「分かる」の言い換えとは?論文やレポート、ビジネスで使える表現

「分かる(わかる)」は様々なシーンで使われる言葉です。いくつかの意味を持つ言葉なので、論文やレポートを書く際に使う場合、意味に応じて言い換えた方が伝わりやすい場合もあります。ビジネスシーンで使える敬語表現への言い換えも一緒に、「分かる」の意味や言い換え表現を解説します。

「分かる(わかる)」の意味とは

「分かる」の意味は「意味や区別などがはっきりする」「判明する」など

「分かる」は以下のようにいくつかの意味を持ちます。

  1. 「意味や区別などがはっきりする」「理解する」「了解する」
  2. 「事実がはっきりする」「判明する」
  3. 「物わかりがよく、人情や世情に通じる」
  4. 「一つのものが別々になる」「分かれる」

よく使われるのは❶と❷の意味で、❶の意味では「言いたいことはよく分かった」「その言葉が良い意味でないことくらい、僕にも分かる」のように、❷の意味では「その老人の身元が分かった」「いくら調べても荷物の持ち主は分からなかった」のように使用します。

「分かる」を英語で言い換えると「understand」

「分かる」を英語で言い換える場合、よく使われるのは「understand」です。他にも、「理解する」の意味で「分かる」という場合には「catch」や「grasp」などが使われる場合もあります。

  • I understand./I know./I see./I got it.(分かりました)
  • Did you catch my idea?(私の考えが分かりましたか?)
  • I didn’t recognize you.(あなただと分かりませんでした)

論文やレポートで使える「分かる」の言い換え表現とは

「理解する」

「理解する」には「物事の道理や筋道が正しく分かること」「意味や内容をのみこむこと」「他人の気持ちや立場などを察すること」などの意味があります。

「先生の解説はとても分かりやすかった」なら「先生の解説はとても理解しやすかった」のように、「彼の質問の意図は分かりづらかった」なら「彼の質問の意図を理解するのには時間がかかった」のように言い換えることができます。

「把握する」

「把握する」の意味は「しっかりと掴むこと」「手中に収めること」「統制下に置くこと」「物事の順序をしっかりと理解すること」「正確な情報を得ること」などです。

「事態の全貌が分かるまでに時間がかかった」なら「事態の全貌を把握するまでに時間がかかった」のように、「プロジェクトの全体像が分かる」なら「プロジェクトの全体像を把握する」のように言い換えが可能です。

「明らかになる」

「明らかになる」は形容動詞「明らかだ」の連用形「明らか」に動詞の「なる」がついた形で、「判明する」「発覚する」などの意味で使われます。

「明け方には被害の実態が分かった」なら「明け方には被害の実態が明らかになった」と言い換えることができ、「この政策が成功だったかどうかは、数年後にわかるだろう」なら「この政策が成功だったかどうかは、数年後に明らかになるだろう」のように言い換えができます。

「判明する」

「判明する」は「明らかになること」「はっきり分かること」「論理学において、概念の内包が明確なこと」という意味の言葉です。

「この実験結果から、仮説Aが正しいということが分かった」なら「この実験結果から、仮説Aが正しいということが判明した」のように、「選挙結果は明け方までには分かるだろう」なら「選挙結果は明け方までには判明するだろう」のように言い換えが可能です。

ビジネスで使える「分かる」の敬語への言い換え表現とは

「お分かりになる」

「分かる」の尊敬語が「お分かりになる」です。尊敬語とは、目上の人や自分よりも上の立場の人を敬い、相手を立てる敬語です。「社長はこの件について十分にお分かりになっています」のように使います。

ただし、「お分かりになる」は「お分かりでしょうか?」や「お分かりになりましたか?」のように使ってしまうと、「本当に分かってます?」と上から尋ねているかのような印象を与えてしまう場合があるので、相手に対し直接使うのは避けた方が無難です。

「ご理解いただく」

「ご理解いただく」は「理解してもらう」の謙譲語です。謙譲語は、自分がへりくだることで相手を立てて、敬意を表す敬語です。

「ご理解いただき感謝申し上げます」「何卒ご理解いただけますよう、お願い申し上げます」のように使用します。

「承知いたしました」

「承知いたしました」は「分かりました」「引き受けました」などの意味で使われる敬語で、「分かる」の謙譲語です。ビジネスシーンではよく使われます。「承」という字には「承る」「引き受ける」という意味があります。

「事情を知ること」「分かっていること」「依頼や要求などを聞き入れること」などの意味がある「承知」に、謙譲語「いたす」と丁寧語「ます」の過去形「ました」を組み合わせた「承知いたしました」は、敬語としても特に丁寧な表現です。

不適切な表現とされる二重敬語は、同じ種類の敬語を二つ使っているものを指すため、謙譲語と丁寧語を組み合わせた「承知いたしました」は二重敬語にはあたりません。

「かしこまりました」

「かしこまりました」も、「分かる」の謙譲語で、「分かりました」「理解しました」の意味で使われます。目上の人や取引先などに対し、「分かりました」と言いたい時に使いましょう。

上述の「承知いたしました」と同じ意味ですが、「承知いたしました」は、しっかり理解しているということを伝えたい場合に、「かしこまりました」は、より丁寧さを強調したい場合に使います。

まとめ

「分かる」にはいろいろな意味がありますが、特に「意味や区別などがはっきりする」「理解する」「了解する」、「事実がはっきりする」「判明する」の意味で使われることが多い言葉です。論文やレポート、ビジネスシーンなどでは、意味や敬意が間違いなく伝わるように、状況に応じて言い換え表現を使いましょう。