブリミナルな知覚が備わっていて、無意識に選んだものにも影響を及ぼしている可能性は考えられます。

ただし、「サブリミナル効果」により購買意欲が刺激され、つい商品を買ってしまう、というほどの強い効果はなく、あくまで選択の際にどちらを選ぶかに影響を与えるかもしれない、という程度のものでしかありません。

「サブリミナル広告」が禁止されている理由とは?

「悪質な行為」とみなされる

「サブリミナル効果」は立証されていないのにも関わらず、「サブリミナル効果」を使用した表現方法は日本放送局(NHK)や日本民間放送連盟で禁止されています。日本のみではなく、イギリスやアメリカ、カナダでも同様です。

「サブリミナル効果」の広告利用が禁じられている理由としては、消費者を秘密裏に操作するアンフェアで悪質な行為とみなされることが考えられます。効果は大きくないにしろ、消費者の無意識下に命令を刷り込み、意思を操作しようと試みること自体が悪質だという倫理的な側面が大きいでしょう。

「洗脳への恐怖」を煽る

「サブリミナル効果」の広告利用が禁じられているもう1つの理由として考えられるのは「洗脳への恐怖」です。

サブリミナル効果が広く認知されるようになったのは、1950年代で東西冷戦の最中でした。現在よりも混沌とした社会情勢の中「TVや新聞などを通じ、洗脳されるかもしれない」という恐怖は大きかったと考えられます。

「サブリミナル効果」に似た演出は一部認められている

「サブリミナル効果」に似た演出が特許として認められ、実際に使用されていたのがパチンコです。パチンコは開始後に所定時間が経過するたび、大当たりをした時の映像を流す演出があります。これは遊戯者の射幸心を煽り、予定時間よりも長く続けてしまう効果を狙っています。

ギャンブルが射幸心を煽る演出をすることの是非はありますが、これは無意識への訴えとは違い、知覚できる映像になるため、特許として認められたと推測されます。

「サブリミナル効果」は恋愛に活かせる?

「好き」という言葉を会話に混ぜる

「サブリミナル効果」とは言えませんが、似た効果を使って相手の潜在意識に自分の存在をアピールする手法は、恋愛テクニックとしてよく紹介されています。

たとえば、自分のことを好きになってほしい人と一緒にいる時に、「好き」という言葉を多く使うことで、相手の潜在意識に「好き」という感情を刷り込むというもの。相手に直接「好き」と思いを伝えるのではなく、「犬が好きなんだ」「この曲すごく好きなんだ」「そのアクセサリー好きだな」というように、会話の中に「好き」という言葉を入れ込むというものです。

一緒にドキドキする体験をする

心理学の「吊り橋効果」に近いものとして、一緒にドキドキする体験をするという恋愛テクニックもあります。

お化け屋敷やホラー映画を一緒に体験したり、高い所に行くといった怖さのドキドキだけでなく、恋愛映画やドラマを一緒に見たり、カップルが多いスポットに行くなどの疑似恋愛体験のドキドキも含まれます。一緒にいてドキドキするから恋愛感情を抱いているのだ、という錯覚を潜在意識に与えるテクニックです。

まとめ

「サブリミナル効果」には、「非常に短い時間のみ刺激したり、与える刺激を非常に小さくしたりなどして、刺激が知覚されない状態で人間の潜在意識に対して影響を与える効果」という意味があります。「サブリミナル効果」は立証されていませんが、脳にはサブリミナルな知覚が備わっていて、無意識に選んだものにも影響を及ぼしている可能性は考えられます。