「ファシリティ」の意味とは?マネジメントや総務の管理・金融も

ビジネスの世界でよく耳にする「ファシリティ」という言葉。どんな意味があり、何を指す言葉かご存知でしょうか?今回は「ファシリティ」の意味をはじめ、「ファシリティマネジメント」や総務のファシリティ管理に関しても解説。金融の面からも「コミットメント」との違いを解説します。

「ファシリティ」の意味とは

「ファシリティ」は「施設・設備」の意味の英語

「ファシリティ(facility)」は、「施設」「設備」「融通」「便宜」「便利さ」などの意味を持つ英単語です。カタカナ語としては、「施設」「建物」「設備」といった意味や、このような固定された物的資産の総称として使われることが多い言葉です。

「ファシリティーズ」は施設の総称

「ファシリティーズ(facilities)」は「ファシリティ」の複数形で、ソフトウェア、ハードウェア、人員を含む、施設の総称として使われます。一般的には電気通信業界の機器を指し、それらを含む建物、オフィスなどが含まれる場合もあります。

「ファシリティマネジメント」とは?

「ファシリティマネジメント」は「不動産・設備の管理方法」

「ファシリティマネジメント」は、企業の経営に関わるすべての不動産や施設などを、単に維持・保全するだけでなく、経営的戦略的観点から管理するための手法を指します。

管理や修繕が中心の従来の施設管理も含め、経営的な視点からより良いあり方を実現すべく、施設や設備を最適化していくことが「ファシリティマネジメント」の目的です。

「ファシリティマネジメント」の具体例

ファシリティマネジメントで重要なのは、中長期的な視点で計画を立て、遂行していくことです。具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 省エネタイプの空調や照明の採用
  • 建物の高気密・高断熱化
  • 震災・防犯対策
  • 外観の美化活動
  • 各所にコミュニケーションスペースを配置し、会話を生み出しやすく
  • 設備操作にスマホを活用
  • 健康測定ルームの新設やスタンディングデスクの採用などで社員の健康増進・疾患予防

「ファシリティマネジメント」の資格者「ファシリティマネジャー」

「ファシリティマネジメント」には、それを行うスキルを身につけるための資格があります。「認定ファシリティマネージャー」「不動産証券化協会認定マスター」「建築物環境衛生管理技術者」などが該当します。

「社団法人日本ファシリティマネジメント推進協会」が資格試験を実施しているのは、「認定ファシリティマネージャー」。ファシリティ管理に関する知識を証明する検定で、従業員が過ごしやすいよう環境を整え、企業としての生産性を高められる有能な人材の育成が目的です。

「社団法人不動産証券化協会」が実施しているのは「不動産証券化協会認定マスター」。不動産証券化の専門家たる、スキルと知識を統一的に習得している証明となります。

一般的に「ビル管理技術者」と呼ばれる国家資格「建築物環境衛生管理技術者」。建物内の衛生管理、維持管理に関する知識が習得できます。

「総務ファシリティ管理」とは

「総務ファシリティ管理」は「施設や備品を資産と捉える考え方」

「総務ファシリティ管理」の考え方では、投資対効果を意識し、施設や備品を通常の管理をするのみならず、不動産と同様に資産と捉え、経営に活用することを目指します。

「総務ファシリティ管理」には、施設の最適化によるコスト削減の実現や、従業員満足度の向上、知的生産性の向上などのメリットがあります。

これらのメリットを活かせば、会社の売上げを伸ばすことができます。

「総務ファシリティ管理」の重要性

縁の下の力持ちのイメージを持つ総務。しかし、総務は「総務ファシリティ管理」という会社の経営面を支える、とても重要なポジションにあります。

人件費に次いでコストがかかる施設の維持、管理費用。この部分を有益なものに転換することが、会社経営にとって大きなプラスになります。「総務ファシリティ管理」の成功には、オフィスの市場調査と現状の調査や分析、効果の測定などが必要です。

金融での「ファシリティ」と「コミットメント」の違いとは

「コミットメント」の意味は「委託・関与」

「ファシリティ」同様、ビジネスシーンでよく使われる「コミットメント(commitment)」。「コミットメント」は英語に由来した言葉で、「委託・関与」「公約・約束・言質」「責任・参加」などの意味を持ちます。

金融の分野でも「コミットメント」は使われており、「融資実行保証」や「融資実行予約」というような意味で使われます。一方「ファシリティ」は金融分野では「与信枠」「融資枠」「資金枠」などの意味で使用されます。

金融における「ファシリティ」と「コミットメント」の違い

金融分野でファシリティとコミットメントの決定的な違いは、ファシリティは銀行やその他の金融機関が、ある特定の借入人に対しクレジットライン(信用枠、与信限度額)を設定し、金額や条件を借入人に書面や口頭で表明します。しかし、銀行は必ずしも設定された枠内の金額で実際に融資やその他の与信行為を行わなければならないという義務はありません。

一方コミットメントは、銀行が事前に設定したクレジットラインを借入人に通知すると同時に、双方の署名と捺印がある契約書を交わして、借入人が銀行に対してコミットメント手数料をアップフロントもしくは期間割で払うのが通常です。

コミットメント契約期間中は、財務状況の急激な悪化や、会社存続の危機などで、借入人がどのような状況になった場合でも、その融資もしくは与信行為は実行しなければなりません。

ビジネスでの「コミットメント」は「公約・承認」

「コミットメント」は、経済学や心理学の分野でも使われる言葉ですが、ビジネスシーンで「コミットメント」が使われる場合は、「公約・承認する・約束」「責任をもって参加・関与する」という意味で使われます。

「社長のコミットメントを得た」ならば「社長の承認が得られた」という意味で、「この会議にコミットメントする」ならば「この会議に参加し、責任をもって議論に加わる」という意味で使います。

「ファシリティ」が関わるものとは

情報システムの「ファシリティ」

情報システムにおいて「ファシリティ」は、ネットワークやコンピューターシステムなどをはじめとした、IT関連の設備を管理するファシリティマネジメントを指して使われることがほとんどです。

IT関連設備が最適な使われ方をしているかを常時監視し、快適性や信頼性、安心性などがいつでも最適な状態を維持できるよう管理、改善します。

病院で活動する「ファシリティドッグ」

「ファシリティドッグ」とは、病院で活動するため専門的な育成を受けた犬のことです。重い病気で闘病中の子どもたちを、継続して応援することが仕事です。犬をコントロールするための研修を受けた、ハンドラーと呼ばれる臨床経験を持つ看護師とともに活動します。

導入する病院の専属となり、入院患者の治療や療養生活に関わるのが特徴で、それぞれの病院のニーズに合わせて活動を行い、患者さんは同じ犬と長期にわたり触れ合うことができます。

まとめ

「ファシリティ」は、「施設」「設備」などの意味を持つ英単語で、カタカナ語としては、「施設」「建物」「設備」といった意味で使われます。また、このような固定された物的資産の総称としても使われ、「ファシリティマネジメント」は、これらを経営的戦略的観点からも管理するための手法を指します。