「つかぬこと」の意味とは?漢字表記や使い方の例文、語源を解説

普段何気なく使っている「つかぬこと」という言葉。しかし、「つかぬこと」とは正確にはどんな意味なのかご存じでしょうか?「つかぬこと」の漢字表記や意味はもちろん、ビジネスシーンでも耳にすることが多い「つかぬことをお聞きしますが」についても解説します。

「つかぬこと」の漢字表記と意味とは

漢字は「付かぬ事」、意味は「それまでの話とは関係ないこと」

「つかぬこと」は漢字では「付かぬ事」と表記します。「それまでの話とは関係ないこと」や「だしぬけのこと」「とっぴなこと」「思いがけないこと」という意味があります。

それまでしていた話とはまったく関係がないことをだしぬけに聞いたり、それまでと話の流れを変えたりする場合に使う言葉です。

「つかぬこと」の語源は「前の話に”付かない”こと」

「つかぬこと」は前述のように漢字で「付かぬ事」と書きます。この漢字が表すように、「つかぬ」の「つく」という動詞は「付随する」の意味で使われていて、前の話の流れに付き従っていないことを表しています。この「前の話に付かない」ということが「つかぬこと」の語源です。

現在のように「つかぬこと」を「関係のないこと」という意味で使う例は、江戸時代から確認できます。

「つまらないこと」の意味で使うのは間違い

「つかぬこと」を「つまらないこと」の意味で使っているケースを見かけますが、これは間違いです。

「つかぬこと」の使い方として多くみられる「つかぬことをお聞きしますが」という表現を、「つまらないことをお聞きしますが」の意味だと誤解して使用している例があります。「つかぬことをお聞きしますが」は「これまでの話の流れとは関係のないことを尋ねますが」という意味ですので、間違えないように注意しましょう。

「つかぬこと」の使い方とは

「つかぬこと」の使い方

「つかぬこと」は、「つかぬことをお聞きしますが」と「つかぬことを伺いますが」のどちらかの形で使われるのが一般的です。

どちらもそれまでしていた話に一旦区切りをつけ、別の質問をしたい場合や、話題を変えたい場合などに使う表現ですが、「伺う」は「聞く」の謙譲語であるため、より丁寧な表現をしたい場合には「つかぬことを伺いますが」を使うとよいでしょう。

「つかぬこと」を使った例文

  • つかぬことをお聞きしますが、奥様はお元気でいらっしゃいますか?
  • つかぬことを伺いますが、このお茶の産地はどちらですか?
  • つかぬことをお尋ねしますが、関西の出身でいらっしゃいますか?

「つかぬことをお聞きしますが」の使い方とは

ビジネスでも使える「つかぬことをお聞きしますが」

「つかぬこと」の使用例として最も一般的といえる「つかぬことをお聞きしますが」ですが、この表現はビジネスシーンでも使うことができます。

「お聞きします」は敬語の謙譲語にあたりますので、目上の人に対してやビジネスシーンなどで使っても問題ありません。突然話題を変えると相手を戸惑わせてしまうため、相手を気遣うクッション言葉として使います。先に述べた通り、より丁寧に言いたい場合には「つかぬことを伺いますが」を使いましょう。

「つかぬことをお聞きしますが」の言い換え表現

「つかぬことをお聞きしますが」は、「つかぬことを伺いますが」以外にも言い換えることができます。「つかぬことをお尋ねしますが」も、同じ意味で使える表現です。

他にも、話題を変えたい場合には「ところで」や「それはそうと」「それはさておき」「話は変わりますが」などの表現にも言い換えが可能です。

「つかぬこと」の類語とは

「他事(たじ)」

「他事(たじ)」は、「他のこと」「その人に関係のないこと」「余所事」などの意味を持つ言葉で、「つかぬこと」の類語です。

「他事ながら、母の手術は成功いたしましたのでお知らせいたします」や、「彼は自身の研究以外の他事にはまるで関心がない」などのように使用します。

「人事(ひとごと)」

「人事(ひとごと)」には、「自分には関係のないこと」「他人に関すること」「余所事」などの意味があります。「他人事」と表記する場合もあります。

「彼の境遇は過去の自分のものとあまりにも似ていて、とても人事とは思えなかった」や、「まるで人事のような顔をしているけれど、あなたの話をしているんだよ」のように使います。

「余所事(よそごと)」

「余所事(よそごと)」は、「自分とは関係のないこと」「他人ごと」という意味の言葉です。「他事」や「人事」と同様に、「関係のないこと」という意味で「つかぬこと」の類語といえます。

「余所事を考えている暇があったら仕事をしなさい」「今回の事件は余所事とは思えない」などのように使用します。

まとめ

「つかぬこと」は漢字では「付かぬ事」と表記し、「それまでの話とは関係ないこと」や「だしぬけのこと」「とっぴなこと」「思いがけないこと」という意味の言葉です。「つかぬことをお聞きしますが」や「つかぬことを伺いますが」の形で使われることが多いので、覚えておきましょう。