様々なシーンで使われる「踏まえて」という言葉。よく使われる言葉であるがゆえに、シーンに合わせて言い換えた方がいい場合もあります。「踏まえて」を丁寧に表現したい場合の言い換えをはじめ、ビジネスシーンで使える言い換え表現をご紹介します。
「踏まえて」の意味とは
「踏まえて」の意味は「ある事柄を前提または根拠として」
「踏まえて」の意味は「物事を判断する際の前提や根拠として」です。
「踏まえて」は動詞「踏まえる」の連用形「踏まえ」に接続助詞「て」がついたものです。「踏まえる」には「しっかりと足で踏みつける」「判断の拠りどころにする」「根拠とする」「あれこれ思案する」「配慮する」「支配下に入れる」「掌握する」という意味があります。
「踏まえて」を使った例文
- 過去の事例を踏まえて、新しいプロジェクトの構想を練る必要があるだろう。
- 以上の結果を踏まえて、今回の判断となりました。
- これまでの研究結果を踏まえて、結論を導き出そうと思う。
「踏まえて」を目上の人に使う場合の敬語への言い換えとは
「お踏まえいただき」
「踏まえて」は、自分の行為に対して使う言葉です。「踏まえて」を目上の人に対して使っても問題はありませんが、相手に対して使う場合には敬語表現に言い換えましょう。
敬語表現にする場合には、「踏まえて」に接頭語の「お」と、「いただく」の謙譲語である「いただき」をつけて「お踏まえいただき」と言い換えが可能です。
「これらのことをお踏まえいただき、ご判断くださいますようお願いいたします」「彼女には複雑な事情があったことをお踏まえいただき、処分を決定いただければと思います」のように使うことができます。
ただし「お踏まえいただき」は、まわりくどく大仰な表現に聞こえる場合もあるため、この後の項で紹介する別の言葉の敬語表現を使う方がスマートでしょう。
「踏まえまして」
目上の人に対して自分が何かを「踏まえて」発言する場合には、「踏まえまして」と言い換えることができます。
「踏まえまして」は丁寧語の「ます」を使った表現です。「前回の結果を踏まえまして、次回の実験では改良した装置を使用する予定です」「お客様からのご意見を踏まえまして、新商品を開発いたしました」のように用います。
ビジネスで使える「踏まえて」の類語・言い換え表現とは
「考慮したうえで」
「考慮したうえで」の「考慮」には「様々な物事に思いを巡らせ考えること」「色々な要素を含め、よく考えること」という意味があります。
「昨年のイベントの反省点を踏まえて、今年の計画を立てる必要があります」なら、「踏まえて」を「考慮したうえで」と言い換えができます。
敬語表現として使うことも可能で、その場合には「ご考慮いただいたうえで」としましょう。「昨年のイベントではこうした反省点があり、それを踏まえまして今年の計画を立てました。この点をご考慮いただいたうえで、今年の計画書にお目通しいただければと思います」のように表現します。
「意識しつつ」
「意識しつつ」は「意識しながら」という意味の言葉です。この場合の「意識」には「気にかけること」という意味があります。
「この土地が持つ問題を踏まえて企画書を作成する」の場合なら、「踏まえて」を「意識しつつ」と言い換えが可能です。
「念頭に置いて」
「念頭に置いて」のもとの形である「念頭に置く」の意味は「覚えていて心にかける」「いつも考えている」です。
「この問題を踏まえて、よく考える必要がある」の「踏まえて」を「念頭に置いて」と言い換えられます。
「顧慮(こりょ)して」
「顧慮(こりょ)して」の「顧慮」には「あることをしっかり考えに入れ、心を配ること」という意味があります。
「母の気持ちを踏まえて、この家をどうするか考える必要がある」という場合、「踏まえて」を「顧慮して」と言い換えることができます。
「踏まえて」の熟語の言い換え表現とは
「勘案(かんあん)」
「勘案(かんあん)」は「あれこれ考え合わせること」という意味の言葉です。複数の要素や情報などを総合的に考慮することを指して用います。
「システム障害の規模が大きかったことを踏まえて、適切な保障をしなければならないだろう」のような場合には、「踏まえて」を「勘案すると」や「勘案して」と言い換えが可能です。
「斟酌(しんしゃく)」
「斟酌(しんしゃく)」には「相手の事情や心情を汲み取ること、また、汲み取って手加減すること」「あれこれ照らし合わせ、取捨すること」「言動を控えめにすること」「遠慮すること」という意味があります。
「彼の事情を踏まえて、今後どうするべきかを考えなければならない」なら、「踏まえて」を「斟酌して」と言い換えることができます。
まとめ
「踏まえて」は「物事を判断する際の前提や根拠として」という意味を持つ言葉です。自分の行為に対して使う言葉であり、相手の行為に対しては使いません。目上の人に対して使っても問題はありませんが、「お踏まえいただき」や「踏まえまして」のように敬語表現に言い換えて使います。その他、類語や言い換え表現も覚えておくと役立ちます。