「つきまして」の意味とは?使い方や類語、「ついて」も解説

ビジネスシーンでよく耳にする「つきまして」という表現。どんな意味があり、どうやって使うのが正解なのかご存じでしょうか?「つきまして」と同じような使い方をされる「ついて」に関してや、「つきまして」の言い換え表現なども一緒にご紹介します。

「つきまして」の意味とは

「つきまして」の意味は「そういうわけで」

「つきまして」は、漢字では「就きまして」と表記されます。「就く」には「~に関しては」という意味があり、「つきまして」は、「そういうわけで」「そのため」「そこで」「~について」「~に関して」などの意味で使われる表現です。

「つきまして」が文の先頭に使われる場合には、「そのため」や「そこで」のように、前に述べた事実に基づき、その後の行動や流れを促します。

文中で使用される場合には、「この件につきましては」のように「つきましては」の形で使われることが多く、「~については」「~に関しては」の意味で使われ、相手に対し少しネガティブな返答や曖昧な返答をする場合に使われるケースが多くなります。

「つきまして」の使い方

前述のように「つきまして」は、文の先頭で前の文の内容を受けて次の話題に移る際の接続詞としての役割を担う使い方と、連語(ふたつ以上の単語が連結し、ひとつの単語と同じような働きをもつもの)として文中で使う場合の、ふたつの使い方があります。

文頭で接続詞のような意味で使用する場合には、改行をしたり段落を分けたりした直後に用いると、わかりやすくなります。「~することになっています。つきましては、ぜひご協力をいただきたく…」のように、前文の流れを結論に向けてつなぐことができます。

文中で使用する場合には「~については」「~に関しては」を丁寧に伝える敬語表現として使います。「その件につきましては、後ほどご連絡させていただきます」のように、すでに話題にのぼっている内容について言及することができます。

「つきまして」を使った例文

  • 今回は弊社の案をご採用いただきまして、ありがとうございました。つきましては、早速具体的な日程についてご相談させていただきたく、ご連絡させていただきました。
  • お問い合わせいただいた件につきまして、以下のように回答をさせていただきます。

「つきまして」はメールの件名には使わない方がベター

ビジネスメールの件名に、「~について」や「~の件につきまして」と書かれている場合がありますが、これはできるだけ使わない方がベターです。

「先日のご依頼について」や「経理処理につきまして」などのような件名は、主題がわからず、メールを開封するまで何をどうしたいのかがわかりません。

「(依頼されていた)研修プログラム作成に関してのご相談」や「経理処理方法変更についてのご連絡」のように、件名を見ただけで何についてのメールなのかわかるような書き方を心掛けましょう。

「つきまして」と「ついて」の違いとは

意味には明確な違いがない

「ついて」も、「つきまして」と同じく、漢字では「就いて」と書きます。連語の「つきましては」は「ついて」を丁寧に表現したもので、ビジネスシーンや公式の場などで丁寧な印象を与えたい場合に使います。

「ついて」は、連語「について」の形で接続詞として使われます。「について」は、格助詞「に」に動詞「つ(就)く」の連用形と接続助詞「て」がついた連語。ある事柄に関し、その範囲をそれと限定します。

「ついて」を使った例文

  • 時間になりましたので、会議を始めたいと思います。ついては、お手元の資料をご覧ください。
  • この問題について、何かご意見はありますか?

「つきまして」の類語・言い換え表現とは

「従いまして」

「つきまして」には、その使い方によってさまざまな言い換え表現があります。

言い換え表現のひとつ「従いまして」は、接続詞「従って」の敬語・丁寧語です。前の文を受け、その内容を絞り込んで何かしらの結論に導くために使い、前後の意味の関係性は非常に強いものになります。

「この事故の原因はここにあると考えられます。従いまして、この点の早急な改善が必要です」のように使用します。

「ですので」

「ですので」も、前の文と後ろの文をつなぐ接続詞です。「なので」の丁寧な表現が「ですので」です。断言を表す助動詞「です」と、根拠を表す接続助詞「ので」から成っています。

「こちらは立ち入り禁止ですので、表玄関にお回りください」のように、理由と結果をつなぐ役割で使用します。

文頭では使わない表現で、「ですので、先程も申し上げた通り…」のように話し出す際に使ってしまうと、相手を責めているようなニュアンスになってしまいます。相手を不快にさせてしまう可能性もありますので、使い方に注意しましょう。

「そういう訳で」

「そういう訳で」は、前に述べた物事の事情や背景などを理由にする場合に使われる表現です。「昨日財布をなくしてしまいました。そういう訳で、今日の飲み会には参加できません」のように、「そういう訳で」の後ろに帰結が続きます。

「おかれまして」

「つきまして」は物事や事象を指す際に使いますが、人や場所が対象の場合には「おかれまして」を使います。

「皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」や「貴社におかれましては、ますますご繁栄のこととお喜び申し上げます」などのように使い、ビジネスシーンだけでなく、学校の保護者宛のお便りや地域のお知らせなど、幅広く使えます。

まとめ

「つきまして」は、「そういうわけで」「そのため」「そこで」「~について」「~に関して」などの意味で使われる表現です。文頭で接続詞としての役割を担う使い方と、連語として文中で使う場合の、ふたつの使い方があります。