多趣味で何でもソツなくこなせるオールラウンダーでありながら、今ひとつパッとしない人のことを「器用貧乏」といいます。器用なのに貧乏というちょっとユニークな四字熟語ですが、日常会話ではどんな風に使えばよいのでしょうか。
「器用貧乏」とは?
「器用貧乏」の意味は「何でもできるが大成しない」
四字熟語「器用貧乏」の意味は、”何でもできるがゆえに一つのことに徹することができず、結局なにも極められないこと”です。何でもこなせるのに大成しない人のことを揶揄したり、器用さを褒められたときにも謙遜として自虐的に使われたりします。経済的な貧乏とは直接関係ありませんが、何でも自分でできてしまうため専門家に任せる必要を感じないとなれば、結果として生活全体のクオリティーが上がりにくくなるでしょう。
言い換えると「勘が良く柔軟性がある」
器用貧乏な人の特長は、あまり努力しなくても上達が早く、色々なことに興味をもって手を広げるというところでしょう。なにをするにも「初めてにしては筋が良い」などと褒められたりします。言い換えれば勘が良く要領をつかむのが早いのですが、それだけに不器用な人を見るとつい手助けしてしまい、自分は後回しになることもあります。「器用貧乏」はそうした性質の持ち主が陥りやすいマイナス面を言いあらわした言葉です。
「器用貧乏」の類語は「多芸は無芸」
「器用貧乏」の類語は「多芸は無芸」です。芸の多い人は一芸に精通することがなく、どれをとっても優れていないという意味です。ただし「器用貧乏 人宝(ひとだから)」という言葉もあるように、人から「器用貧乏だね」と言われた場合は「気真面目・倹約家・奉仕家」などの好ましい性質が仇(あだ)となり、自分自身はあまり報われていない「お人よし(騙され、利用されやすい人)」という意味で使われていることもあります。
「器用貧乏」の反対語は「一芸に秀でる」
「器用貧乏」の反対語は「一芸に秀でる」で読み方は「いちげいに・ひいでる」で、ある分野で特に優れた能力や特技を持っているという意味です。あまり器用ではないけれど、だからこそ脇目を振らずひとつの物ごとを愚直(ぐちょく)に追求した人というイメージで、一見短所に見える特質が結果として功を奏しているという点でも「器用貧乏」と対比されます。
「器用貧乏」仕事での悩み
不器用な人からすればちょっと羨ましい「器用貧乏」ですが、仕事上では器用であるがゆえの悩みもあります。器用はそれ自体で困った問題になることはないので、弱点をうまくマネジメントすることで長所として生かしましょう。
「器用貧乏」はオールラウンダーではない
「器用貧乏」には何でもソツなくこなせる人が多いですが、「オールラウンダー(万能選手)」と呼べるほど一つひとつのことに精通しているわけではありません。両者の違いはスキル(資格・能力)やキャリア(職務経験)といったの違いで、ここが「何でも屋」とオールラウンダーの分かれ目です。スキルを身に付けることで「器用貧乏」を脱出しましょう。
「器用貧乏」は雑用を頼まれやすい
職場でも、何かというと頼りにされやすいのが「器用貧乏」です。要領がよく仕事が早いためにいつも余裕があるキャラとして通っていたり、あの人は何でも知っていると思われていたりするので誰からも頼りにされますが、そのせいで自分の仕事がはかどらずイライラしてしまうことも少なくないでしょう。上司に環境改善を求めるほか、できないことはきちんと断る術も必要です。
「器用貧乏」の使い方や外国語表現とは?
「器用貧乏」を使った例文
四字熟語「器用貧乏」を使った例文をご紹介しましょう。
- 色々な習い事に通ってライセンスも取得したが、どれも大した特技にはならず「器用貧乏」に終わった。
- 「器用貧乏」と言われる人は、自分の才覚におぼれて努力を嫌うことが多い。
- 母は人からも博識を褒められる自称ゼネラリストだが、所詮は広く浅くの「器用貧乏」だ。
- あの人は自他ともに認める「器用貧乏」で何でも手作りするが、市販品を買った方が丈夫でしかも安い。
- 彼は結構な男前だが「器用貧乏」が玉にキズで、髪をいつもセルフカットするので見た目が冴えない。
「器用貧乏」の英語表現はVersatility never pays.
「器用貧乏」の英語表現をいくつかご紹介しましょう。
- Clever people are poor.(器用な人は貧乏だ)
- Versatility never pays.(器用貧乏)
- Versatility does not pay.(多芸は割に合わない)
- odd job.(何でも屋さん)
- jack of all trades(Jack of all trades and master of none.の略で、多芸は無芸)
「器用貧乏」の中国語表現は身通百艺,潦倒一生
「器用貧乏」の中国語表現をご紹介しましょう。
- 身通百艺,潦倒一生(器用貧乏・特技は多いが貧しい一生を過ごす)
- 样样通,样样松(多芸は無芸・中途半端で大成しないこと)
まとめ
「器用貧乏」は、「器用貧乏人宝」ともいいます。何でもソツなくできるのに大成しないという意味の四字熟語で、周囲の人には重宝がられるが自分自身は実入りが少ないという意味でも用いられます。何でもできること自体は悪いことではないので、さらなるスキルアップで「器用貧乏」を脱却しましょう。