就職活動やビジネスシーンで「コミュニケーション能力」をアピールしたいと考える人は多いのではないでしょうか。しかし、ただ「コミュニケーション能力があります」とアピールをしても、具体性に欠け相手の心に響かない可能性があります。「コミュニケーション能力」とは何なのか、どう言い換えるべきか、などを解説します。
「コミュニケーション能力」とは
「コミュニケーション能力」は対人間の意思の疎通を円滑に行う能力
そもそも「コミュニケーション」には「社会生活を営む人間同士が意思や思考、感情を伝達し合うこと」という意味があります。つまり「コミュニケーション能力」とは「対人間の意思の疎通を円滑に行う能力」のことです。
日常生活はもちろん、人との信頼関係を築くことが重要なビジネスシーンにおいて、「コミュニケーション能力」は欠かせない能力です。
ビジネスで重要視される3つの「コミュニケーション能力」
ビジネスシーンで特に重要視される「コミュニケーション能力」は以下の3つです。
- 伝える力
「伝える力」とは、自分が言いたいことを相手にわかりやすく伝えることができる力を指します。言葉で正確に伝えるのはもちろん、伝えるタイミングや、表情や声音など、言葉以外の部分も効果的に使うことが大切です。
- 聴く力
「聴く力」とは、相手の話の意図を正しく理解し受け止める力のことです。相手はどんな価値観を持っているのか、どんな気持ちでいるのかなど、相手を理解することは信頼関係を築くうえで重要です。相手の意見には最後まで真摯に耳を傾けましょう。また、相手の言葉だけでは理解できなかった場合には、質問や確認も適宜行い、情報を補うことも必要です。
- 言語以外で表現する力
言語以外の方法でコミュニケーションを取ることを「非言語的能力(ノンバーバル・コミュニケーション)」といいます。言語以外のコミュニケーションには、「表情」「声のトーンや大きさ」「ジェスチャー」「頷き」「体勢」などがあります。喜怒哀楽をはじめとする感情を伝えるためには、言語よりも非言語的能力の方が重要になることもあると知っておきましょう。
就活で企業が自己PRを求める理由とは
企業が自己PRを聞く目的
そもそも企業が自己PRを聞くのには、大きく3つの理由があります。理由を知ることで、「コミュニケーション能力」についてもどうアピールするべきなのかがみえてくるでしょう。
- 人柄を知るため
自己PRを通して、企業はその人の人柄を知ろうとしています。その人の考え方をはじめ、トラブルが起きた場合にはどのように対応するのか、何を成長とするのか、困難に思うことは何なのかなど、自己PRを通して性格や信念などをいろいろな角度から把握しようとしています。
- 性格が社風とマッチするか判断するため
お金や時間をかけて採用活動を行っている以上、企業としては早期退職されてしまうことは避けたいもの。その人の性格は社風との相性がいいのか、既存の従業員たちとはうまくやれそうなのか、また、今後活躍してくれそうかなどを、自己PRを通じて知りたいと考えています。
- ビジネスに活かせる強みがあるか判断するため
採用試験を受けている時点では、志願者が業務内容を完全に理解していないことは、企業も承知しています。そのため、その人が業務で活かせる素養を持っているか、ビジネスにおいて強みになるものを持っているかを自己PRから判断しようとしています。
「コミュニケーション能力」を言い換えるべき理由
人と人との間で意思の疎通を円滑に行うためには、様々な要素が必要です。「コミュニケーション能力」を言い換えるべき理由はそこにあります。
「コミュニケーション能力」と一口に括ってしまうと、自分の強みが伝わりづらくなってしまいます。具体的な能力を挙げ、それをアピールするためにわかりやすいエピソードを紹介することをおすすめします。
エピソードは概要を伝えつつ、その課題や問題点が何であったのか、その時自分はどう感じたのか、自分は問題点や課題に対しどのような行動を取り、どのような役割を担ったのか、そして、その結果はどうであったのかを伝えます。
就活で使える「コミュニケーション能力」の短く簡潔な言い換えとは
就活で使える「コミュニケーション能力」の言い換え一覧
「コミュニケーション能力」を就職活動でも使えるように言い換えてみましょう。
- 相手にわかりやすく伝える力
- 論理的に説明する力
