「心ばかり」の意味とは?使い方や類語を例文つきで解説

「心ばかり」という言葉は相手にお祝いやお詫びなどの場面でお金やお菓子、品物を贈るのに使われます。普段の生活だけでなくビジネスでも使う機会は多くあり、意味や使い方を正しく理解する必要があるのです。

そこで、今回は「心ばかり」についてシーン別に例文を使って説明していきます。

心ばかり(心許り)の意味とは?

「心ばかり」は心の一部分を見せるという意味

「心ばかり」の意味は、「心の一部分を見せる」です。心を込めていることを表す言葉でなく、自分の心の一部を表した言葉です。品物などが高価であるかは「心ばかり」には関係なく、この程度の品物では私の気持ちを全て伝えきれないという意味が込められているのです。

また、「心ばかり」は贈る物をへりくだって渡すときに使う言葉で、「心ばかりではございますが」から始まり「どうかお受け取りください」と締めるのが一般的な使い方です。

「心ばかり」の使い方とは?

謝罪で使う「心ばかり」の使い方と例文

謝罪する際にはお詫びの気持ちが先方に伝わるということが何よりも大切なことです。そのための補助として贈り物をするのはよくあることですが、贈り物はあくまでも補助であり、言葉にしっかりと気持ちをのせましょう。

  • お詫びのしるしとして心ばかりではございますが、どうぞお納めください。
  • このたびはご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。心ばかりではございますがどうかお受け取りください。

香典を渡す時に使う「心ばかり」の使い方と例文

通夜や葬式で香典を渡すときにも「心ばかり」を使います。受付についたらまず「このたびはご愁傷様でございます」と頭を下げたら、持参した香典を準備します。香典袋を両手で持ち受付の方に渡しましょう。

  • このたびはご愁傷様でございます。心ばかりですがどうかご霊前にお供えください。

「心ばかりのお祝い」の使い方と例文

お祝い事には「出産祝い」「成人祝い」「結婚祝い」「新築祝い」「就職祝い」などがあります。このようなお祝いで品物やお金などを贈る際にも「心ばかり」を使います。

  • ご出産おめどうございます。心ばかりですがお祝いの品をお贈りさせていただきます。
  • このたびはご結婚おめでとうございます。心ばかりではございますがお祝いの気持ちを込めて贈らせていただきましたのでどうかお納めください。

お菓子を渡す時は「召し上がってください」をセットで使う

お礼やお祝い、お詫びの品としてお菓子を贈ることは珍しくありません。お菓子に限ったことではありませんが、食べ物を贈るときは「お心ばかりですが+召し上がってください」という使い方をしましょう。

  • このたびは大変お世話になりました。心ばかりですがどうぞ召し上がってください。
  • 〇〇様のお口に合うとよろしいのですが、心ばかりですが召し上がってください。

「心ばかりですが~」を使う際に注意すべきことは?

「心ばかり」を悪い意味で捉える人もいる

「心ばかり」は親しい間柄の相手だけでなく目上の方やビジネス相手など幅広い人に対して使える言葉です。そのため、中には「心ばかり」という言葉を悪い意味で捉える人もいます。

謙虚な言い回しを好まず「心ばかりの品」=「大したことないちょっとした品」なのだから貰ってもうれしくないという方もいますので、通り一辺倒に「心ばかり」を使うのではなく相手によって使い分けると良いでしょう。

「心ばかりの贈り物」は場合によって不適切になる

贈り物が高価な物であったり希少価値のある物などであった場合、「心ばかり」のチョイスは相手に嫌味であると捉えられてしまう可能性があります。贈り物が高価である場合はへりくだらずにストレートにお礼の気持ちを伝えるようにしましょう。

以上のことから、「心ばかり」はちょっとした物に対して使うのがマナーであるといえます。

「心ばかり」お礼は「心ばかり」で返さない

「心ばかりの〇〇ですが~」という言葉とともに品物を受け取ったら、「ありがとうざいます」「頂戴いたします」「おいしくいただきます」などという返事を返しましょう。

また、「心ばかり」と書かれた品物に対してお礼品物を贈るときには「心ばかり」で返さずに「御礼」という言葉を選びましょう。

お金を入れる封筒ののしは「寸志」と書くこともある

封筒ののしやポチ袋などの表書きにも「心ばかり」を使うことができますが、「心ばかり」と同じ意味で「寸志(すんし)」という言葉もあります。「寸志」にはちょっとしたお礼の品物やお金という意味があるのです。

ただし、「寸志」は目下の方に対して使う言葉なので、目上の方に使うのはNGです。目上の方へは「心ばかり」を使いましょう。

「心ばかり」の類語表現は?

「心ばかり」という言葉は多くの言葉に言い換えることができます。

類語①「ほんの気持ちですが」の意味と使い方

ほんの気持ちですがの「ほんの」には「つまらない」「小さな」といった謙遜を表す意味があります。しかし、「ほんの気持ちですが」は「心ばかり」に比べてフランクな表現であるため、目上の方や上司、お客様などには「心ばかり」を使いましょう。

類語②「つまらないものですが」の意味と使い方

「つまらないものですが」は本当につまらない品物を相手に渡すという意味ではなく、「つまらない品物しか選ぶことができないかった」と謙遜することで相手を引き立てています。

しかし、「つまらないもの」という言葉自体にマイナスイメージを持っている方もいるので他の言葉を使う方が無難です。

類語③「ささやかですが」の意味と使い方

「ささやか」という言葉を使うことで「立派な物ではない」と謙遜を表すことができます。また、「ささやかですが」は品物だけでなく発表会などをするときの招待客にも使うことができます。

まとめ

「心ばかり」には相手に感謝を伝える意味があり、さまざまな場面で使える言葉ですが、多くの類語も存在します。

同じような意味ならどれを使っても同じということではなく、相手や使う場面、品物などを総合的に判断して、どの言葉を使えばより自分の気持ちを伝えられるのかを考えながら使うようにしましょう。