「徳を積む」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。この記事では、「徳を積む」にはどのような意味があり、どのような由来があるのかをはじめ、「徳を積む」とどうなり、どのような行動が「徳を積む」行動なのかなども解説。言い換え表現や英語表現も解説しますので、参考にしてみてください。
「徳を積む」の意味とは
「徳を積む」の意味は「善い行いを重ねておくこと」
「徳を積む」には、「善行や徳行を重ね実践すること」「善い行いを重ねておくこと」という意味があります。立派な行動を積み重ねることにより、人徳を高めたり神仏の加護を得ようとしたりすることを指します。「徳」は「立派な行いや品性」という意味です。
通俗的には、ソーシャルゲームのガチャやコンサートチケットの当選など、運任せにせざるを得ないイベントなどにおいて望ましい結果を得るために、善行を重ねることを指して使われます。
「徳を積む」は仏教の考えが由来
「徳を積む」という考え方は、仏教の教えが由来になっています。仏教には、善い行いも悪い行いも、巡り巡って自分に返ってくるという「因果応報」という考え方があります。誰も見ていなくても、善い行いをしながら生きていれば、それを見ていた天が幸運を授けてくれる、という教えです。
徳を積んでおけば、その徳により、よい結果を引き寄せることができると考えられています。
「徳を積む」を使った例文
- 徳を積む人生を送っていれば、それほど悪いことは起こらないはずだ。
- ソシャゲのガチャでSSRを引き当てるために、普段から徳を積むことを心掛けて生活している。
- あの倍率のコンサートのチケットが当たっただけじゃなく、最前列なんて、どれだけ徳を積んだの?
「徳を積む」の類語・言い換え表現とは
「功徳(くどく)」
「徳を積む」の類語に「功徳(くどく)」という言葉があります。「功徳」には「現在や未来に幸福をもたらす善い行い」「神仏からの果報を受けられるような善い行い」「神仏の恵みや御利益」などの意味があります。
「功徳」は「こうとく」と読むと「功績と徳行」という別の意味になります。
「徳行(とっこう・とくぎょう)」
「徳行」も「徳を積む」の類語です。「徳行」には「とっこう」と「とくぎょう」という2つの読み方があり、どちらも同じ「道徳にかなった正しい行い」「徳の高い行い」などの意味があります。
仏語では「功徳と行法」「功徳をそなえた行」、つまり「功徳行」を指します。
「徳を積む」とどうなる?「徳を積む」方法は?
「徳を積む」と人気が出る
「徳を積む」と、様々なよい結果が得られるとされます。何かよい結果を期待して徳を積むのは本来の姿ではありませんが、その行動により小さな優しさが世界に広がっていくのは悪いことではないでしょう。徳を積むと得られるよい結果には、以下のようなものがあります。
- 人望が厚くなり、人気が出る
「徳を積む」人は他人のためを思い、周囲の人たちに親切に接するため、よい人が周りに集まりやすく人気者に。良好な人間関係を築けるため人望が厚くなり、困った時にも手を差し伸べてもらえたり、信頼できる人を紹介してもらえたりと、人脈もどんどん広がります。
- 物事がよい方向に進む
「徳を積む」人は、人知れず努力できる人です。誰かが見ているところでだけやっていることをアピールし、人の成功を横取りするようなことはしません。人目がないところでも努力し、善い行いを続けているため、本当の実力を身につけています。何かトラブルが起きてもそれに翻弄されず的確な対応ができるため、物事が必然的によい方向に進みます。
- 生き生きとして美しくなる
「徳を積む」行動を通して誰かの役に立つことで、満たされた前向きな気持ちになれます。自然と明るい気持ちになることができ、自信もつくため、表情が明るくなり人としての魅力が増します。活力に溢れ、生き生きと美しく見えるでしょう。
「徳を積む」方法
「徳を積む」方法は5つあるといわれています。それが「体施」「物施」「顔施」「念施」「法施」です。「施」は「施す」という意味です。
- 体施(たいせ)
体を使って徳を積む行為が「体施」です。掃除や子どもの世話、ボランティア活動など、自分の身体を動かし世の中や人の役に立つ行為をすることを指します。
- 物施(ぶっせ)
物を施すことを「物施」といいます。誰かにプレゼントを贈ったり、自分の持っている者をあげたりする行為です。着なくなった洋服を喜んで使ってくれる人に譲ったり、お世話になっている人に手土産を持って行ったりする行為も物施になります。
- 顔施(がんせ)
笑顔や柔らかい表情で周りの人と接し、周囲の人によい影響を与えることを「物施」といいます。穏やかな表情を忘れないことが大切です。
- 念施(ねんせ)
「念施」とは、人や世の中の幸せを祈ることです。大切な人の幸せを心から祈ったり、会社の同僚やお客様の発展・繁栄を祈ったりすることを指します。
- 法施(ほっせ)
人に教えを説くことを「法施」といいます。教えを説くといっても、大げさなものではなく、仕事のアドバイスや悩みの相談、ちょっとした生活の知恵を伝授するのも法施にあたります。
「徳を積む」行動の具体例
先に述べた「徳を積む」方法を踏まえたうえで、具体的な行動例をご紹介します。自分にできることから少しずつ始めてみましょう。
これらの行為は、見返りを求めて行っては意味がありません。見返りを求めず誰かのために行う行為こそが「徳を積む」行為になります。
「徳を積む」の英語表現とは
「徳を積む」は英語で「accumulate virtues」
「徳を積む」は英語で「accumulate virtues」と表現できます。「accumulate」は「積む」という意味です。「積む」は「gather」や「collect」で表現することもできます。
「徳」は「virtue」の他、「good karma」とも訳すことができ、仏教用語の「徳」は「dharma」です。
「徳を積む」の英語表現を使った例文
- I want to gather good karma.(徳を積みたい)
- If you want to develop your talents should do is to accumulate virtues.(もしも才能を開花させたいと願うなら、徳を積むべきだ)
まとめ
「徳を積む」の意味は「善行や徳行を重ね実践すること」「善い行いを重ねておくこと」で、立派な行動を積み重ねることにより、人徳を高めたり神仏の加護を得ようとしたりすることを指します。徳を積むことにより、よい結果を引き寄せることができると考えられています。徳を積むための行動には、見返りを求めないようにしましょう。