「年休」って何?有給との違いや平均の日数・消化理由について解説

企業などに勤めている人が毎年与えられる年次有給休暇。「年休」や「有給」と呼ばれるこの休暇は、労働者に与えられる権利であり、働く人の心身の健康を守るために必要なものです。年休に定められている様々なルールについて解説していきます。

「年休」とは?

「年休」とは「年次有給休暇」のこと

「年休」とは、”年度ごとに定められた有給休暇のこと”です。「年次有給休暇」を略した言葉です。労働基準法で定められた賃金が発生する休暇のことで、毎年一定の日数与えられています。法律に基づく仕事をしている、社労士のような人は「年休」を使用し、企業などでは「有給」や「有休」を使用することが多いようです。

どれが正解ということはなく、会社の定休日を「有休」、賃金が支払われる休みを「有給」と使い分けているケースもあるようです

年休の取得理由は何でもOK

年休は労働者が休む権利として与えられているものなので、取得する理由は自由です。中には遊ぶ予定が理由では取得しにくいという会社もあるかもしれませんが、取得理由を会社に伝えなければならない義務はありません。申請書などで取得理由を書かなければならない場合は「私用」と書くだけ問題ありません。

年休消化が義務化される

年休消化の義務化に関する法案が2015年12月25日に閣議決定しています。

政府は「第4次男女共同参画基本計画」の中で「年次有給休暇取得率を70%にする」とし、具体的には、年間10日以上年休が付与される場合は必ず5日以上年休を取得しなければならなくなります。

「年休」の取得日数や条件とは?

公務員の年休の日数は年間20日

公務員は民間企業と比較して年休が取りやすいイメージがある人もいるかもしれません。公務員の場合、年休は年次休暇と呼ばれており、年間20日付与されます。

年休の平均使用日数が平成28年の調査で出ています。民間企業の平均使用日数が8.8日であるのに対して、地方公務員は11.0日、国家公務員は13.8日となっています。所属先や立場にはよるのですが、民間企業と比較すると比較的年休を取得しやすいことが読み取れます。

パートも条件によって年休の取得が可能

パートで働く人は時間給で働いているので年休取得ができないと思っている人も多いかもしれません。6か月継続してパートとして勤務していれば年休を取得することができます。これは年休が労働者の心身の健康を守るためのものであるためで、当然パートであっても条件さえ満たせば年休を取得する権利が得られるのです。ただし、勤続の期間だけでなく全労働日の8割以上出勤していることも条件として挙げられています。

この全労働日とはフルタイムで働いている人を10割としたものではなく、雇用契約上の労働日に当たります。つまり週3日で契約をしている人であれば、それをもとに6か月分の勤務状況から年休取得できるかどうかが決まるのです。

パートで取得できる年休の日数

パートでも、週5日勤務している人は正社員と同じ日数の年休が付与されます。週に数日しか勤務しない人は1年の所定労働日数によって付与される日数が異なります。

例えば、週1日勤務で年間48日から72日勤務している人は、半年継続すれば年休が1日、1.5年以降は2日与えられます。週4日勤務で年間169日から216日勤務している人は、半年で7日、1.5年で8日の年休が付与されます。

「年休」の買取り・繰越はできる?

「年休」の買取りは原則できない

年休は労働者に認められた権利であり、心身を休めてリフレッシュするために必要なものです。それをお金に換えることを認めてしまうと労働者が休む機会が与えられず、生産性を下げることにもつながりかねません。

年休の制度そのものの主旨に反しており、労働者にとって危険な状況を生む可能性もあるため原則できないことになっています。

「年休」の消滅分は買取りできることも

一部で年休の買取りが認められる場合があります。退職や時効などで年休が消滅してしまう場合や、法廷付与日数を超えた分に関しては買取りが認められます。

これは使えずに消滅してしまう年休の買取りであるため、制度の主旨に反していないと考えられるためです。

しかし、企業側に買取りが義務化されているわけではないので、会社と交渉次第ということになります。認められた場合は賞与として扱われます。退職時にもし買取りもしてもらえず、年休消化もさせてもらえない時、これは労働基準法違法となりますので労働基準監督署へ相談しましょう。

「年休」の繰越には時効と上限日数がある

年休には時効があり労働基準法で2年と定められているため、繰越できるのは翌年までになります。

通常の労働者の年休付与日数には規定があり、継続勤続年数が半年なら10日、1.5年なら11日となります。6.5年が最大で20日となり、これらの日数が1年後繰越される上限日数となります。年休の最大保持日数は勤続1.5年で21日、7.5年で40日となります。

まとめ

年休に関するルールを紹介してきました。繁忙期は避けるなどの配慮は必要ですが、正しい知識を身に着けて有意義に年休を消化するようにしましょう。適切な年休取得は自分自身の仕事の効率をあげるだけでなく、会社の成長に寄与するものにもなります。