6月は梅雨が始まる季節のため、梅雨にちなんだ時候の挨拶が多くなります。本州の梅雨は6月10日頃から7月20日頃が平均的であるため、6月上旬と下旬では挨拶文も変化します。
ここでは6月の「時候・季節のあいさつ」を取り入れたビジネスレターの書き方を、用いる時期の説明とともに紹介します。
6月の時候の挨拶一覧(上旬・中旬・下旬)と使い方
6月の時候・季節の挨拶一覧
- 向暑の候
- 初夏の候
- 入梅の候
- 梅雨の候
- 夏至の候
- 雨後の緑が目に鮮やかな季節ですが
- さわやかな初夏となりました
- 入梅とともに梅雨空が続きますが
- 木々の緑の深みも増し、夏めいてまいりました
6月の時候・季節の挨拶は2種類(漢語調と口語調)
6月の「時候・季節のあいさつ」には、「〇〇の候」という漢語調と、語りかける口語調の2種類があります。それぞれに、6月全般で使えるものもあれば、5月下旬~6月上旬で使えるもの、6月下旬で使えるものなど、時期に応じて適切な表現が変わるので、使い分けが必要です。
挨拶の表現にあわせて、結びの言葉やシーン別の例文も紹介いたしますが、手紙の基本的な書き方や構成の仕方を確認したい場合には、以下の記事を参考にしてください。
「時候の挨拶」「季節の挨拶」の書き方とビジネス例文!月別も紹介
6月の「の候」を使った時候・季節の挨拶:漢語調
「向暑の候」:6月全般
「向暑の候(こうしょのこう)」とは、「暑さに向かう時候」を表します。梅雨の無い地方や梅雨らしさを感じない年などの6月全般に使えます。
「初夏の候」:5月下旬~6月上旬
「初夏の候(しょかのこう)」の「初夏」とは、夏の初めの意味で、暦の上では6月上旬までとなります。梅雨入り前の6月上旬に用いるとよいでしょう。
「入梅の候」:6月上旬~中旬
「入梅の候(にゅうばいのこう)」とは、「梅雨の季節に入る時節」を表します。実際の梅雨入りの時期にあわせて用います。
「梅雨の候」:6月中旬~下旬
「梅雨の候(ばいうのこう・つゆのこう)」は梅雨の期間に用います。一般的には6月中旬から下旬頃に用いることが多いでしょう。
「夏至の候」:6月下旬
「夏至の候(げしのこう)」は、「夏至」の期間にあわせて使います。
毎年6月22日頃が「夏至」の日で、夏至の期間は7月7日頃の「小暑」の前日までとなります。6月下旬の挨拶に使うのがよいでしょう。
ビジネスにも使える6月の「時候・季節の挨拶」:口語調
【6月全般】の慣用句と結びの言葉
【5月下旬~6月上旬】の慣用句と結びの言葉
日ごろは一方ならぬお心づかいを賜り、心からお礼申し上げます。
<本文>
今後におきましても変わらぬご指導をいただきたく、よろしくお願いいたします。
まずは略儀ながら書中にてお知らせまで。
【6月上旬~中旬】の慣用句と結びの言葉
平素は多大なご指導をいただき、厚くお礼申し上げます。
<本文>
うっとうしい毎日が続きますが、ご自愛のほどお祈りいたします。
とりあえずご通知申し上げます。
【6月下旬】の慣用句と結びの言葉
いつも身に余るお力添えを賜り、心からお礼申し上げます。
<本文>
今後ともご助力を賜りたく、伏してお願いいたします。
まずはとり急ぎお知らせまで。
「梅雨」に関する時候の挨拶文・結びの言葉
「梅雨」に関する事項の挨拶は、これまで紹介したものの他にも様々な表現があります。
- 入梅とともに雨が続きますが
- 梅雨空の毎日ですが、
- 今年は空梅雨でしょうか、夏を思わせる暑い日が続いております。
- 梅雨明けが待たれるこのごろですが
- 底冷えのする梅雨寒の日が続いておりますが
- 今日は梅雨晴れで青空が広がっています。
- 紫陽花の花が雨に映える季節となりました。
- 雨に濡れる紫陽花が美しさを増しています。
上記のような書き出しの後に、健康を喜ぶ「お健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます」のような言葉を続けて、挨拶文として使うことができます。
なお、「梅雨寒」は「つゆざむ」と読み、梅雨の期間中の季節はずれの寒さを表す言葉です。「空梅雨」は「からつゆ」と読み、梅雨の期間に雨が少ないことを表します。
- 梅雨寒の日が続きます。どうぞご自愛くださいませ。
- 梅雨寒の折、ご自愛のほどお祈りいたします。
- 梅雨は、まだしばらく続きそうです。どうかくれぐれもご自愛下さい。
- うっとうしい毎日が続きますが、どうぞお体を大切にお過ごしください。
6月の時候・季節の挨拶:ビジネス文書での書き方と例文
ビジネスでの時候の挨拶【基本の書き方】
「候(こう)」とは、時節や時季を表す言葉です。
「拝啓 〇〇の候、貴社ますますご繁栄のことと心からお喜び申し上げます。」というように書きだします。「拝啓」に続いて時候の挨拶と礼儀文を入れ、結びの言葉のあとに「敬具」を入れて終わるのが、ビジネスレターの基本的な構造です。
拝啓 梅雨の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、心から感謝いたしております。
さて、(主文)
つきましては、(主文)
末筆ながら貴社の一層のご発展をお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中にてお知らせいたします。
敬具
なお、漢語調では固すぎると感じる場合には、口語調の慣用句を使用しましょう。基本的な構成は同じで、ビジネスレターでも使うことができます。一点、口語調の挨拶を使用した場合は、合わせて全体の口調も口語調に統一するように心がけましょう。
儀礼文や結びの言葉のバリエーションは<「時候の挨拶」「季節の挨拶」の書き方とビジネス例文>も参考にしてください。
6月に送る「招待状」の例文
平素は格別のお引き立てを賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、このたび… を下記の通り開催いたします。
つきましては、… ご多忙中まことに恐縮ではございますが、ぜひご出席賜りますよう、お願い申し上げます。
敬具
記
日時:
場所:
6月の「お礼状」の例文
さて、このたびはご多忙中にもかかわらず、… にご出席いただき、まことにありがとうございました。
これからも…
今後とも変わらぬご厚誼のほど、 伏してお願いいたします。
まずはとり急ぎ書面にて、お礼申し上げます。
敬具
まとめ
6月は梅雨の曇天が続き、気分が晴れないことも多い月です。そのような時こそ季節の挨拶によって、さりげなくねぎらいの気持ちを伝えたいものです。梅雨の表現を結びの言葉に使って健康を気遣うなど、自分だけのオリジナルの表現も工夫してみてください。
日ごろはお引き立てをいただきまして、まことにありがとうございます。
<例文>
〇〇様には一層のご健康をお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら、書中をもってお知らせいたします。