大切な人を失ったご遺族を訪ねる弔問(ちょうもん)では、ご遺族への配慮がとても大切です。失礼のないように振る舞いたいものですが、服装やマナーなど、悩むことも多いでしょう。今回は、弔問とは何なのかをはじめ、多くの人が悩む服装に関しても詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
弔問とは?
弔問は「遺族を訪ねお悔やみを伝えること」
弔問(ちょうもん)とは、近しい人やお世話になった人の訃報を受けて、ご遺族を訪ねお悔やみを伝えることです。
一般的には、お通夜や葬儀、告別式に参列して弔問をしますが、日程の都合や、先方が家族葬にされる場合など、参列が難しい場合にはお通夜の前や葬儀後にご自宅にうかがう場合もあります。お通夜や葬儀、告別式に参列した場合には、ご自宅への弔問は行いません。
弔問に行くタイミング
弔問に行くタイミングは、故人との関係性により以下の3つに分けられます。
- お通夜の前
- お通夜、葬儀
- 葬儀の後
一般的には、お通夜または葬儀に会葬(かいそう:葬儀に出席すること)します。どうしても外せない用事がある場合を除き、お通夜や葬儀で弔問をしましょう。日程の連絡を受けている場合、会葬にあたっての事前連絡は不要です。
仕事や体調不良などでどうしても都合がつかない場合は、葬儀や告別式の後にご自宅にうかがいましょう。終わった直後はご遺族も諸々の手続きや後片付けなどで忙しいので、マナーとして葬儀後3~5日間くらい空けて落ち着いた頃合いを見計らい弔問します。突然うかがうと先方も準備が整っておらず、ご遺族に負担をかけてしまいますので、必ず事前に連絡をしましょう。 四十九日までに弔問を済ませることが基本ですが、海外にいたり、訃報を聞いたのが葬儀後だったりした場合には、四十九日以降に弔問をしてもかまいません。こちらも必ず事前連絡をしてからうかがいましょう。
弔問を控えるべきケース
故人と親しかった場合でも、弔問を控えた方がいいケースがあります。出産や結婚式などの慶事が間近に控えている人は、一旦弔問を控え慶事が落ち着いた後にうかがいましょう。
また、訃報の知らせをご遺族からではなく人伝手に聞いた場合は、自宅への弔問を避け、通夜や葬儀、告別式への参列が無難です。
近年では近親者のみで故人を送る家族葬が増えています。家族葬の場合は、基本的に親族以外は葬儀に参列できないため、後日自宅に弔問される方が多くなります。ご遺族は葬儀後も休まらない日々が続くことになってしまうので、ご遺族に配慮して出来る限りご自宅への弔問は控えましょう。故人を悼む気持ちをどうしても伝えたい場合は、手紙を添えてご遺族の負担にならない程度の供物をお送りするのがベターです。
弔問に行く時の服装とは?
お通夜前の弔問は平服で
故人と近しい間柄で、お通夜の前に弔問に訪れる場合には、平服(へいふく)で訪問します。お通夜前に喪服で弔問をすると、あたかも訃報を予見していたかのようなイメージを与えてしまうことから、失礼にあたるとされます。
男性の場合、黒、紺、茶、グレーなどの落ち着いた印象を与えるビジネススーツや、ジャケットとスラックスなど。女性の場合も同様に、黒や紺、茶、グレーなどのアンサンブルやワンピースで、派手な装飾のないものを選びます。子どもの場合は、制服や落ち着いた色のシャツとパンツか、ブラウスとスカードなどといった普段着を選びましょう。
革製品や光沢のあるものを避け、派手な化粧やアクセサリーもマナー違反になるので避けます。結婚指輪は問題ありません。
お通夜と葬儀では喪服を着用
お通夜や葬儀への会葬は、喪服を着用します。化粧やアクセサリーについてはお通夜前の弔問と同様です。
喪服にもさまざまなデザインがありますが、肌が透ける素材や露出が多くなってしまうものは避けた方が無難です。ストッキングは黒を選び、うっすらと肌が透ける程度の厚さのものを選びましょう。
葬儀後の弔問も平服で
葬儀後に弔問に訪れる際にも、喪服ではなく平服を着用します。これは、ご遺族に葬儀を連想させ悲しみを思い起こさせないための配慮です。
ただし、お通夜前に急ぎ駆けつける場合とは異なり、きちんと連絡をして約束を取りつけた上で弔問にうかがうので、あらたまった訪問着を選ぶのが基本。男性の場合はダーク系のスーツにネクタイ、白シャツを、女性の場合なら落ち着いた色合いのスーツやワンピースを着用します。お通夜や葬儀と同様に、光り物や派手なアクセサリーは外し、化粧も薄く抑えましょう。
弔問時の持ち物
弔問時の持ち物も、弔問に行くタイミングにより異なります。お通夜の前に弔問する場合には、香典は持参しません。訃報を予見して準備していたとみなされてしまうためです。故人が好きだったお菓子や果物、お花を供えることはできます。ただし、高価すぎるお供え物や生もの、日持ちしないものなどは控えましょう。
香典はお通夜や葬儀、告別式に会葬する際にお渡しするようにし、どうしても会葬できない場合には、後日弔問にうかがった際にお渡しするか、お悔やみを表す手紙を添えて郵送しましょう。
通夜の前に弔問に駆けつける間柄の場合、女性であれば葬儀の準備のお手伝いをすることもありますので、白や黒などの無地のエプロンを持参しておくと役立ちます。
葬儀の後に弔問する場合は、仏式なら数珠を持参します。その他の宗教では数珠は必要ありません。
弔問の流れとマナーとは?
お通夜前に弔問する場合の流れとマナー
お通夜より前に弔問をする場合には、必ずその旨をご遺族に伝え、承諾してもらえた場合のみご自宅に伺います。ご遺族にお断わりされた場合には、弔問はあきらめましょう。弔問の流れは以下にご紹介します。
葬儀後に弔問する場合の流れとマナー
葬儀後に弔問する場合にも、お通夜前の弔問と同様に必ずご遺族に連絡をして、承諾をいただいた後に日程を取り決めて訪問しましょう。
葬儀後の弔問では、香典と一緒にお供え物の供物を持っていくことをおすすめします。高価すぎる供物はご遺族の負担となるため、2000円から5000円を目安に用意しましょう。
弔問の際に使ってはいけない言葉
弔問には、使ってはいけない「忌み言葉」があります。お悔やみの言葉を伝える際、気をつけるようにしましょう。
まとめ
弔問とは近しい人やお世話になった人の訃報を受け、ご遺族を訪ねてお悔やみを伝えることです。弔問にうかがうタイミングや服装に注意し、ご遺族への配慮を常に忘れないようにしましょう。弔問の流れも知っておくと、いざという時に困りません。
故人の三親等以内の親戚や、特に故人と親しかった場合には、訃報を受けたらすぐ弔問に向かいましょう。また、地域によっては葬儀に関連する準備や手伝いをご近所の家が行う場合があり、お通夜前に弔問することがあります。ただし、一般的にはお通夜の前は準備があり慌ただしい時期なので、上記以外の場合は弔問は控えた方が無難です。