【時候の挨拶】3月上旬・中旬・下旬の文例、ビジネス用の結びも

3月は冬の寒さがまだ残る上旬と、一日ごとに春めいてくる中旬、そして春の暖かさをいよいよ実感する下旬と、季節が冬から春へ移行してゆく月となります。

ここではそのような3月の時節の移り変わりごとに使える「時候・季節のあいさつ」を紹介するとともに、アレンジして使えるビジネスレターの例文も紹介します。

3月の時候の挨拶一覧(上旬・中旬・下旬)と使い方

3月の時候・季節の挨拶一覧

  • 早春の候
  • 浅春の候
  • 春暖の候
  • 春風の候
  • 日ごとに春めいてまいりましたが
  • 三寒四温の言葉どおり、冬が行きつ戻りつしている昨今ですが
  • 花の便りが聞かれる頃となりましたが

3月の時候・季節の挨拶は2種類:漢語調と口語調

3月の「時候・季節のあいさつ」は「〇〇の候」という漢語調と、語りかける口語調の2種類があります。いずれも3月全般で使える表現もあれば、上旬・中旬・下旬、また月をまたいで4月も使えるものもあるので、時期に応じて使い分けが必要です。

挨拶の表現にあわせて、結びの言葉やシーン別の例文も紹介いたします。もし、手紙の基本的な書き方や構成の仕方に不安がある場合は、以下の記事を参考にしてください。
「時候の挨拶」「季節の挨拶」の書き方とビジネス例文!月別も紹介

3月の時候の挨拶・季節の挨拶:「~の候」を使った漢語調

「早春の候」:3月全般

「早春の候(そうしゅんのこう)」とは、「春の始めの時節」を表します。暦の上の春は2月4日頃の「立春」を過ぎてからとなることにあわせて、「早春の候」は3月全般に使うことができます。

「浅春の候」:3月上旬~中旬

「浅春の候(せんしゅんのこう)」とは、「寒さがまだ残る春の初めの時節」という意味です。3月下旬となると、本格的な春の到来を感じる頃となるため、中旬位まで用いるのがよいでしょう。

「春暖の候」:3月中旬・下旬~4月全般

「春暖の候(しゅんだんのこう)」とは「春の暖かさを感じる季節」を表します。実際に寒い冬が終わり、春の暖かさを感じる季節に使います。地方によっては3月中旬でも雪が降ったりしますので、実際の季節感に合わせて使うようにします。

「春風の候」:3月中旬・下旬~4月全般

「春風の候(しゅんぷうのこう)」とは、「春の穏やかな風が吹く時節」という意味です。実際の季節感に合わせて、暖かい風が感じられる季節に使います。中旬以降に用いるのがよいでしょう。

 3月の時候の挨拶・季節の挨拶:口語調の表現と文例

【3月全般】の慣用句と結びの言葉

日ごとに春めいてまいりましたが、皆様にはお元気でご活躍のこととお喜び申し上げます。
いつもお引き立てを賜り、まことにありがとうございます。
<本文>
春寒の折、皆様にはくれぐれもご自愛のほどお祈りいたします。
まずはとり急ぎお知らせまで。

【3月上旬】の慣用句と結びの言葉

例①
三寒四温の言葉どおり、冬が行きつ戻りつしている昨今ですが、〇〇様にはお元気でご活躍のこととお喜び申し上げます。
いつも身に余るお力添えをいただきまして、まことにありがとうございます。
<本文>
時節柄、くれぐれもご自愛のほどお祈りいたします。
まずはとり急ぎご連絡まで。

※「三寒四温(さんかんしおん)」とは、三日位寒くて、次の四日位暖かい天候が繰り返される冬の現象を表す言葉ですが、春先の季語として使われています。3月上旬までに使うのがよいでしょう。

例②
春なお浅く、朝夕はまだまだ冷え込みが厳しい今日この頃ですが、〇〇様にはご健勝のこととお喜び申し上げます。
平素は多大なご指導を賜り、心から感謝いたしております。
<本文>
時節柄、どうかお元気でお過ごしくださいますよう、お祈り申し上げます。
まずは略儀ながら、書中をもってお知らせいたします。

【3月中旬・下旬~4月上旬】の慣用句と結びの言葉

花の便りが聞かれる頃となりましたが、〇〇様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
いつも身に余るお力添えをいただきまして、厚くお礼申し上げます。
<本文>
春寒はまだひとしお、お体には十分お気をつけください。
まずはとりあえずご挨拶申し上げます。

口語調の挨拶を使う際の注意点

「時候・季節の挨拶」の口語調の慣用句は、漢語調では固すぎると感じる場合などに使うことができます。親しい方へ出すお手紙はもちろんのこと、ビジネスシーンでも使用可能です。

基本的な構成は変わりませんが、口語調の挨拶に合わせて全体の口調も統一するようにしましょう。

3月の時候・季節の挨拶:ビジネスでの書き方と文例

結びの言葉まで含めた「の候」の文例

「拝啓」に続いて時候の挨拶と礼儀文を入れ、結びの言葉のあとに「敬具」を入れて終わるビジネスレターの文例を紹介します。

拝啓 早春の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、心から感謝いたしております。

さて、(主文)
つきましては、(主文)

末筆ながら貴社の一層のご発展をお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中にてお知らせいたします。

敬具

書き始めは、「拝啓 〇〇の候、貴社ますますご繁栄のことと心からお喜び申し上げます。」というように書き出します。

また、儀礼文や結びの言葉のバリエーションは<「時候の挨拶」「季節の挨拶」の書き方とビジネス例文>に掲載しておりますので、参考にしてください。

3月の時候の挨拶:「お礼状」の例文

拝啓 春風の候、貴店ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、このたびは… に際しまして、ひとかたならぬご協力をいただき、誠にありがとうございました。
おかげさまをもちまして、…

今後とも、変わらぬご指導、ご高配を賜りますようお願い申し上げます。
まずは略儀ながら、書中をもってお礼申し上げます。

敬具

3月の時候の挨拶:祝辞に対する「お礼状」の例文

拝復 春暖の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、このたびの…   にあたり、身に余るご祝辞を賜り、恐縮いたしております。社員一同より、厚くお礼申し上げます。
これからも皆様に喜んでいただけるよう、全力を尽くしてまいる所存です。今後とも末永いご指導、ご鞭撻を心からお願い申し上げます。
まずは書中にて、略儀ながらお礼申し上げます。

敬具

※「拝復」は返事の手紙の時、はじめに書くあいさつの言葉です。

まとめ

3月は、2月までの冬の時候の挨拶と、4月からの春の時候の挨拶の間に入る、移り変わりの時候の挨拶の月です。実際にはまだ寒さが続いていても、上手に「春」の字を挨拶に入れて、華やいだ気分を共有したいものです。

また、3月はいよいよ花が咲き始め、「花の便りが聞かれる頃」という挨拶が始まります。「桜」が登場するのは4月で、「梅」は一般的に2月に使われるため、3月の花の代表として「桃の花」が使えます。他にも地方の春の風物などがあれば、うまくアレンジして使ってみるのもよいですね。