- 相手の感情を汲む力
- 共感力
- 要点を押さえ傾聴する力
- 多様な意見をまとめる力
- 集団のなかで対話を促す力
- 雰囲気や状況を読み取り適応する力
- 周りを巻き込み物事を推し進める力
この他にも、コミュニケーションに関わる要素を細分化し、自分が持つ長所がそのなかのどれに該当するかを分析することで、「コミュニケーション能力」をそれらの能力に言い換えることが可能です。
言い換え表現を使った自己PR例❶
「コミュニケーション能力」を「相手にわかりやすく伝える力」に言い換えた例をご紹介します。
家庭教師のアルバイトをしていた時、苦手な科目でどうしても成績が上がらないと悩んでいた生徒がいました。
私はまず、その生徒は何がわからないのか、何に躓いているのかを一緒に考えることからはじめました。そして、みえてきた問題点に対して、生徒が理解できるような説明や教え方を考え、対応しました。
結果、その生徒は苦手科目で成績を上げることに成功し、見事志望校に合格しました。
こうした相手にわかりやすく伝える力は、仕事をしていくうえで役立つと考えています。
言い換え表現を使った自己PR例❷
「コミュニケーション能力」を「多様な意見をまとめる力」に言い換えた例をご紹介します。
大学では小冊子を作り、販売するサークルに入っていました。
グループで小冊子を作るにあたり、何をテーマにするのか、どのような内容にするのかで、なかなか意見がまとまらず、期限が迫ってきてしまうという経験がありました。このままではいけないと思い、私は皆の意見を聞いて、妥協点を見つけることに力を注ぐようにしました。
その結果、意見のぶつかり合いが減り、皆が納得できる内容をみつけることができました。完成した小冊子は、サークル内で一番の売り上げとなり、グループの全員が満足できる結果となったこともあり、とても良い成功体験となりました。
自身の「コミュニケーション能力」をアピールするには
面接官がチェックしている「コミュニケーション能力」の基準
面接官は、面接中様々な角度から「コミュニケーション能力」をチェックしています。どのような点が見られているのか、「コミュニケーション能力」の判断基準を知っておきましょう。
書類選考で求める条件を満たした人に実際に会い、対話することで「コミュニケーション能力」を見極めようとする場が面接です。言葉でのアピールだけでなく、非言語的能力も見られていることを心掛けて面接に臨みましょう。
「コミュニケーション能力」をアピールする際の注意点
自己PRで「コミュニケーション能力」をアピールする際には、面接中も「コミュニケーション能力」がある人だと思ってもらえるように振る舞う必要があります。
「コミュニケーション能力」が高いとアピールしているのに、空気を読まず長々と話す、目を見て話ができない、積極的に質問をしないなどの行為があると、アピールと振る舞いが一致せず、不信感を与えてしまう場合もありますので、注意しましょう。
また、失敗談や後悔した経験など、マイナスの印象を抱かれる可能性があるエピソードは避けましょう。「コミュニケーション能力」を身につけた際のエピソードや、役立った成功体験など、前向きなエピソードでアピールすることをおすすめします。
伝え方を誤るとマイナスの印象を与える可能性も
「コミュニケーション能力」をアピールする際、伝え方を誤ると、かえってマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。強すぎる自己主張は、謙虚に取り組むことができない人だと思われてしまうかもしれません。長々と話をしない、面接官の話を遮らないなど、悪印象を与えないよう心掛けましょう。
自己主張が強すぎるのとは反対に、空気を読み過ぎるという印象を与えてしまうのもマイナスです。聴く力ばかりをアピールし過ぎると、自分の意見を言えない人、優柔不断な人、消極的な人などの印象を持たれてしまう可能性がありますので、他人の意見を取り入れつつ、自分の意見も言えるというところをアピールしましょう。
まとめ
「コミュニケーション能力」とは「対人間の意思の疎通を円滑に行う能力」です。「コミュニケーション能力」には様々な要素があることを理解し、自分が持つ能力を具体的に言い換えましょう。また、言葉以外の「コミュニケーション能力」があることを知っておくのも重要です。