「微力ながら」という言葉は、なかなかプライベートでは使うことのない言葉のひとつですが、ビジネスシーンの上で聞いたことがあるという人や使っているという人は多いのではないでしょうか。
基本的には相手に対して手助けしたり、手伝ったりする場面で使用する言葉になりますが、しっかりとした意味や使い方を実は知らないという人もいるかもしれません。そこでここでは、「微力ながら」の正しい意味や使い方をご紹介いたします。
「微力ながら」の意味・類語
意味は「力が乏しいですが~」、「力が足りないですが~」
「微力ながら」の意味は、「力が乏しいですが~」「力が足りないですが~」です。自分の力量に対する謙譲語になります。そもそも「微力」という言葉には、「力が乏しい」「力が足りない」などの意味があります。
実際に力があるかないかはあまり関係なく、相手に謙って(へりくだって)敬意を示す際に使用される言葉ですので、上司や取引先の方などの自分よりも目上の相手に使用する言葉だと言えます。
「微力ながら」の類語は「及ばずながら」「僭越ながら」
微力ながらの類語には「及ばずながら」や「僭越(せんえつ)ながら」などがあります。「及ばずながら」は、「力不足ですが」などの意味ががあり、主に相手を手助けしたり、協力したりする際に使用する言葉のため、「微力ながら」によく似た言葉だと言えます。
僭越ながらには、「失礼を承知の上で」や「出過ぎたことをいたしますが」などの意味があり、とくにスピーチをおこなう場面で使用することが多い言葉になるため、「微力ながら」の類語ではありますが、使用する場面は大きく異なります。
「微力ながら」の使い方
相手を手助けする際に使用する
「微力ながら」は、相手を手助けしたり、協力したりする際に使用する言葉になります。前述でも紹介したように、相手に敬意を示す言葉になるため、同等の立場の相手や目下の相手に対しては、堅苦しい表現になってしまいますので、目上の相手に使用するようにしましょう。
自身に対する期待を下げるのに便利
「微力ながら」という言葉は、実際に力がある、ないということを表現している言葉ではありませんが、「微力ながら」を使用することによって、相手の自身に対する期待を多少は下げる効果があると言えます。
相手を手助けしたり、協力したりしたとしても、思ったように成果を出せない場合もあるでしょう。そんな時に「微力ながら」という言葉を使用しておけば、多少なりとも相手の不快感を抑える可能性があります。
またそれとは逆に、思った以上の成果を上げた場合も「微力ながら」という言葉を使用していたことで、より大きな評価をもらえる可能性もあるでしょう。つまり、「微力ながら」という言葉は、自身への保身や自身への期待を下げる役割を持っているとも言えるのです。
「微力ながら」を使った例文
「微力ながら」という言葉は、以下のような言葉とつなげて使用することが多い言葉になっています。
- 微力ながらご協力させていただきます。
- 微力ながらお役に立ちたいと思っています。
- 微力ながら尽力させていただく所存でございます。
- 微力ながらお手伝いさせていただきます。
- 微力ながらご一緒させていただきます。
このように、まさに相手を手助けしたり、協力したりする際に使用する言葉ですので、使いどころはそれほど難しくないとも言えます。
微力ながらを使用するときの注意点
履歴書などでは使用を控えるのが吉
「微力ながら」という言葉は、実際に力量がないことを示す言葉ではありませんが、時と場合によっては「自信がない」ととらえられてしまうこともあります。
とくに、面接や履歴書などで「微力ながら」という言葉を使用してしまうと、「自信のない人」という印象を与えてしまう可能性があります。そのため、面接や履歴書のように、やる気やフレッシュさが求められる場面での使用にはふさわしくないとも言えます。
実際の力量とは関係ないとは言え、「微力ながら」は、「力が乏しいですが」「力が足りないですが」といったマイナスな意味になりますので、自身をアピールする場面での使用は控えたほうがよいでしょう。
嫌味な印象を与えてしまう場合も
「微力ながら」という言葉を使用する場合、相手との力量を考えて使用するということも重要です。「微力ながら」は相手に謙って使う言葉にはなりますが、あきらかに相手よりも自分のほうが力があるのに「微力ながら」と言ってしまうと、嫌味な印象を与えてしまいます。
そのため、相手よりも自分の力量が同等、もしくは劣っている場合や、お互いの力量がわからない場合などに使用するようにしましょう。
まとめ
「微力ながら」という言葉は、目上の人に対して謙って使えるというだけではなく、自身のハードルを下げたり、自身への保身などにも利用できる便利な言葉になっています。
そのため、とくにビジネスシーンではうまく活用しやすい言葉のひとつになっていますので、ぜひ「微力ながら」という言葉を自身のビジネスシーンのうえで役立ててみてください。