「おかれましては」の意味とは?用法や言い換えを例文を使って解説

ビジネスシーンやフォーマルな場で使われることが多い「おかれましては」という表現。意味や使い方はだいたいわかっているつもりだが、少し自信がない、という人もいるかもしれません。「おかれましては」の意味をはじめ、その用法や言い換え表現なども、例文を使って解説します。

「おかれましては」の意味とは?

「おかれましては」の意味は「関しましては」

「おかれましては」は、「おいて」を丁寧に言う敬語表現です。「おいて」は動詞「置く」の連用形に、接続助詞の「て」が付属した「おきて」の音変化です。

「おいて」には、「~で」「~にて」のように場所を表す使い方、「~の時に」のように時間を表す使い方、「~に関して」「~について」のように場所や事柄を表す使い方、「~の場合には」のように仮定条件を表す使い方があります。

ビジネスシーンで「おかれましては」を使う場合には「関しましては」の意味で使われ、「おかれましては」の前に個人名や会社名を付け、相手についての事柄を述べます。

漢字表記は「於かれましては」

「おかれましては」は、漢字では「於かれましては」と表記します。「於」という漢字は音読みが「オ」、訓読みが「おいて」「おける」です。

「於」自体に時間や場所を表す意味があり、その他には「ああ」という嘆息、感嘆の声を表す「於乎(ああ)」という意味も持ちます。

「おかれましては」の個人名を使った例文

  • 田中様におかれましては、ますますご活躍のこととお喜び申し上げます。
  • 山田様におかれましては、大変ご活躍のこととうかがっております。
  • 佐藤様のご家族の皆様におかれましては、お変わりございませんでしょうか。

「おかれましては」の用法とは

「先生におかれましては」

お世話になった先生や、これから講演やセミナーなどをお願いする先生に対しても、丁寧な敬語表現である「おかれましては」が使えます。

お世話になった先生に対しては「先生におかれましては、お変わりなくお過ごしでしょうか」のように使用します。また、セミナーや講演で先生を紹介する場合には「先生におかれましては、○○を経て△△でご活躍なさったという、大変興味深い経歴をお持ちです」のように使えます。

「皆様におかれましては」

「皆様におかれましては」は、ビジネスシーンやフォーマルシーンでよく使う表現です。ビジネスメールで挨拶文として使うことも多いので、覚えておきましょう。

挨拶文では、「三寒四温の候、皆様におかれましては、ますますご健勝のことと拝察いたします」や「梅の香りが漂うこの頃、貴社の皆様におかれましては、ますますご盛栄の段、大慶に存じます」のように使用します。

「お客様におかれましては」

お客様に対しても「おかれましては」を使えば丁寧な言い方ができます。しっかりと敬意を払った言い方になるので、上顧客に対してやクレーム対応などの際にも使えます。

「お客様におかれましては、保証能力も十分でいらっしゃいますので、すぐにでもご融資させていただきます」「お客様におかれましては、大変なご不便をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございませんでした」のように使います。

文末に使う「おかれましては」

文頭で使われることが多い「おかれましては」ですが、締めの文言として文末でも使うことができます。

「まだまだ寒い日が続きますので、風邪など召されませんよう、皆様におかれましてはくれぐれもお体ご自愛くださいませ」のように、手紙やメールの最後に相手やその家族の体を気遣う言葉として使ってみてもいいでしょう。

「おかれましては」の言い換え表現とは

「つきましては」

「つきましては」は漢字では「就きましては」と表記します。「そういうわけで」「したがって」「そこで」などの接続詞としての意味の他、「~については」「~に関しては」などの連語としての意味も持ちます。

「おかれましては」は人や会社に対して使いますが、「つきましては」は話題とする事柄に対して使います。「新規契約の件につきましては、後日改めて書類をお持ちいたします」「操作方法につきましては、こちらのご利用ガイドをご覧ください」のように使用します。

「おいては」

「おいては」は「おかれましては」よりもシンプルな表現になりますが、「おかれましては」と同じ意味で使えます。ただし、「おかれましては」の方が丁寧な言い方ですので、目上の人に対しては「おいては」は使わないようにしましょう。

「社員においては、この休憩室は憩いの場になっている」「この方法においては、多少のリスクは覚悟しなければならない」のように使います。

「関しましては」

「関しましては」は、特定の状況や事柄について述べる際に使われる表現です。「つきましては」と同じく、人や会社に対してではなく話題とする事柄に対して使います。

「こちらのお問い合わせに関しましては、私の方で対応をいたします」「従来のサービスに関しましては、新サービス開始後順次終了となります」のように使用します。

まとめ

「おかれましては」は、「おいて」を丁寧に言う敬語表現で、ビジネスシーンやフォーマルな場面などで「おかれましては」の前に個人名や会社名を付け、相手についての事柄を述べる際に使います。正しい使い方を覚えておくと、丁寧な表現をしたい場面で役立ちます。