インターネット掲示板でよく目にする「イッチ」という言葉は、ネットスラングのひとつです。この記事では、「イッチ」の意味をはじめ、その使い方や語源、類語や派生語などもご紹介。「イッチ」という言葉が誕生したインターネット掲示板「2ちゃんねる」の「なんJ」に関しても解説します。
「イッチ」の意味とは
「イッチ」の意味は「スレ主」
「イッチ」は、スレッドを立てた人、つまり「スレ主」を意味します。「スレッド(thread)」とは、インターネット掲示板やメーリングリストなどで、ある話題や議題について集められた投稿の一覧のことです。
ひとつの話題に対し、始めに投稿をすることを「スレッドを立てる」といい、そのスレッドを立てた人を「スレ主」または「スレ1」と呼びます。これは、始めに投稿すると「>>1」が割り振られるためです。
以前は、スレ主のことをそのまま「>>1は」や「1は」と呼んでいましたが、砕けた表現として「イッチ」が使われるようになりました。フレンドリーな意味を込めて使う場合と、あまり望ましくない話題のスレッドを立てたことを馬鹿にしたり非難したりする意味を込めて使う場合があります。
「イッチ」には「イチロー選手」の意味も
「イッチ」には、「スレ主」の他に、プロ野球の「イチロー選手」という意味もあります。
インターネット掲示板「2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)」の中にある掲示板のひとつ「なんでも実況J(ジュピター:略してなんJ)」では、野球を中心としたスポーツ実況の書き込みを行うユーザーが多く、イチロー選手のことを親しみを込めて「イッチ」と呼んでいます。
イチロー選手の意味で「イッチ」が使われる場合、ほとんどが大きな賞賛の意味を込めて使われます。
「イッチ」の使い方
「イッチ」の類語・派生語とは
「イッチ」の類語は「イチさん」
「イッチ」の類語には、元々の意味である「スレ主」や「イチさん」などがあります。先に述べたように、「イッチ」が誕生する前はスレ主を「>>1は」や「1は」などと呼んでいましたが、そのまま呼ぶことがためらわれる際に、「1」に敬称の「さん」をつけて「イチさん」が使われました。
「イッチ」の派生語「サンキューイッチ」
「イッチ」の派生語「サンキューイッチ」は、スレッドを立ててくれたことに対しての感謝として使われたり、スレ主が何か良い行動をしたことに対して使われたりします。
また、多くの掲示板では、書き込み件数の上限は999件で、上限に達すると書き込みができなくなります。そのため、書き込みが多い人気のスレッドは、最後に書き込みした人や、「何番目に書き込みをした人が続きとなるスレッドを立てる」というような暗黙の了解があります。このルールに沿ってスレッドを立てた人に対する感謝の意を込めて「サンキューイッチ」が使われます。
「フォーエバーイッチ」も「イッチ」の派生語
「フォーエバーイッチ」も「サンキューイッチ」同様、書き込まれる頻度が高い「イッチ」の派生語です。フォーエバーイッチには、スレッドを立てた人に対する賞賛の意味で使われる場合と、追悼の意味で使われる場合があります。
「フォーエバー」は「永遠に」「いつまでも」という意味を持つ英語「forever」で、フォーエバーイッチは「スレ主よ永遠に」という意味になります。スレ主が良い行動をした際に、賞賛の意味で使います。「サンキューイッチ」と一緒に使う場合もあります。
追悼の意味で使われる場合には、スレ主がやり取りの中で死んでしまいそうなほどダメージを受けた場合に使います。追悼というより、慰めといったニュアンスが近いかもしれません。
2ちゃんねる、なんJとは
「なんJ」は「2ch(現在の5ch)」の掲示板のひとつ
そもそも「2ちゃんねる」とは、1999年(平成11年)に解説された日本最大級の無料のインターネット掲示板で、匿名で自由に投稿できるという特徴があります。「2ちゃん」や「2ch」とも表記されます。2017年(平成29年)10月に名称が「5ちゃんねる」に変更され、ドメインも2ch.netから5ch.netに変わりました。
2ちゃんねる(現5ちゃんねる)には多数の掲示板が存在し、その中でも独自の文化が形成されているのが「なんでも実況J(なんJ)」です。「イッチ」をはじめとするネットスラングには、なんJから誕生した「なんJ語」と呼ばれるものが多く存在します。
「スレ民」は「スレッド住民」の略語
インターネット掲示板を見ているとよく目にする「スレ民」という言葉は、「スレッド住民」を略したものです。
「スレッド住民」とは、そのスレッドに参加して書き込みをしている人たちを指します。掲示板でその話題について共有し、意見交換をしているネットユーザーに対して使われ、自分がスレッドに書き込みをすれば自分も「スレ民」になります。
「イッチ」だけじゃない、なんJ語
「イッヌ」「ネッコ」
先で述べた通り、「なんJ」から誕生した「なんJ語」はたくさんあります。その中でも、なんJだけでなくSNSやブログへのコメントなどにも使われているネットスラングが、「イッヌ」や「ネッコ」です。「イッヌ」は「犬」、「ネッコ」は「猫」のことです。
なんJでは、イチロー選手を「イッチ」と呼ぶように、野球選手の名前を「○ッ○」と呼ぶことが多く、そのうち野球選手だけに留まらず、様々なものをそのように呼ぶようになっていきました。「イッヌ」や「ネッコ」もその流れの中から誕生したネットスラングです。
「ニキ」「ネキ」
「ニキ」と「ネキ」もなんJ語です。「ニキ」は「アニキ」の略語で、「兄貴のように頼れる存在」という意味で使われます。「ネキ」は「アネキ」の略語。こちらも「姉貴のように頼りになる存在」の意味です。
「ニキ」は、頼もしい活躍をしていたプロ野球選手をなんJで「アニキ」と呼んでいたことから派生した言葉です。ほとんどの場合で敬意や親しみを込めて使われる言葉ですが、得意げに何かをひけらかしてきたり、偉そうな発言をしてきたりする人に対して皮肉を込めて使われる場合もあります。
まとめ
「イッチ」は、スレッドを立てた人、つまり「スレ主」を意味する言葉です。プロ野球の「イチロー選手」を指して使われる場合もあります。「イッチ」から派生した言葉には、「サンキューイッチ」や「フォーエバーイッチ」などがあります。もともとはインターネット掲示板「2ちゃんねる」の中の掲示板「なんでも実況J」から誕生した「なんJ語」です。