「はんなり」の意味とは?使い方や語源、「はんなり美人」も解説

関西地方の方言としてよく耳にする「はんなり」という言葉。和風で上品な響きの言葉ですが、本来の意味は関西地方の以外の人たちが抱くイメージとは少し違うかもしれません。「はんなり」の本来の意味をはじめ、使い方や類語などもご紹介します。

「はんなり」の意味とは

「はんなり」の意味は「上品で華やかな感じがする様子」

「はんなり」には、「上品で、明るく華やかな様子」「派手な様子」などの意味があり、明るく陽気で華やかな様子を指して使われる言葉です。もともとは着物の色合いを表現する際に使われていたとされています。

「はんなり」は、方言として使っている地域以外の人には、「おっとりと優雅で上品な様子」を指して使うと思われており、「華やか」や「派手」という意味があると思われていませんが、それは本来の意味とはニュアンスが違いますので注意しましょう。

「はんなり」は京都を中心とした関西地方の方言

「はんなり」はいわゆる「京言葉」と言われる、京都を中心とした関西地方の方言です。京都のイメージが強い言葉ではありますが、大阪や他の関西の地域でも使われます。

「おっとり優雅」というよりは、「ぱっと明るい」というニュアンスで使われており、赤や黄色の華やかな着物を指すようなイメージです。

「はんなり」の語源は「花なり」「花あり」

「はんなり」は副詞で、その語源は「花(華)なり」や「花(華)あり」が変化したものだという説と、「花(華)」に状態を表す接尾語「り」がつき、強める気持ちを表すために撥音化したものだという説があります。どちらも「花(華)」の派生語です。

「晴れなり」が語源だとする説もありますが、「はれ」が「はん」と変化したという考えにはやや無理があり、名詞の「はな(花・華)」に「ん」「り」が付き「はんなり」という副詞になったという説が有力です。

「はんなり」の使い方とは

「はんなりとした」

「はんなり」は多くの場合で「と」を伴い「はんなりと」として使われます。使う対象は人、物、味、動きなど幅広く、「はんなりとした女性」「はんなりとした帯」「はんなりとした味」「はんなりと微笑む」などのように、様々な場面で使えます。

「はんなり美人」「はんなりしている人」

「はんなりと」という形ではなく、「はんなり」に直接言葉を組み合わせて使う使い方もあります。「はんなり美人」もそうした使い方のひとつ。「上品で明るく、華やかな美人」と言いたい場合に使えます。

「はんなりしている人」というと、おっとりとした京美人のような人を思い浮かべますが、先に述べたようにここでも「上品」に加えて「華やか」や「陽気」「派手」な要素を持つ人を「はんなりしている人」といいます。

「はんなり」を使った例文

  • はんなりとした舞に、心を惹かれた。
  • 新しく入ってきた子、はんなり美人やね。
  • はんなりとした着物に身を包んだ女性。

「はんなり」の類語・言い換え表現とは

「高雅(こうが)」

「高雅(こうが)」とは、「気高く優雅なこと」「上品で雅やかなこと、また、その様子」という意味がある、「はんなり」の類語です。

「顔立ちの非常に高雅な美人を」「彼は高雅な性格だ」のように使います。

「優雅(ゆうが)」

「優雅(ゆうが)」の意味は、「淑やかで気品があること、また、その様子」「俗事から離れ、ゆとりのあること、また、その様子」です。

「彼女は立ち居振る舞いが優雅だ」「彼は引退して優雅な生活を送っている」のように使用します。

「たおやか」

「たおやか」には「姿や形がほっそりとして動きがしなやかな様子」「態度や性質が淑やかで上品な様子」という意味があります。

「たおやかになびく柳を見つめていた」「彼女のたおやかな身のこなしは一際目を惹いた」のように使います。

「はんなり」以外の京都の言葉とは

「けったいな」

「はんなり」以外にも、京言葉と呼ばれる京都の方言はたくさんあります。その中からよく耳にするものをふたつご紹介します。

「けったいな」は「奇妙な」「変な」という意味の、京都や大阪など関西地方の方言です。「けったい」の語源は「卦体(けたい)」という言葉で、易の算木 (さんぎ) に現れた卦の形、つまり占いの結果のことを意味します。

占いの結果から転じて「縁起」という意味も持ち、そこから「縁起が悪い」「気分が悪い」という意味でも使われます。

「いけず」

同じく関西地方の方言である「いけず」は、「意地が悪いこと、また、そういう人やその様子」という意味で使われる言葉です。

語源については諸説ありますが、「池之端の芋茎(いけのはたのずいき)」が語源であるという説が通説です。「芋茎」とは里芋の茎のことで、栄養を多く必要とするため、池のそばに植えると、そこにある養分を独占してしまい、他の植物に栄養がいかなくなってしまいます。このことから、意地悪な様子を指して使われます。

この「池之端の芋茎」が短くなり、「いけず」となったとされています。

まとめ

「はんなり」の意味は、「上品で、明るく華やかな様子」「派手な様子」などで、明るく陽気で華やかな様子を指して使われる言葉です。多くの場合で「と」を伴い「はんなりと」として使われ、使う対象は人、物、味、動きなど幅広く、様々な場面で使われます。