「できない」の言い換え表現とは?ビジネスメールで使える敬語

どうしてもネガティブなイメージがつきまとう「できない」という言葉。ビジネスシーンや論文・レポートなどで使うのはあまり印象がよくありません。「できない」が持つ意味を正しく理解し、シチュエーションに応じて言い換えることで、ポジティブなイメージに変換して使えるようにしましょう。

「できない」の意味とは

「できない」の意味は「不可能なこと」「能力が低いこと」

「できない」には、「実現や実施が難しい、または不可能なこと」「能力が低い、もしくは劣っていること」という二つの意味があります。

「できない」は「できる」の否定形で、サ行変格活用の動詞に付くと不可能である様子を表し、単独で使われる場合には、ほとんどが低能であることを表します。

「できない」を使った例文

  • 彼はどれだけ頑張っても逆上がりができない。
  • たとえどれだけできない子であっても、我が子は愛おしいものだ。

ビジネスメールで使える「できない」の言い換え表現とは

「難しい」「厳しい」

ビジネスシーンにおいて、「できない」と依頼を断らなければならないシチュエーションも避けては通れません。しかし、目上の人や取引先に対して、「できない」とそのまま伝えてしまうと、角が立ち印象が悪くなることが危惧されます。そのため、強い否定の言葉である「できない」を、別の表現に言い換える必要があります。

「難しい」や「厳しい」は、「できない」の言い換え表現として使える言葉です。例えば、「明日までにこの書類をまとめることができません」は、「明日までにこの書類をまとめるのは難しいです」または「厳しいです」と言い換えれば、「できません」と強く否定するよりもソフトな表現になります。

「できない」の敬語は「~いただけません」「~になれません」

「できない」ことを目上の人に伝える場合、敬語を使います。「~いただけません」や「~になれません」などの尊敬語を使うことで、相手を敬う表現になります。

例えば、「この施設は使うことができない」と言いたい場合には、「この施設はご利用いただけません」や「ご利用になれません」と言い換えれば、相手に敬意を表しながら断ることができます。

「できかねます」「いたしかねます」も丁寧な表現

「できかねます」は「できる」と「難しい」という意味の「かねる」を組み合わせた言葉で、「できない」を丁寧に言う表現です。「~したいが、難しくてできない」というニュアンスで、「できない」よりも柔らかな表現になります。

「いたしかねます」は「する」の謙譲語「いたす」に、「できかねます」と同様「難しい」を意味する「かねる」を組み合わせた言葉。「できかねます」と「いたしかねます」は、ニュアンスも意味もほぼ同じと考えていいでしょう。

「できない」を意味する熟語とは

「不能」

「不能」には「できないこと、また、その様子」「才能や能力がないこと」「性的能力がないこと」「数学で方程式の解がないこと」などの意味があり、「できないこと、また、その様子」「才能や能力がないこと」が「できない」と同じ意味です。

「修理が不能の故障」や「航行不能」のように使用します。

「無理」

「無理」は「物事の筋道が立たず、道理に合わないこと、また、その様子」「実現するのが難しいことや、行いにくいこと、また、その様子」「しいて行うこと、押し切って行うこと、また、その様子」という意味があります。

「今日一日で仕上げるのは無理です」のように、「できない」を言い換えることができます。

「困難」

「困難」の意味は「物事をなすのが非常に難しいこと、また、その様子」「苦しみ悩むこと、苦労すること」です。完全に「できない」とはいかずとも、成し遂げるのはとても難しい状況を指す言葉です。

「困難な状況に追い込まれた」「道の上はぬかるみで困難した」のように使います。

「できない」のポジティブな言い換え表現とは

「ご要望には添いかねますが…」

「できない」という言葉は否定を意味するため、どうしてもネガティブに受け取られてしまいます。しかし、ビジネスシーンをはじめ、どんなシチュエーションであっても、「できない」をきちんと伝えることはとても大切なこと。少しでも「できない」がポジティブなイメージで伝わるように、言い換えをしましょう。

例えば、お客さんから品切れ中の商品が欲しいと言われた場合、「ご要望には添いかねますが、こちらの商品も、お客様がご希望の商品と同様の使い方ができます」のように、できないことを伝えつつ、代わりの方法を提案できれば、ポジティブな印象を与えることができます。

クッション言葉を使ってポジティブ表現に

ネガティブな言葉「できない」を伝える場合には、クッション言葉を上手に使って、角が立たない表現をしましょう。

前置きクッション言葉

  • 恐れ入りますが~
  • 申し訳ございませんが~
  • お手数ですが~
  • あいにくですが~
  • ご足労をおかけしますが~

語尾クッション言葉

  • お願いできますでしょうか?
  • していただけますか?

これらのクッション言葉は、覚えておくとビジネスシーンで役立ちます。「できない」もポジティブに受け取ってもらえるように、クッション言葉を使いこなしましょう。

まとめ

「できない」の敬語表現は「~いただけません」や「~になれません」です。「できかねます」や「いたしかねます」も丁寧な表現なので、否定をソフトに伝えることができます。クッション言葉も使いながら、ポジティブなイメージで「できない」を伝えられるようにしましょう。