弔問に手土産は必要?のしはどうする?渡し方やマナーを解説

訃報を受け、遺族にお悔やみの言葉を伝えるための弔問。弔問に際しては、深い悲しみのなかにいる遺族への配慮がもっとも大切になります。今回は、遺族のご自宅に弔問にうかがう際の手土産に関してを中心に解説しますので、いざという時のために参考にしてみてください。

そもそも弔問とは?

弔問は遺族を訪問してお悔やみの言葉を伝えること

弔問とは、遺族を訪問して、お悔やみの言葉を伝えることをいいます。大切な家族を失った遺族に寄り添い、悲しみを分かち合うためのものです。そのためには、弔問は決して押しつけがましいものであってはならず、遺族の気持ちに配慮し、マナーを守って失礼のないようにすることが大事です。

弔問のタイミングは3つ

弔問のタイミングは、大きく分けて3つあります。もっとも一般的なのは、通夜や葬儀・告別式への参列ですが、訃報を受けて通夜前に駆けつける場合と、後日ご自宅を訪問する場合があります。弔問のタイミングには、故人との関係性と遺族の意向が関わってきます。

通夜前は、遺族は準備で慌ただしい時期です。よほど親しい親族(一親等から三親等までの近しい親族)や、近所の方や友人で日頃から故人と親しい交流があった場合でなければ、弔問にうかがうのはマナー違反とされます。故人や遺族と特に親しくしていて、通夜や葬儀の準備を手伝う場合には、あらかじめ訃報を受けた際に、通夜の前にうかがいお手伝いをしても良いか、遺族に確認しておきましょう。

仕事の都合や病気などで、どうしても通夜や葬儀に参列できない場合には、後日ご自宅に弔問にうかがいます。その際には、葬儀や告別式の直後を避け、3日から5日ほど空けてから、遺族に必ず弔問に訪れてもいいかをうかがい、日時を決めてから訪問します。連絡を入れた際に、遺族が香典や弔問を辞退することもありますので、その場合は遺族の意向に従いましょう。

弔問に手土産は必要?何を選べばいい?

弔問に手土産は基本的には不要

弔問にうかがう際、手土産は基本的に不要です。通夜前に弔問にうかがう場合には、香典も持参しません。香典を準備していると、不幸を予想していたように感じられるためです。

香典は通夜や葬儀・告別式に持参します。参列できない場合には、香典はお悔やみの手紙と共に郵送するという方法もあります。通夜や葬儀・告別式に参列できず後日弔問する場合には、香典を持参しましょう。

一般的なお供え物は「線香」「花」

弔問にお供え物を持参する場合、一般的なものは線香や花です。仏教の場合、線香の香りは「香食(こうじき)」と呼ばれ、仏様のごちそうであるとされます。だたし、仏教以外では線香はお供え物としないこと、また香りの好みの問題もあり、近年では場合により避けた方がいいとされることもありますので、注意する必要があります。

花は宗教に関係なくお供えできます。仏教や神道では、白や黄色の花を中心とした菊、カーネーションなど、キリスト教では、白い花の花束や花かごなどが良いでしょう。用意する際に花屋さんで弔問にうかがうことを伝えて、用意してもらいましょう。

お供え物には枕花やお菓子なども

弔問に手土産は不要ですが、どうしてもお供え物を持参したい場合には、通夜前にうかがうなら枕花(ご遺体のそばに供える花)や、故人が好きだったお菓子や果物なら持参しても良いとされます。ただし、通夜前の枕花も訃報を受けてから用意するもので、あまり早く持参すると失礼になる場合もありますので、気をつけましょう。

後日弔問にうかがう場合にも、香典を持参するため手土産はなくても大丈夫ですが、故人が好きだったお菓子や定番のお菓子、果物などを手土産兼お供え物として持参しても気持ちが伝わります。

その際には、日持ちのしないもの、冷蔵のものなどは避け、お供えしやすいように小分けできるものを選ぶなどの気遣いが大切です。また、日持ちするものだとしても、ハムをはじめ肉や魚は殺生をイメージさせるためマナー違反となります。

「熨斗(のし)」はどうする?

弔事には「結び切り」の水引を

「熨斗(のし)」とは、掛け紙の右上に印刷されている慶事用の柄のことを指します。弔事用の掛け紙に熨斗はなく、一般的に弔事用熨斗紙と呼ばれているのは水引が印刷されている掛け紙です。

弔事には水引きは「結び切り」となりますので、手土産やお供え物を購入して掛け紙を掛けてもらう場合には、弔事用と伝えて用意してもらいましょう。

表書きは「御供」か「御霊前」

弔問に持参する手土産やお供え物に掛ける掛け紙の表書きは「御供」や「御霊前」になります。ただし、掛け紙や表書きは、地域によって違う場合もありますので、購入したお店や周囲の方に確認しておくと、失礼がなく安心です。

ご自宅に弔問にうかがう際のマナーや手土産の渡し方とは

自宅に弔問にうかがう場合、喪服はNG

ご自宅に弔問にうかがう場合には、通夜前、後日にかかわらず、喪服は着用しません。通夜前にうかがう場合には、急な知らせで訪問したことがわかるよう、平服を選びます。黒やグレーなどの暗い色合いを選び、ジーンズや露出が多いものなど、カジュアル過ぎるデザインを避けることも大切です。

後日弔問にうかがう場合の服装は、事前に遺族に連絡して日時を決めてうかがうため、ビジネスカジュアルを選ぶと無難です。男性の場合は、白いシャツに暗めのビジネススーツ、ネクタイは地味なものを選びましょう。女性の場合には、暗い色合いのスーツやワンピースを着用します。

喪服を着用しない理由は、通夜前は喪服で駆けつけると、故人の死を予見していたように感じられてしまうためです。後日の弔問の場合の理由は、ご遺族は葬儀や告別式を終え、気持ちを整えて日常生活に戻ろうとしていところに、喪服を着用して葬儀を思い起こさせることを避ける、という配慮です。

手土産(お供え物)を渡すタイミング

通夜前にうかがって弔問する場合には、遺族の申し出があった場合にのみ、ご焼香や対面ができます。基本的には玄関先でお悔やみを述べて、お供え物があればご遺族に渡し、そのまま失礼します。

対面が許された場合に、手土産としてお供え物を渡すタイミングは、お線香をあげて合掌した後です。遺族にお悔やみの言葉を述べる時に、手土産を渡しましょう。菓子折りを渡す場合には、手提げ袋から出します。後日弔問にうかがって手土産を渡す場合のタイミングも同様です。

弔問時のマナー

弔問でもっとも大切なのは、遺族への配慮です。必ず弔問の許可を取り、長居は禁物と覚えておきましょう。会話では、明るい話題や死因に関しての言及を避け、不吉なことを連想させる「忌み言葉」を使わないように注意します。

また、相手の宗教にも配慮が必要です。お悔やみの言葉も、仏教なら「ご冥福をお祈りいたします」、神道なら「御霊のご平安をお祈り申し上げます」、キリスト教なら「安らかに眠られますようお祈りいたします」とするなど、使い分けましょう。

まとめ

弔問とは、遺族を訪問し、お悔やみの言葉を伝えることをいいます。弔問に手土産は不要ですが、持参したい場合には、花やお菓子、果物などが良いでしょう。掛け紙の水引きは「結び切り」です。遺族への配慮を忘れないように、故人とのお別れをしましょう。