「聞く」の謙譲語とは?メールで使える例文や尊敬語も解説

「聞く」のようによく使う言葉の敬語表現は、ビジネスシーンでも日常生活でも使う必要があるため、きちんと知っておくべきです。「聞く」の謙譲語や尊敬語をはじめ、使い方や使ううえでの注意点も一緒に解説。古典での「聞く」の謙譲語、尊敬語もご紹介しますので、参考にしてみてください。

「聞く」の謙譲語とは

「聞く」の謙譲語は「拝聴する」「伺う」「承る」

「聞く」の謙譲語は、自分を主語として「拝聴する」「伺う(うかがう)」「承(うけたまわ)る」で表現します。

「拝聴する」は、目上の人からのプレゼンテーションや講義を聞く場合や、社長や取引先の人の話を聞く場合、また、著名人の講義や講演を聴く場合にも使える表現です。意図せず耳に入り「聞く」ことになった場合には、「拝聞する」を使うとよいでしょう。

「伺う」は、相手から詳しく話を聞きたい場合に使えます。「伺う」は、「わからないことを人に聞く」場合の「尋ねる」や、「訪問する」「訪れる」の謙譲語でもあります。

「承る」もまた、「聞く」の謙譲語で、「拝聴する」「謹んで聞く」という意味があります。「承る」は「聞く」の他にも、「受ける」「引き受ける」「伝え聞く」の謙譲語でもあります。

「聞く」の尊敬語は「お聞きになる」

「聞く」の尊敬語は「お聞きになる」「聞かれる」で、いずれも主語は相手です。どちらも意味や使い方は同じですが、「聞かれる」は「内緒の話を聞かれてしまった」というような場合の受動表現と誤解されてしまう可能性もあるため、「お聞きになる」を使った方がわかりやすく、無難でしょう。

「謙譲語」「尊敬語」「丁寧語」の違い

敬語は、大きく「謙譲語」「尊敬語」「丁寧語」の3つに分けられます。文化庁の敬語の指針では、この3つの他に「謙譲語(低調語)」「美化語」の2つもありますが、よく使われるのは先の3つです。

「謙譲語」は、自分がへりくだることにより相手を立てて、敬意を表す言葉です。自分、または自分の家族や親戚など、身内が主語になる場合に使います。

「尊敬語」は、目上の人や自分より立場が上の人を敬い、相手を立てる気持ちを表します。社長や上司、先生など、家族や親族ではない、自分よりも目上の他人が主語になります。

「丁寧語」は、誰に対しても使える敬語です。語尾に「です」や「ます」「ございます」などをつけたり、言葉の先頭に「ご」や「お」をつけて丁寧な言い回しにすることで、相手への敬意を伝えます。

「聞く」の謙譲語の使い方とは

「聞く」の謙譲語を使った例文

  • 先日拝聴した社長のお話に、大変感銘を受けました。
  • 明日のご予定を伺ってもよろしいでしょうか?
  • 貴重なご意見を承りました。

「聞く」の謙譲語をメールで使う場合の例文:社内編

上司に宛てた社内メールで、「聞く」の謙譲語を使う場合の例文をご紹介します。

お疲れ様です。○○です。

先日部長よりうかがっておりました新規の案件につきまして、プレゼンテーション案ができあがりましたので、ご確認をお願いいたします。

お手すきの際に添付いたしました資料をご確認いただき、修正点や改良すべき点などがございましたらご指示をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

「聞く」の謙譲語をメールで使う場合の例文:社外編

取引先の担当者に対して、「聞く」の謙譲語を使ったメールの例文をご紹介します。

いつもお世話になっております。株式会社□□の○○です。

先日は貴社主催の講演会にご招待いただき、誠にありがとうございました。
貴重なお話を拝聴させていただき、大変勉強になりました。
これからの貴社との共同事業に、この度学びましたことを役立ててまいりたいと思っております。

事業の計画につきましては、また改めてご連絡をさせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。

「聞く」の謙譲語を使うときの注意点とは

身内に対して謙譲語は使わない

前述の通り、謙譲語は自分がへりくだることにより相手を立てる敬語です。自分を主語とし、自分の動作に対して使います。そのため、身内に対して謙譲語を使い、へりくだった話し方をするのは不自然です。身内に対して敬語を使いたい場合には、謙譲語ではなく尊敬語や丁寧語を使うとよいでしょう。

「聞く」の謙譲語の誤った使用例

  • 「お話は妻から伺っております」→身内である妻に対してへりくだっている言い方になってしまい、誤りです。正しくは「お話は妻から聞いております」となります。
  • 「その件に関しましては、あちらの担当より伺ってください」→お客様や取引先の人をへりくだらせていることになる言い方で、失礼です。正しくは「その件に関しましては、あちらの担当にお聞きください」となります。

古文の「聞く」の謙譲語とは

古文の「聞く」の謙譲語は「承(うけたまは)る」

古文での「聞く」の謙譲語は「承(うけたまは)る」です。「承る」の現代語訳は「お聞きする」となります。

古文では、敬語の動詞には「本動詞」と「補助動詞」の二種類があります。「本動詞」とは、その言葉単体で動詞の意味と敬意を表すものをいい、「補助動詞」とは、動詞と一緒に使って敬意だけを表すものをいいます。

「聞く」の謙譲語「承る」は、この「本動詞」にあたります。

古文の「聞く」の尊敬語は「聞こす」「聞こし召す」

古文で「聞く」の尊敬語は「聞こす」「聞こし召す」で、現代語訳は「お聞きになる」です。「聞こす」はサ行四段活用の他動詞です。

「聞こす」は、「聞く」の尊敬語であるだけでなく、「言う」の尊敬語でもあります。「言う」の尊敬語として使う場合には「おっしゃる」と訳します。

「聞こし召す」は、「聞こす」の連用形「きこし」に、尊敬の補助動詞「召す」がついた言葉です。多くの場合で天皇や皇后などが主語となる場合に用いられ、高い敬意を表します。

まとめ

「聞く」の謙譲語は、「拝聴する」「伺う」「承る」で表現します。謙譲語は、自分がへりくだることにより相手を立てて、敬意を表す言葉であるため、自分が主語になる場合に使います。また、身内に対しては謙譲語は使いませんので、覚えておきましょう。