日常生活でもよく耳にする「取るに足らない」という表現。正しい意味や使い方はご存じでしょうか?この記事では、「取るに足らない」の意味をはじめ、言い換え表現や古語、四字熟語、英語表現なども例文を交えながら解説します。是非参考にしてみてください。
「取るに足らない」の意味とは
「取るに足らない」の意味は「取り上げるだけの価値がない」
「取るに足らない」という言葉は、「わざわざ取り上げるだけの価値がない」「些細なこと」「つまらないこと」などの意味を持つ慣用句です。
「取るに」は「取り上げるには」、「足らない」は「不足している」と解釈でき、「取り上げるには不足している」つまり「取り上げるだけの価値がない」という意味になります。
「取るに足りない」ともいい、「足らない」は古語的、「足りない」は現代語的という違いのみで、意味は同じです。
「取るに足らない」を使った例文
- あなたにとって私は取るに足らない人間かもしれませんが、こんなことをされて黙ってはいられません。
- 取るに足らない問題に時間を割いてはいられない。
「取るに足らない」の言い換え・類語表現とは
「たわいない」
「取るに足らない」の言い換え表現に、「たわいない」があります。「たわいない」には、「考えにしっかりしたところがない」「幼く思慮分別がない」「手応え、張り合いがない」「正体がない」などの意味があります。
「そんなたわいないことに付き合っていられない」のように使用します。
「些末(さまつ)」
「些末(さまつ)」の意味は、「重要でない」「小さなことである様子」「わずかな様子」などです。「瑣末」とも表記し、「末端の取るに足らない事柄」を指して使います。
「些末な問題にばかりこだわって、時間を無駄にしてしまった」のように使います。
「ナンセンス」
「ナンセンス」には、「意味を持たない、またはなさない事柄」「ばかげていることや、その様子」「無意味」などの意味があります。
「ナンセンス」は英語で「nonsense」と表記し、「sense(意味)」が「non(ない)」、つまり「無意味」を指します。
「ちっぽけなプライドにこだわって大切なチャンスを逃すのはナンセンスだ」のように使用します。
「取るに足らない」の意味を持つ古語とは
「なでふことなし」
古語とは昔用いられた言葉で、現代では普通は使われない言葉のことです。「取るに足らない」という意味を持つ言葉は、古語にもあります。
「なでふことなし」は、「取るに足らない」「なんということもない」「たいしたこともない」という意味の古語です。「なでふ」は「なじょう」と読み、連体詞の「なでふ」と名詞の「こと」、形容詞の「なし」が一語になっています。
『枕草子』の「にくきもの」には、「なでふことなし人の、笑がちにて、ものいたう言ひたる」という一文があり、これは「取るに足らない人が、にやにやと笑って、おしゃべりをものすごくしている(ことは癪に障る)」という意味です。
「はかなしごと」
「はかなしごと」は漢字で「果無し事」もしくは「果無し言」と書きます。「取るに足らないつまらないこと」「ちょっと口にした言葉」という意味を持つ名詞です。
『源氏物語』の「蛍」には、「はかなしごとと知りながら、いたづらに心うごき(取るに足らないことと知っているのに、無駄に心が惹きつけられ)」という一文があります。
「取るに足らない」を意味する四字熟語とは
「有象無象(うぞうむぞう)」
四字熟語にも、「取るに足らない」という意味を持つ言葉があります。「有象無象(うぞうむぞう)」もそのひとつです。
「有象無象」は、「この世の形のあるもの、ないものすべて」という意味の四字熟語で、「取るに足らない種々雑多な人々」や「多く集まったつまらない連中」を指して使います。
「蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)」
「蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)」もまた、「取るに足らない」という意味を持つ四字熟語です。「蛙鳴蝉噪」は「蛙や蝉がやまかしく鳴くように、騒がしいだけで何の役にも立たないこと」を意味します。内容がなく、取るに足らない文章や議論などを嘲っていう言葉です。
「取るに足らない」の英語表現とは
「取るに足らない」の英語表現は「trivial」や「insignificant」
「取るに足らない」を英語で表現する場合は、「trivial」や「insignificant」などが使えます。
「trivial」には、「些細な」「取るに足らない」「たわいない」「つまらない」などの意味があり、「insignificant」にも「取るに足らない」「重要でない」「たいしたことがない」などの意味があります。
「取るに足らない」の英語表現を使った例文
- I hope you won’t spend our time for trivial topics.(取るに足らない話題のために時間を費やさないでほしい)
- I argue with my sister a lot, but it’s always about insignificant things.(私は妹とたくさん口論するけれど、それはいつも取るに足らない事柄についてだ)
まとめ
「取るに足らない」は、「わざわざ取り上げるだけの価値がない」「些細なこと」「つまらないこと」などの意味を持つ慣用句です。類語には「たわいない」や「ナンセンス」などがあります。同じ意味を持つ古語や四字熟語なども知っておくと、言葉に対する理解が深まるでしょう。