「そして」の類語や言い換えとは?ビジネスやレポートで使える表現

会話や文章のなかで使われる「そして」という言葉。前の文章を受けて、さらに何かを付け加えたり、その後どうなったかを述べたりする際に使われます。しかし、「そして」はビジネスシーンやレポート・小論文などで使うには、注意が必要です。その理由や、「そして」の言い換え表現を解説します。

「そして」はそもそもどう使う言葉?

「そして」は添加の接続詞

「そして」は「そうして」が変化した言葉です。「それ且つ」「同様に」という意味があり、語と語や句と句、文と文などをつなげる接続詞で、前の事柄にもうひとつ事柄を付加的に加えるために使われる添加の接続詞です。

「そして」が結びつける二つの事柄は、因果関係をはじめとした関連がある場合が多く、事柄を並列したうえで強調して述べる場合にも使います。

「そして」を使った例文

  • 昼も夜も懸命に働いた。そして遂に借金を完済した。
  • 今回の代表メンバーは、中村、田中、そして鈴木だ。
  • 彼女はおしゃれに敏感だ。そしてスタイルもいい。

ビジネスで使える「そして」の類語・言い換え表現とは

敬語を使うシーンでは「そして」は他の表現に言い換える

接続詞には敬語表現はありません。そのため、敬語を使う文章のなかでも接続詞はその形のままで使うことになります。

しかし、ビジネスシーンで「そして」を多用するのはおすすめしません。「そして」を使って事柄を添加する言い方や書き方は回りくどさや読みにくさを感じさせてしまう可能性があるうえに、稚拙な印象を与えかねないからです。

たとえば、「本日は○○商事を訪問します。そして直帰します」と言うよりも、「本日は○○商事訪問の後、直帰いたします」と言った方が、シンプル且つわかりやすいでしょう。

「しかし」や「ところが」などの逆説の接続詞は省いてしまうと文章の意味がわからなくなってしまいますが、「そして」をはじめとした添加の接続詞はほとんどの場合で省いたり言い換えたりしても意味は変わらず、むしろ丁寧でわかりやすい表現が可能になる場合があります。

「加えて」

「加えて」も「そして」と同様に添加の接続詞です。前で述べた事柄に対し、特に強調せずに別の事柄を付け加える場合に使います。

「このショッピングモールは駅から近く、利便性がいい。加えて、話題のショップが数多く入っているためおすすめだ」「この音楽配信サービスはとにかく取り扱っている曲数が多い。加えて月額料金もリーズナブルだ」のように使用します。

「並びに」

「並びに」は対等の関係にある事柄を列挙する場合に使う並列の接続詞です。事柄を並列したうえで強調して述べる場合に使う「そして」を「並びに」に言い換えることができます。

「コンクールの受賞者には、賞状並びに演奏会への出場権を授与する」「彼はこの事件の被害者でもあり、並びに重要参考人でもある」のように使います。

レポートや論文で使える「そして」の言い換え表現とは

レポート・小論文・論文では接続詞は極力省く

レポートや論文などで大切なのは、論理の筋道がしっかりとしており、誰が読んでもわかりやすいことです。論理的な文章を書くうえで接続詞は大切ですが、乱用してしまうと意図が伝わりにくく、わかりにくい文章になってしまうため、注意が必要です。

「そして」のような添加の接続詞は、先に述べたようになくても意味が伝わる場合がほとんどです。一度書き上げたうえで読み返し、なくても意味が通じる接続詞は省くようにしましょう。

「したがって」

論理の筋道を通していくうえで、前に述べた事柄を受けて結果がどうなったのかを明記することは大切です。そうした場合に使える表現が「したがって」です。

「したがって」は推論の接続詞で、動詞「したがう」の連用形に接続助詞「て」がついたものです。前の条件により、順当に後の事柄が起こる場合に使います。

「昨日は大雨だった。したがって、川の増水に注意が必要だ」「この工芸品は職人の手による一点物だ。したがって、値段も高い」などのように使います。

「ゆえに」

「ゆえに」は漢字では「故に」と表記します。「こういう理由で」「こういうわけだから」というように、前に述べた事柄を理由として、後に結果が導かれることを表します。

「貧乏であるがゆえに、勉強に割く時間が取れない」「彼が事故に遭ったのは私のせいであるがゆえに、彼を支援せずにはいられない」のように使用します。

「そして」の英語表現とは

「そして」は英語で「and」や「then」

「そして」を英語で表現する場合、一番一般的な言葉は「and」です。「and」は二つの単語やフレーズ、文の一部や関連する文章を結合するために使用されます。

他にも「and」は驚きを表現するためや、数字を追加する場合に使われます。口語でよく使われますが、会話の始めに何度も「and」を使うと幼稚な印象になるので、推奨されていません。

「then」は前の文章を受けたうえで「そして」の意味として使われます。口語でも文語でも使えるので、覚えておくと役立ちます。

「and」と「then」が結合した「and then」は「そしてそれから」という意味で使われます。

「そして」の英語表現を使った例文

  • She is smart and beautiful.(彼女は賢く、そして美しい)
  • I studied for the test, then I felt confident.(私はテストの勉強をした。そして自信がついた)
  • He started to sing, and then the others chimed in.(彼は歌い始めた。そして他の人が加わった)

まとめ

「そして」は、前の事柄にもうひとつ事柄を付加的に加えるために使われる添加の接続詞です。ビジネスシーンでは回りくどさや読みにくさを感じさせてしまう可能性があるうえに、稚拙な印象を与えかねないため言い換えた方が無難です。レポートや論文などでは、なくても意味が通じる場合は省きましょう。