「語弊がある」はよく聞く表現ですが、「語弊」は誤用されることも多い表現です。「語弊がある」の意味はもちろん、使い方や言い換え表現なども知っておくと、誤用することもなくなります。間違いやすい表現についても解説しますので、参考にしてみてください。
「語弊がある」の意味とは
「語弊がある」の意味は「誤解を招く可能性がある言い方」
「語弊(ごへい)がある」の「語弊」とは、「言葉のうえでの弊害」「誤解を招きやすい言い方や、それによって起こる弊害」「言葉の使い方が適正でないため、誤解を招く可能性がある言い方」という意味です。
この「語弊」の意味を踏まえ、「語弊がある」は、「誤解を招く可能性がある言い方」という意味で使います。
「語弊がない」の意味は「誤解を招く可能性がない言い方」
「語弊がある」の反対の意味を表す言葉として「語弊がない」もあります。「語弊がある」が「誤解を招く可能性がある言い方」であるのに対して、「語弊がない」は「誤解を招く可能性がない言い方」を意味します。
「語弊がある」の使い方とは
「語弊がある」を使った例文
- こんなことを言うと語弊があるかもしれないけど、あの人と関わらなくてすんでよかったと思うよ。
- 語弊があるといけませんので、もう少し詳しく説明をさせてください。
- 語弊がある言い方はしない方がいい。
『羅生門』での「語弊がある」の使われ方
芥川龍之介の著作『羅生門』にも、「語弊がある」という表現は使われています。それは、登場人物の下人が羅生門の楼の中で、老婆が行っていた行為を目にした際の心理を描写した一節です。
「この老婆に対するはげしい憎悪が、少しずつ動いて来た。――いや、この老婆に対すると云っては、語弊があるかも知れない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して来たのである。」のように「語弊がある」が使われています。
「語弊を生む」は間違い
「語弊」を使った表現のなかには、誤った表現がされているものもあります。「語弊を生む」もそうした誤った表現のひとつです。この場合には、「誤解を生む」や「語弊が生じる」が正しいでしょう。
他にも「語弊」を使った間違われやすい表現に、「語弊を恐れる」や「語弊を招く」「語弊力」などがありますので、誤用しないように注意しましょう。
「語弊がある」の類語・言い換え表現とは
「誤解を与える」
「誤解を与える」には、「相手に意図していたこととは違う理解をさせてしまう」という意味があります。「誤解」の意味は「思い違い」や「ある事実について、まちがった理解、解釈をすること」。「誤解を招く可能性がある言い方」という意味の「語弊がある」を言い換えることができます。
「誤解を与えたくないので、ちゃんと説明をさせてください」「僕のせいで誤解を与えてしまったなら謝る」のように使います。
「齟齬がある」
「齟齬(そご)がある」も「語弊がある」の言い換え表現です。「齟齬」とは「物事がうまくかみ合わないこと」「食い違うこと」「ゆきちがい」という意味の言葉で、「齟齬がある」は「物事がうまくかみ合わない」「意見が食い違う」という意味で使います。
「彼と私の認識に齟齬があったため、問題が起こってしまった」「事前に聞いていた内容と齟齬があり過ぎる」のように使用します。
「適切ではない」
「適切」とは、「その場によく合っていて相応しいこと」「状況や目的などにぴったりと当てはまること」を意味します。「適切でない」は、こうした状態にないこと、つまり「状況に相応しくない」「適していない」という意味です。
「この話を今持ち出すのは適切ではない」「その表現は適切ではない」のように使います。
「語弊がある」の英語表現とは
「語弊がある」の英語表現は「misleading」
「語弊がある」を英語で表現する場合「misleading」が使えます。be動詞と一緒に「be misleading」の形で表現します。「misleading」の意味は「誤解させる」「紛らわしい」などです。
他にも、「誤解を招く」という意味の「to be misunderstood」を使ったり、「それは語弊がある」と言いたい場合には「That’s not a proper thing to say.」という言い回しを使ったりする場合があります。
「語弊がある」の英語表現を使った例文
- The way you said that could be misleading.(その言い方は語弊があるかもしれない)
- Your choice of words could be misunderstood.(あなたの言葉選びには語弊があるかもしれない)
まとめ
「語弊」には、「言葉のうえでの弊害」「誤解を招きやすい言い方や、それによって起こる弊害」などの意味があり、「語弊がある」は「誤解を招く可能性がある言い方」という意味で使います。言い換え表現や類語も知っておくと、より言葉への理解が深まるでしょう。