「赴任」の正しい意味と使い方!「転勤」「出向」との違いも解説

ビジネスで転勤が決まると必ず聞かれる言葉「赴任」。しかし実際のところ、「転勤」と「赴任」を混合していることも多く、正しく使い分けられていないようです。そこで「赴任」の意味と使い方を解説して、「転勤」そして「出向」などの似た言葉との違いも説明します。

「赴任」の意味と対義語とは?

「赴任」の意味は”新しい勤務先に赴くこと”

「赴任」の意味は、”新しい勤務先に赴くこと・出発すること”です。会社から転勤の辞令が出て、それを受けた社員が赴任先に行くことを指します。一般的には転居も伴います。

「○○支社に赴任が決まった」のように使います。

「赴任」の対義語は「着任」

「着任」(ちゃくにん)は「新しい仕事場で任務につくこと」で、「仕事を始める」という意味が含まれます。「赴任」には「新しい勤務地に赴く」という意味で仕事を始めるという意味はありません。そのため、「赴任」の対義語は「着任」になります。元の勤務地に戻るという意味の「帰任」が「赴任」の対義語ではないことに注目です。

ちなみに「着任」の対義語は「赴任」のほかに「離任」や「退任」もあります。「離任」(りにん)は「任務地や任務から離れること」、「退任」(たいにん)は「任務をやめること」、または「役目から降りること」を意味します。

「赴任」の使い方とは?

「赴任」はビジネスではよく使われる言葉のひとつですが、どのように使われているのか見ていきましょう。

使い方①「赴任する」

新しい勤務地に赴くときに、「赴任する」と使います。

使い方②「赴任地」

「赴任地」とは、移動した新しい勤務先のことで、勤務先の事務所の事ではなくて、事務所のある場所について指します。大阪事務所が赴任地だとしたら、大阪が赴任地です。

使い方③「海外赴任」

新しい勤務地が海外で相当期間暮らして働くことを、「海外赴任」と言います。
海外赴任とは海外に営業所などの事務所があることが前提で、「海外支社」「現地法人」「駐在人事務所」の3つの形態が考えられます。
海外赴任する人のことを、海外赴任者または駐在員とも呼びます。

使い方④「単身赴任」

家族のある人が、家族と離れて勤務地に赴くことを「単身赴任」と言います。
単身赴任を望まれる方の主な理由として、子供の教育や家族の病気、または持ち家の維持や配偶者の就労などが挙げられます。
企業によっては経済的かつ精神的な負担を軽くするために、帰省時の交通費の援助や別居手当などを設けている企業もあります。

「赴任」「転勤」「出向」の違いとは?

「転勤」は「勤務地が変わること」

「転勤」は、「勤務地が変わること」を意味します。会社は社員に対して「転勤」するように辞令を出し、それを受けた社員が新しい勤務地へと赴任します。

例文:
「大阪支店に転勤が決まった」
「転勤に伴い、大阪に引っ越す」

「出向」は「ある一定の期間を別企業に働きに行くこと」

「出向」とは「ある一定期間に別企業に行き働くこと」を意味します。「赴任」は企業内での勤務地の移動ですが、それに対して「出向」は別会社に行き働くことを意味します。

例文:
「系列会社に出向する」
「出向が決まり、出世コースから外れたのではないかと危惧する」

「赴任」の似た言葉とは?

ビジネスシーンでは「赴任」の似た言葉がたくさん聞かれます。そこでそれらの言葉の意味を解説します。

「帰任」とは「勤務地に戻ること」

「帰任」(きにん)とは一時離れていた勤務地にまた戻ることです。

「就任」は高い役職に就くこと

「就任」(しゅうにん)はある役職に就くことを意味しますが、実際には主に高い役職に就くときに使われます。

「配属」とは「社員の部署を定めること」

「配属」とは「会社が社員が働くべき部署を定めること」です。新入社員が入ってきて会社がどの部署で働くかを定めるときなどに使われます。

「新入社員を配属する」「総務部に配属される」のように使います。

「転属」とは「部署が変わること」

「転属」とは「部署が変わること」です。「転属」には配属の意味はありませんから、「企画部から総務部への転属が決まり配属された」などと使います。

「駐在」は「別の場所での任務のためとどまること」

「駐在」は「一定の場所にとどまること」という意味なのですが、ビジネスでは「ある相当の期間別の場所に行って任務のためにとどまること」を意味します。「海外駐在」や「駐在大使」のように使われます。

赴任時の挨拶メールの書き方と例文とは?

挨拶メールは辞令が発表されたらすぐに

赴任して最初に困ることのひとつが挨拶メールです。赴任先、それまでお世話になっていた部署や取引先などにも挨拶メールを出します。

挨拶メールを出すタイミングは、赴任先には人事異動が発表された日に、移動前の部署の関係者は着任日に、そして取引先には着任してからすぐに送ります。

挨拶メールは礼儀正しく

着任のための挨拶メールは新しい職場へのごあいさつ、またはお世話になった方々へのお礼のメールになりますので、ビジネスマンとして礼儀正しい文面になるようにしたいものです。

メール件名は「着任の挨拶」として、ビジネス文書の形式に従い「拝啓」に始まり「敬具」で終わるようにします。本文には必ず、いつ、どの部署に変わったのかを明記します。最後に、赴任先へのメールなら今後の抱負を、移動前の職場関係者へのメールなら感謝の意を書き添えます。

赴任先への挨拶メールの例文

拝啓

この度、10月1日付けで○○支社××部へ異動することになり、着任いたしました。

異動前は、△△支社にて新規開拓業務にあたっておりましたが、今後は○○支社の○○部長のもと、皆様のお役に立てるように努めて参る所存です。

わからないことも何かとあると思いますので、お力添えをいただけると幸いです。

メールにて恐縮ではございますが、着任の挨拶とさせていただきます。

敬具

(署名)

「赴任」の英語表現とは?

「赴任する」は英語で「leave for[役職/職務]」

「赴任する」を英語で表現すると、「leave for my new post」で「新しい役職のために赴く」という意味なります。「新しい任務のため」としたい時は、「leave for my new assignment」です。

例文:
”He leaves for his new post in Sapporo.”
「彼は新しい職のため札幌に赴く」
”She left for her new assignment in Osaka.″
「彼女は大阪に新しい職務のため赴いた」

まとめ

ビジネスでもよく使われる「赴任」は「新しい勤務地に赴く」という意味です。「勤務地を変わる」という意味の「転勤」とは意味が異なりますので、使い方を間違えないようにしましょう。また似た言葉も多いので、それぞれの意味を正しく理解するようにしましょう。

 

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。