「襤褸」の意味とは?読み方や語源、「襤褸が出る」や英語表現も

読み方が難しい言葉は数多くあります。「襤褸」もそのひとつではないでしょうか。この記事では、「襤褸」の読み方や意味をはじめ、「襤褸」を使った慣用句や英語表現などもご紹介。さらに「襤褸」の歴史についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

「襤褸」の読み方と意味とは

「襤褸」の読み方は「ぼろ」、意味は「使い古しの布」

「襤褸」は「ぼろ」と読みます。「襤褸」には、「使い古しの布」や「ぼろきれ」などの意味があります。他にも、「 着古して破れた衣服や、つぎはぎだらけの衣服」「隠していた都合の悪い点や失敗」「 破れたり、こわれたりしているものや、役に立たなくなったもの」などの意味があります。

「襤褸」を使った例文

  • 襤褸で靴を磨く。
  • その子はいつも襤褸を着ていた。
  • 彼は襤褸を隠すのに必死だった。
  • こんな襤褸家では生活できない。

「襤褸」には「らんる」という読み方・意味もある

「襤褸」には、「らんる」という読み方もあります。「らんる」と読む場合の意味は、「破れた衣服」「ぼろぼろの衣服」「ぼろきれ」「ぼろ」「つづれ」などです。

「襤褸(らんる)を纏った男が通りをふらふらと歩いていた」のように使います。

「襤褸」の語源は「ぼろぼろ」

「襤褸(ぼろ)」を使った言葉に「ぼろぼろ」がありますが、実はこの「ぼろぼろ」こそが「襤褸」の語源であるとされています。「ぼろぼろ」とは、衣服が破れている様子を表す擬態語です。擬態語や擬音語はオノマトペとも呼ばれ、日本語に多く見られます。

また「襤褸(らんる)」は、古代中国の漢の時代、揚雄(ようゆう)が各地の方言を集めた「揚方言」で記載していることに由来しています。

「襤(ラン・つづれ・ぼろ)」も「褸(ル・ロウ・つづれ・ぼろ)」も、どちらも「ぼろきれ」を表す漢字です。

「襤褸」を使った慣用句とは

 

「襤褸が出る」

「襤褸が出る」は「隠していた欠点や短所が現れる」という意味の慣用句です。嘘をついたり誤魔化したりして隠していたことが、何かの拍子に明るみに出てしまうことを表します。

「彼女はあの大学の卒業生だと偽っていたが、本当の卒業生たちと話しているうちに襤褸が出て嘘だとばれてしまった」「襤褸が出ないよう取り繕うのに苦心した」などのように使用します。

「昨日の襤褸、今日の錦」

「昨日の襤褸、今日の錦(きのうのつづれ、きょうのにしき)」は、「昨日は襤褸を着ていた人が、今日は美しい衣服を身に纏っている」という意味です。「昨日の錦、今日の襤褸」という場合もあります。「錦」とは、「たくさんの色糸や金銀の糸をふんだんに使った、豪華な模様の絹織物」を指します。

人生というものは浮き沈みが激しく、人の運命もまた移り変わりやすいものだということ、つまりこの世の栄枯盛衰の激しさを表す慣用句です。

「あの人、リストラされたばかりの頃は家に籠もって出てこなかったらしいけど、今は事業に成功してタワマンの住人なんだって。昨日の襤褸、今日の錦とはよく言ったものだよね」のように使います。

「襤褸」の類語とは

「弊衣(へいい)」

「弊衣(へいい)」とは、「破れてぼろぼろになった衣服」のことです。ぼろぼろの衣服と破れた帽子のことを指して「弊衣破帽(へいいはいぼう)」といいます。「弊衣破帽」は特に、旧制高等学校の生徒の間で流行した蛮カラな服装のことを指す場合が多い言葉です。

「弊衣を身に纏った男が、突然王の馬車の前に躍り出た」のように使用します。

「つづれ」

「つづれ」とは、「破れをつぎ合わせた衣服」という意味の言葉です。「ぼろの着物」「ぼろ」「つづれごろも」という意味もあります。

横糸に数色の色糸を使って、模様の部分だけをつづら折りのように織り進め模様を表した織物「綴れ織り」のことや、古い布地を細長く裂いて横糸にし、縦糸に山苧 (やまそ) の渋染めや麻・木綿糸を使って織った厚手の織物「裂き織り」のことを「つづれ」という場合もあります。

「襤褸」の歴史とは

「襤褸」の歴史は江戸時代以前から

「襤褸」の歴史は、江戸時代以前から始まります。江戸時代頃には、使い古しの衣類や襤褸切れがリサイクルされ、売買や物物交換などの対象になっていました。

特に、寒さが厳しく雪深い東北や北陸地方などでは、着物をはじめとした衣類のみで寒さに耐える必要がありましたが、当時の衣類は非常に高価でした。

新しいものを買う余裕がなく、同じものを毎日着続けると裾や袖の部分が擦り切れたり、破れたりしてきてしまいます。そこに麻布や襤褸切れなどを継ぎ接ぎして補強し、自分のみでなく次の世代へと受け継いでいったものが襤褸のはじまりとされています。

伝統的刺繍「刺し子」は「襤褸」に施したもの

襤褸に継ぎ接ぎをする際、白い糸で線を描くように刺繍を施したものが「刺し子」といわれる日本の伝統的な刺繍です。

刺し子が生まれたのは今から500年ほど前の時代、16世紀初頭まで遡ります。全国各地に刺し子の技法を施したものが見られるため、発祥の地は定かではありませんが、東北地方に伝わる刺し子が特に広く知られています。

「襤褸」の英語表現とは

「襤褸」は英語で「rags」

「襤褸」の英語表現は「rags」です。「rags」で「襤褸の着物」、「a rag」で「襤褸切れ」を意味します。例えば、「襤褸の着物を纏った男」なら、「a man (dressed) in rags」となります。

「襤褸が出る」の場合のように「襤褸」を「失敗」や「欠点」の意味で使う場合には、英語表現は「a fault」や「a defect」などになります。「襤褸が出ないうちに切り上げよう」なら「Let’s quit before we’re found out.」です。

そのまま「BORO」とも

近年、日本の「襤褸」はヴィンテージ・アンティークの服、テキスタイルとして世界的にも人気の文化になっています。こうした文化としての「襤褸」は、そのまま固有名詞の「BORO」として認知度が高まってきています。

日本の文化として「襤褸」を紹介する場合には、「BORO」とそのまま使って紹介しましょう。

まとめ

「襤褸」は「ぼろ」と読み、「使い古しの布」や「ぼろきれ」などの意味があります。他に「らんる」という読み方もあり、「らんる」と読む場合は「破れた衣服」「ぼろぼろの衣服」「ぼろきれ」「ぼろ」「つづれ」などの意味です。慣用句「襤褸が出る」も覚えておくとよいでしょう。