日常会話でもビジネスシーンでも、よく使われている「ですが」という言葉。丁寧な言い方に聞こえますが、敬語として使える表現なのか、書き言葉としても使えるものなのか、実は少し自信がない、という人もいるのではないでしょうか。様々なシーンに適した「ですが」の言い換え表現をご紹介します。
「ですが」の意味とは
「ですが」は逆接の接続詞
「ですが」は、助動詞の「です」に助詞の「が」がつき、自立語となったものです。相手が述べた事柄を一旦そのまま受け止め、その事柄と反対や対立の関係にある事柄を述べようとする際に使う、逆接の接続詞です。同じく逆接の接続詞「だが」の丁寧な言い方で、「そうですが」の略語とされています。
また、ビジネスシーンでは「失礼ですが」や「恐縮ですが」などのようにクッション言葉としても使われます。
「ですが」を使った例文
- 事情はわかりました。ですが、どれほど急いで対応させていただいても、その納期に間に合わせるのは難しいでしょう。
- 失礼ですが、ご予約はいただいておりますでしょうか?
- 総務の○○ですが、△△さんはお手すきでしょうか?
「ですが」を使う時の注意点とは
「ですが」は話し言葉
「ですが」は会話文で使われる話し言葉(口語)です。ビジネスシーンをはじめとしたフォーマルな場面では、基本的にくだけたイメージを与える話し言葉ではなく、書き言葉(文語)を使います。
「ですが」は丁寧語に分類されますが、尊敬語や謙譲語ではないため、敬語のランクとしては低くなります。また、目上の人に対して略語を使うのは避けた方がいいので、「そうですが」の略語である「ですが」もきちんと敬意を払いたい相手に対しては使わないようにしましょう。
「ですが」は文頭では使わない
先に述べた通り「ですが」は接続詞です。そのため、文頭では使いません。まれに「ですが、先日の会食は盛り上がりましたね」のように、会話を切り出す際に「ですが」を使う人がいますが、これでは相手は何に対する「ですが」なのかがわからず、何か聞き逃した話があったのだろうかと悩んでしまうかもしれません。正しい使い方を心掛けましょう。
「ですが」の言い換え表現とは 書き言葉編
ビジネス文書・論文・レポートで使うなら「しかし」「しかしながら」
ビジネス文書やビジネスメールをはじめ、論文やレポートなどで「ですが」を使いたい場合には、書き言葉に言い換える必要があります。
「ですが」の書き言葉は「しかし」や「しかしながら」です。「しかし」も逆接の接続詞で、先に述べた事柄を受け、それと相反する事柄を述べる際に使います。「しかしながら」も「しかし」と同義で、「しかし」のやや改まった言い方です。
「しかし」や「しかしながら」は、会話のなかでも使うことができます。「ですが」よりも固い表現になるので、かしこまった場や目上の人に対しては、「しかし」や「しかしながら」を使うようにしましょう。
「だが」も書き言葉として使える
「ですが」は「だが」の丁寧な言い方であるため、書き言葉にする際には「だが」と言い換えることもできます。
敬語表現を使うべきビジネスメールには「だが」はそぐわしくありませんが、結論や理論を整然と述べる論文やレポートなどで使うなら問題はありません。
「ですが」の言い換え表現とは 話し言葉編
「でも」「けれども」
「でも」や「けれども」は「ですが」よりもカジュアルな話し言葉です。ビジネスシーンで目上の人に対して使うのは適していません。同僚や、ある程度親しい間柄の人に対して使える言い換え表現です。
「疲れて早く寝たい。でも、お腹がすいている」「何とか説得には成功したけれども、かなりの時間を要した」のように使います。
名を名乗る場合の「ですが」の言い換えは「申しますが」
「営業の□□ですが」のように、名を名乗る場合に使う「ですが」を言い換える際は「申しますが」を使います。
内線で他部署に連絡するくらいであれば「ですが」を使って名乗っても問題ありませんが、他社の人や目上の人に対して名を名乗る場合には、「株式会社□□の○○と申しますが、△△様はいらっしゃいますでしょうか」のように「申しますが」を使うようにしましょう。
「ですが」の英語表現とは
「ですが」は英語で「but 」や「however 」
「ですが」の英語表現として一番メジャーな言葉は「but」でしょう。「but」には3つの使い方がありますが、接続詞として使われる場合には「しかし」「でも」「ですが」などと訳される逆接の接続詞です。
また「however」も「しかしながら」「けれども」「ですが」などの意味があり、「but」よりももう少し丁寧な言い方をしたい場合に使えます。
「ですが」の英語表現を使った例文
- She is a young but competent worker.(彼女は若いですが、有能な労働者です)
- He looked fine. However, I’m still worried about him.(彼は元気そうでした。ですが、私はまだ彼が心配です)
まとめ
「ですが」は逆接の接続詞で、相手が述べた事柄を一旦そのまま受け止め、その事柄と反対や対立の関係にある事柄を述べようとする際に使います。「ですが」の言い換え表現には「しかし」「しかしながら」「だが」「でも」「けれども」などがあるので、シーンや相手に合わせて言い換えて使いましょう。