日常生活のなかでよく耳にする「呆(あき)れる」という言葉。よく使う言葉だからこそ、きちんと正しい意味や使い方を知っておきたいものです。この記事では、「呆れる」の意味や使い方をはじめ、類語や英語表現も解説。言葉の理解を深めるためにお役立てください。
「呆れる」の意味とは
「呆れる」の意味は「あまりに意外なことに驚く」
「呆(あき)れる」には、「あまりに意外なことに驚く」「呆気(あっけ)にとられる」「唖然(あぜん)とする」などの意味があります。
意外なことがあった場合や、程度の甚だしさに驚くことを指しますが、基本的には好ましくないこと、つまり悪い意味で使われることが多い言葉です。
「呆れる」を使った例文
- この状況でまだ言い訳をするとは、往生際の悪さに呆れる。
- 彼の失礼な態度には、呆れてものが言えない。
- 君は呆れるほどよく食べるね。
「呆れる」感情とは
「怒りを通り越して呆れる」
「呆れる」は感情を表す言葉のひとつです。「呆れる」という感情を表す際に使われる慣用句に、「怒りを通り越して呆れる」というものがあります。
「怒りを通り越して呆れる」とは、「あまりに怒りの感情が昂ぶった結果、怒りの感情が振り切れて、かえって感情が失せ、最終的に呆れに近い感覚を覚える」という状況を表す言葉です。「愛想を尽かす」という感覚にも通じています。
この言葉からも、「呆れる」という感情は「怒り」を通り越した「諦め」に近い感情といえるでしょう。
「呆れる」以外の感情
「呆れる」以外にも、人間にはたくさんの感情があります。アメリカの心理学者ロバート・プルチックは、人間には8つの基本的な感情があるとしています。
プルチックは、この8つの基本感情を一次感情、2つの基本感情が混じり合った感情を二次感情としています。
「呆れる」の類語とは
「呆気にとられる」
「呆れる」の類語に「呆気(あっけ)にとられる」があります。「呆気にとられる」とは、「思いもかけないことに出合い、驚きあきれる」「どうしていいかわからずぼんやりする」などの意味があります。
「あまりの傍若無人な態度に、呆気にとられてしまった」「突然の出来事で、呆気にとられた」のように使います。
「呆然とする」
「呆然とする」も、「呆れる」の類語です。「呆然とする」には、「思いがけないことに直面し言葉も出ない様子」という意味があります。
「もぬけの殻になった部屋を見つめて呆然とした」や、「裏切られたと知って呆然と立ちつくした」のように使用します。
「言葉を失う」
「言葉を失う」は、「衝撃や感動のあまり、発言できなくなる」「言うべき言葉が見つからない様子」「絶句する」などの意味を持つ言葉です。「呆れてものも言えない」状態を表すこともあります。
使用例には「彼の裏の顔を知り、言葉を失った」「突然の父の訃報に、言葉を失った」などがあります。
「呆れる」の英語表現とは
驚きを込めた「呆れる」は「amazed」「shocked」
日本語では「呆れる」一言で表現する場面であっても、英語で表現する場合には、その「呆れる」に込められた感情によって使う表現が違ってきます。
「呆れる」が「驚いて呆れる」だった場合、英語では「amazed」や「shocked」を使います。「amazed」には「びっくりさせられる」という意味があり、「すごい!」というポジティブな驚きを表現します。「すごすぎて呆れる」というニュアンスです。「I was amazed by that.(私はそれに呆れた)」のように使います。
一方、「shocked」は、「精神的にショックを受ける」という意味で使われるネガティブな表現です。「I was shocked by his stupidity.(彼の愚かさには呆れた)」のように使用します。
また、驚きを込めた「呆れる」は、他にも「言葉にならない」という意味を持つ「speechless」を使う表現があります。「speechless」はポジティブにもネガティブにも使える表現で、「I’m speechless.(呆れて言葉もない)」のように使います。
うんざりした「呆れる」は「have had enough」
うんざりして「呆れる」という場合には、「have had enough」を使います。「have had enough」で「もう呆れた」「もうたくさん」の意味になります。「I’ve had enough.(もううんざり)」という表現はよく使われるので、覚えておくとよいでしょう。
また、うんざりして「呆れる」には、「fed up」を使う場合も。「I’m fed up with her attitude.(彼女の態度にうんざりしている)」のように使用し、「これまで続けてきたがもうたくさんだ、呆れている」というニュアンスを含む表現です。
失望の「呆れる」は「disappointed」
相手に失望した時の「呆れる」には、「失望した」「がっかりした」の意味を持つ「disapointed」を使います。期待を裏切られた場合に使うのに適しています。先に述べた「怒りを通り越して呆れる」を英語で表現するなら「I’m beyond angry, I’m disappointed.」となります。
他にも「忘れて」「もういいよ」という意味の「forget it」や、「絶望した」「呆れた」という意味の「hopeless」などの表現があります。
まとめ
「呆れる」は、「あまりに意外なことに驚く」「呆気(あっけ)にとられる」「唖然(あぜん)とする」などの意味があり、意外なことがあった場合や、程度の甚だしさに驚くことを指します。基本的には悪い意味で使われることが多い言葉です。