「ちなみに」の言い換えとは?ビジネス・論文・メールで使える敬語

日常生活で使ったり耳にしたりする「ちなみに」という言葉。ややフランクな表現に思えるため、ビジネスシーンや論文執筆などの際に使うことができるかどうか、気になる人もいることでしょう。「ちなみに」を敬語に言い換える場合の表現を、例文を交えながらご紹介します。

そもそも「ちなみに」とは

「ちなみに」は情報を追加したい時に使う接続詞

「ちなみに」は、漢字では「因みに」と表記します。前に述べた事柄に対し、後から補足や情報の付け足しをしたい場合に使う接続詞で「ついでに言うと」を意味します。

「ちなみに言うと」や「ちなみに申し上げますと」のように、「ちなみに」の後に「言う」「申す」などの動詞を伴い、副詞のように使う場合もあります。

「ところで」との混同に注意

「ちなみに」を使う場合には、前に述べた事柄と「ちなみに」の後に続く補足する内容がつながっている必要があります。話題を転換する場合や、後に続くのが前の事柄とは関係のない話の場合には「ちなみに」は使いません。

たとえば、直接つながっていない話題である「今日はやらなければならない仕事が山積みだ」と「明日は休みだ」を接続したいのであれば、「ちなみに」ではなく「ところで」を使います。

「ちなみに」は敬語ではないが、ビジネスでも使用可

「ちなみに」は敬語表現ではありません。しかし、失礼な表現でもないため、ビジネスで使っても問題はありません。ただし「ちなみに申し上げますと」のように、敬語表現と一緒に使うようにする配慮は必要です。

また、あまり多用すると情報が整理されていないという印象を与えてしまったり、逆にわかりにくくなってしまったりするため、使いすぎには注意しましょう。

ビジネスで使える「ちなみに」の言い換え表現とは

「補足いたしますと」

上述の通り「ちなみに」はビジネスでも使えますが、より丁寧に伝えたい場合や、同じ表現の繰り返しを避けたい場合には、別の言葉に言い換えましょう。

「補足いたしますと」は、「補足する」と謙譲語の「いたします」を組み合わせた敬語表現で、「ちなみに」よりも丁寧な表現です。

「お手元の資料にございます通り、先月までの売り上げは前年度比110%となっております。補足いたしますと、今月はそれ以上の伸びが期待できるペースです」のように使えます。

「付け加えますと」

「付け加えますと」は、「ちなみに」と同じように、前に述べた事柄に対して追加の情報を伝えたい場合や、事後報告をしたい場合に使える丁寧な表現です。

「以上が新機能のご紹介となります。付け加えますと、これらの新機能は既に実用試験に入っております」のように使用します。

「ちなみに」を言い換えたビジネスメール文例

「ちなみに」を使った文例
明日のミーティングは11時より開始する予定です。ちなみに、今回のミーティングではいつものA会議室ではなくB会議室を使用いたしますので、お間違いのないようにお願いいたします。

「ちなみに」を言い換えた文例
明日のミーティングは11時より開始する予定です。補足ですが、今回のミーティングではいつものA会議室ではなくB会議室を使用いたしますので、お間違いのないようにお願いいたします。

論文でも使える「ちなみに」の言い換え表現とは

「なお」

論文を執筆するにあたっては「ちなみに」は使わない方が無難です。情報の追加や補足のために使う「ちなみに」は「これ以降は必要のないことかもしれませんが」という前置きをしているのと同義にとらえられてしまう可能性があるからです。

「なお」にはたくさんの意味がありますが、接続詞としては、前の話が終わった後で、さらに別のことを言い添えるのに使います。「ちなみに」の後には補足や追加が続くのに対し「なお」の後には、あくまでも本論の一部で、それまでに言及し得なかったことが続く場合が多くなります。

「なお、本論文を作成するにあたっては、○○資料館の△△館長より、多大なご協力をいただきました」のように使います。

「また」

「また」も、前の文章と後ろの文章をつなげる接続詞ですが、前に述べた事柄とはまったく別の事柄を続ける場合や、話題を変えたい場合に使います。

「こちらの商品には、お客様が求める機能が搭載されています。また、お求めやすい価格もおすすめしたいポイントです」のように使用します。

「併せて」

「併せて」は、接続詞的に使用する場合「そのうえ、さらに」「同時に」という意味を持ちます。前に述べた事柄に補足するのではなく、それと同程度の重要さを持つ事柄を伝える場合に使う表現です。

「資料をご確認ください。併せて、最後に添えてあるアンケートにお答えいただきたいと思います」のように使います。

「ちなみに」の英語表現とは

「ちなみに」は英語で「As a side note」

「ちなみに」の英語表現はいくつかありますが、プレゼンや発表などのフォーマルな場で使える表現が「As a side note」です。「As a side note」で「補足しますと」「ちなみに申し上げますと」という意味になります。

相手に役立つであろう情報を付け足して伝える場合によく使われるのは「For your information」です。「念のためお知らせしておきます」というニュアンスで使える表現で、メールでは「FYI」と略される場合もあります。メールに「FYI」とある場合には、「この内容はあくまで参考情報なので、返信は不要です」という意味を含みます。

ただし「For your information」を口語で使うと「あなたは知らないと思いますが」「一応言っておきますけど」というような嫌味が含まれる場合がありますので、会話の中で使う場合は注意しましょう。

「ちなみに」の英語表現を使った例文

  • As a side note, the flight is planned as written below.(ちなみに申し上げますと、フライトは下記の便を予定しています)
  • For your information, the deadline is tomorrow.(ちなみに、締め切りは明日です)
  • He will be attending the conference today, by the way.(ちなみに、今日の学会には彼も参加します)

まとめ

「ちなみに」は、前に述べた事柄に対し、後から補足や情報の付け足しをしたい場合に使う接続詞です。ビジネスでも使えますが、より丁寧に表現したい場合には「補足いたしますと」や「付け加えますと」「なお」などの表現に言い換えた方がよいでしょう。