「ぼーっとする」の言い換えは?保育や医療で使えるポジティブ表現

「ぼーっとする」は様々なシーンで使われる言葉です。状態を表していたり、性格を表していたりしますが、医療や看護で使われる場合と、保育や介護で使われる場合、ビジネスで使われる場合とでは、意味や重要度も違ってきます。それぞれのシーンに適した言い換え表現をご紹介します。

「ぼーっとする」の意味とは

「ぼーっとする」の意味は「ぼんやりとしている様子」

「ぼーっとする」は「ぼうっとする」とも表記し、「意識が正常でなく、ぼんやりしている様子」を表す言葉です。

「ぼうっと」には他に「物がぼやけて見える様子」「明るさや色合いなどが微かに感じられる様子、ほんのり」「音を立てて燃え上がる様子」という意味があります。

「一日ぼーっとして過ごしてしまった」「ぼーっとしていて忘れ物をした」のように使用します。

「ぼーっとした性格」は「落ち着いた性格」「穏やかな性格」

「ぼーっとする」は性格を表す際にも使われます。ぼんやりとしていることが多かったり、何かに対する反応が遅かったりなど、おっとりした性格の人を「ぼーっとした性格」と表現しますが、ネガティブな意味で受け取られる場合もあるため、別の表現に言い換えた方がベターです。

「ぼーっとした性格」は、「落ち着いた性格」や「穏やかな性格」などに言い換えることができます。

医療・看護で使える「ぼーっとする」の言い換え表現とは

「意識がぼやける」

医療や看護においては、「ぼーっとする」だけでは詳細な症状が伝わりにくい場合があります。患者の状態を見て、他の適した表現に言い換えましょう。

「ぼーっとする」状態は、軽い意識障害がある状態といえます。軽い意識障害とは、眠くなったようなぼんやり感があったり、呼びかけてもすぐに反応をしなかったりするような状態のことです。

「意識がぼやける」は、その軽い意識障害の状態を指して使える言葉です。

「反応が鈍い」

「ぼーっとする」状態の人は、呼びかけや周囲で起こっていることに対しての反応が鈍くなります。目を開けてそこにいるのに、呼んでもすぐに返事がなかったり、周りで騒ぎが起こっていても気づかなかったりする場合には、「反応が鈍い」と判断できるでしょう。

「意識レベルが低下している」

「意識レベル」はJCS(ジャパン・コーマ・スケール)やGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)などにより評価される、意識状態を客観的に評価するための指標です。

「ぼーっとする」状態の人は、こうした意識レベルの評価において「意識レベルが低下している」と判断されることがあります。

保育で役立つ「ぼーっとする」のポジティブな言い換え表現とは

「おっとりしている」

保育では子どもに対して「ぼーっとする」「ぼーっとしている」などの表現を使うと、ネガティブな意味で受け取られてしまう場合があります。ポジティブに聞こえる言葉に言い換えましょう。

「おっとりしている」の「おっとり」とは、「人柄や仕草などが落ち着いていて、こせこせしない様子」「おおような様子」を意味します。

言動がゆっくりであるがために「ぼーっとしている」ように見えてしまう場合には、「おっとりしている」と言い換えることをおすすめします。

「創造性を高めている」

子どもが「ぼーっとする」のは、脳科学的に意味があるということがわかっています。「デフォルト・モード・ネットワーク」という、ぼーっとしている時にだけ稼働する神経回路があり、この回路が働くことで、創造性が高まります。

何もせずにぼーっとすることが大切なので、「何もせずにぼーっとしている」と非難するのではなく、創造性を高める大切な時間であることを認識して、可能ならば少しそのままぼーっとさせてあげるようにしましょう。

介護で使える「ぼーっとする」の言い換え表現とは

「うとうとしている」

介護の現場では、「ぼーっとする」状態の要介護者に対しては注意深く見守る必要があります。

うとうとと居眠りのような状態にある場合には、食事中もうとうとして誤嚥につながったり、水分を取っていないことに気づかず脱水状態になってしまったりなどの危険性があります。

「ぼーっとする」だけでなく「うとうとしている」と判断できるような状態の場合には、周りの職員や家族に伝えるようにしましょう。

「ぼんやりしている」

要介護者が「ぼーっとする」場合、病気や体調不良が原因の場合があります。認知症だけでなく、脳卒中や脱水症でも、ぼんやりする症状が出ることがありますので、必ず周りの人に要介護者が「ぼんやりしている」ことを伝え、様子を見守りましょう。

また、飲んでいる薬が影響している場合もあります。何種類かの薬を服用している場合には特に、薬がぼんやりしている原因になる可能性が高くなりますので、注意が必要です。

ビジネスで使える「ぼーっとする」の言い換え表現とは

「放心する」

ビジネスシーンで他の人に対して「ぼーっとしている」という表現を使うのは、できるだけ避けた方がベターです。そのような状態を表現する場合は、別の言葉に言い換えましょう。

「放心する」の「放心」には「心を奪われたり、他に気を取られたりして、ぼんやりすること」という意味があります。

「あまりに衝撃的な出来事で、放心して立ちつくした」「○○さん、さっきから放心状態だけど、何があったの?」のように使用します。

「心身を休める」

「仕事から離れてリラックスした」という意味で「ぼーっとして過ごした」というような場合には、「ぼーっとする」を「心身を休める」と言い換えることができます。

「昨日は久しぶりに一日ぼーっとして過ごした」なら「昨日は久しぶりに一日心身を休められた」のように言い換えが可能です。

まとめ

「ぼーっとする」は「意識が正常でなく、ぼんやりしている様子」を表す言葉です。子どもがぼーっとしている場合と高齢者がぼーっとしている場合とでは、状態がまったく違うことがありますので、相手がどんな状態なのかを見極め、適切な言葉に言い換えましょう。