「いずれか」と「いづれか」どちらが正しい?意味や使い方も解説

「いずれか」と「いづれか」は、よく使われている言葉ではありますが、日本語としてどちらが正しい使い方か迷う人も多いのではないでしょうか。今回は「いずれか」をきちんと使いこなせるように、意味や使い方、類語を解説します。例文や英語表現もあわせて参考にしてみてくだい。

「いずれか」と「いづれか」正しいのはどっち?

現代的仮名遣いの「いずれか」が正しい

「いずれか」と「いづれか」は、どちらもよく使われている書き方ですが、強いて言えば「いずれか」が正しい書き方です。「ず」と「づ」は同じ読み方ですが、「ず」は現代的仮名遣いで、「づ」は歴史的仮名遣いです。

歴史的仮名遣いは、昔使われていた書き方ですので、使うことが間違っているとまでは言えませんが、現代では一般的に使われない書き方です。小説などで歴史的な雰囲気を出したい場合には、「いづれか」を使うこともあります。

「いずれか」の意味とは?

「いずれか」の意味は、「どれか」と理解している人も多いでしょう。しかし、あまり使われることはありませんが、「いずれか」には3つの意味があります。それぞれ解説します。

「いずれか」の意味1:「複数ある中のどれか」

一番よく使われているのが、複数ある中のどれかを選択する意味です。例えば「箱の中から、いずれか1つをお選びください。」という表現では、箱の中にたくさんのものが入っていて、その中からどれか1つを選ぶことを伝えています。

「いずれか」は、「どれ・どちら・どっち」などを表す「いずれ」に、2つ以上の言葉を並べて表す「か」がついた連語です。

「いずれか」の意味2:「どちらが~か」の疑問

使われることは少ないですが、「いずれか」には「どちらが~か」と疑問を表現することもあります。例えば「本物はいずれか」と書いてあった場合には、「どちらが本物か?」という疑問です。

「いずれか」の意味3:「いったいどれが」の反語

主に古文ですが、反語として使われることもあります。反語とは、「いったいどれが〇〇なのか。いやみんな〇〇ではない。」と反対の意味を含ませた言い方のことです。

例えば、古今和歌集の「いづれか歌を詠まざりける」は、「いったい誰が歌を詠まないことがあろうか。みんな詠む。」という現代語訳になります。

現代語で使うことはほとんどありませんが、あえて例文を表すと「我が社の製品のいずれかが偽物とおっしゃるのですか?」という表現では、「偽物のはずがない」という反対の意味を含んでいますので、反語と解釈できます。

「いずれか」の使い方の注意点は?

「いずれか」は両方を選ぶときには使わない

「2つのうち、いずれかをお選びください。」という場合、どちらか1つを選ぶのが一般的で、2つ選ぶことはできません。「3つの中からいずれか2つをお選びください。」という場合には2つになりますが、3つすべてを選ぶことはできないのが普通です。

辞書によっては「いずれか」の意味に、「どちらも」などの「両方」という意味が載っていることがありますが、現代では使われることは少ないでしょう。

反語の「いずれか」は「両方・すべて」の意味も含む

「いずれか」の意味で紹介した反語の場合は、両方の意味としても使えます。例えば、先に挙げた古今和歌集の「いづれか歌を詠まざりける」は、「みんな歌を詠む」ということを含んだ表現ですので、「両方」や「すべて」という意味だと解釈できます。

人に対して使うこともできる

「いずれか」の意味は、「複数ある中のどれかを選択する」という使い方ですので、言葉の用法上は人に対しても使用できます。例えば、「Aさん、Bさん、Cさんのうち、いずれかの人に伝えてください」といった使い方です。ただし「いずれか」を使わずに、「誰か」に置き換えたほうが、対象が人物であると明確で伝わりやすくなります。

「いずれか」を使った例文

「いずれか一つ」を使った例文

  • 以下の商品からいずれか1つをお選びください。
  • ドリンクはコーヒー、紅茶、オレンジジュースのいずれか1つになります。

「いずれかの日」や「いずれかの日程」を使った例文

  • 以下のいずれかの日で打合せをさせていただきたいと思います。
  • 5月下旬のいずれかの日程での開催を検討しております。

「いずれか一方」を使った例文

  • 食事管理と運動の両方を行った場合、いずれか一方よりもダイエットの効果が高い。
  • AかBのいずれか一方の条件がクリアできれば、この仕事は成功と言える。

「いずれか」の類語は?

「いずれか」の類語は「どちらか」

「いずれか」の類語に「どちらか」があります。「いずれ」は「どちら」という意味の代名詞ですので、「いずれか」を「どちらか」と言い換えても同じ意味になります。

「いずれか」と「どちらか」の違いは、「いずれか」の方が丁寧な印象を与えることです。ビジネスで使うときには、「どちらか、お選びください。」というよりも「いずれか、お選びください。」と表現した方が、きちんとした印象になります。

「いずれか」を英語で表現すると?

「いずれか」は英語で「either」

「いずれか」を直訳すると、「どちらか」という意味の「either」になります。例えば「AかBのいずれか」を英語で表現すると「Either A or B」となります。

文章によっては「いずれか」を直接英語にしない表現もあります。例えば「いずれかを選んでください。」は、「Please choose one.」となります。これは、選ぶという意味の「choose」を使うことで、「選択肢が複数ある中のどれか」という事が暗に表現されているためです。

まとめ

「いずれか」は、ビジネス文書やビジネスメールで使いやすい丁寧な印象を与える言葉です。本記事で紹介した例文を参考に、「どちらか」を言い換えるなど積極的に使ってみましょう。「どちらか」以外の意味も知っておくと、活用できる場面があるかもしれません。今後のコミュニケーションに役立てることができれば幸いです。