「先触れ」の意味とは?読み方や類語「前触れ」との違いも解説

「先触れ」はどう読み、どんな意味があるのかご存じでしょうか?この記事では、「先触れ」の読み方や意味をはじめ、同じような使われ方をする類語「前触れ」との違いも解説。他の類語や英語表現も紹介していますので、参考にしてみてください。

「先触れ」の意味と読み方とは

「先触れ」の読み方は「さきぶれ」

「先触れ」は「さきぶれ」と読みます。「触れ」は「ふれ(る)」と読むため、「先触れ」を「さきふれ」と読む人もいますが、これは間違いです。

「さきぶれ」と読むことを覚えておきましょう。

「先触れ」の意味は「前もって知らせること」

「先触れ」には、「前もって知らせること」や「予告」という意味があります。「触れ」には「広くたくさんの人に知らせること」という意味があり、それに「先」がつくことで、「事前に知らせる」という意味になります。

また、「先触れ」には「これから起こる物事を感じさせるもの」という意味も。ある物事がこれから起こるのではないかと予感させる場合に使われます。

貴族や大名などの旅の手配も「先触れ」

「先触れ」には、他にも意味があります。

室町時代から江戸時代にかけ、武将や大名、官人、公家衆などが旅行するにあたり、前もって街道の宿駅(しゅくえき)に必要な人足や馬の数を知らせ、休息や宿泊などの手配をさせたことを「先触れ」といい、その手配のための命令書のことも「先触れ」といいます。

日本だけでなく、中世ヨーロッパでも貴族が旅に出る際に「先触れ」を出していたとされます。

「先触れ」を使った例文

「前もって知らせること」の意味での例文

  • 得意先には訪問日時を先触れしてあります。

「これから起こる物事を感じさせるもの」の意味での例文

  • あの不思議な雲は地震の先触れだったのかもしれない。

「先触れ」と「前触れ」の違いとは

「先触れ」と「前触れ」の意味は同じ

「先触れ」の類語「前触れ」には、「前もって知らせること」「事前に通告すること」「何かが起こることを予感させるような出来事」という意味があり、「先触れ」とまったく同じ意味を持っています。

つまり、ほとんどのケースで「先触れ」と「前触れ」のどちらを使っても問題はありません。日常で使われる頻度は「先触れ」よりも「前触れ」の方が高いため、聞き慣れた表現を使いたい場合には「前触れ」を使うとよいでしょう。

「先触れ」は室町時代や江戸時代によく使われていた表現

「先触れ」が広く使われていたのは、室町時代から江戸時代にかけてです。反対に、「前触れ」は室町時代や江戸時代には使われていませんでした。

「先触れ」と「前触れ」の使い分けを厳密に行いたい場合には、言及する時代を確認してみましょう。現在のことに関して使用するなら、「前触れ」の方が一般的です。

「予告」も「先触れ」の類語表現

「先触れ」の類語は、「前触れ」の他にもあります。そのひとつが「予告」です。「予告」には「前もって告げ、知らせること」「前触れ」という意味があります。「先触れ」のひとつ目の意味「前もって知らせること」と同じ意味です。

「予告」は、「予告しておいたテストをやるぞ」「彼は予告通りの時間にやってきた」のように使います。

「先触れ」の類語には「前兆」「予兆」も

「先触れ」のふたつ目の意味「これから起こる物事を感じさせるもの」と同じ意味を持つ類語が「前兆」や「予兆」です。

「前兆」には「ある出来事が起ころうとする兆し」「前触れ」という意味があり、「予兆」も「前兆」と同じ意味を持っています。どちらも、特に未来に起こる事柄を示すものとしての天体や天候、動物や植物などといった自然現象に現れる変化を指して使います。

「何の前兆もなく彼は姿を消した」や、「リュウグウノツカイの出現は地震の予兆とされている」のように使用します。

「先触れ」の英語表現とは

「先触れ」は英語で「Harbinger」や「sign」など

「これから起こる物事を感じさせるもの=前兆」の意味の「先触れ」を英語で表現する場合、「Harbinger」や「sign」などが使えます。「Harbinger」には「前触れ」「前兆」という意味がある他、「先駆者」「先発者」という意味もあります。

「sign」は「符号・記号」や「信号・合図」「標識・看板」などの意味の他に、「前兆」「兆候」などの意味があります。

「前兆」を表現するなら他に、「omen」を使う場合も。「吉兆」なら「good omen」、「凶兆」なら「evil omen」もしくは「ill omen」となります。

「前もって知らせる」の意味で使う「先触れ」を英語で表現する場合は「tell in advance」や「tell beforehand」が使えます。「tell~」には、「~を伝える」という意味があり、「in advance」と「beforehand」には「事前に」という意味があります。

「先触れ」の英語表現を使った例文

  • The crowing of a cock is the harbinger of dawn.(鶏の鳴き声は夜明けの先触れです。)
  • The swallow is a sign of summer.(つばめは夏の先触れです。)
  • Tell your clients who you will go with in advance.(こちらから誰が一緒に行くかクライアントに先触れして。)

まとめ

「先触れ」は「さきぶれ」と読み、「前もって知らせること」や「これから起こる物事を感じさせるもの」という意味があります。類語「前触れ」も同じ意味で、「先触れ」と「前触れ」はほとんどの場合どちらを使っても問題はありませんが、「前触れ」の方が一般的な表現です。