「八十八夜」に何をする?意味と「農の吉日」・唱歌『茶摘』も解説

「八十八夜」とは「立春から88日目の日」のことで、春から夏へと変わる頃を指しています。八十八夜に摘んだ新茶は縁起物として知られていますし、「農の吉日」とも呼ばれています。

今回は「八十八夜」の意味や「農の吉日」と呼ばれる理由のほかに、「八十八夜」に行われる行事や八十八夜が歌詞に出てくる唱歌も解説します。

「八十八夜」の意味と読み方

「八十八夜」とは「立春から88日目の日」のこと

「八十八夜」とは「立春から88日目の日」のことで、雑節(ざっせつ)のひとつです。雑節とは、日本の暦で季節の変わり目となるような日のことを指しています。節分や立春、立夏なども雑節になります。

「八十八夜」は春から夏へと移り変わる頃で、八十八夜以降は、晩霜(ばんそう)と呼ばれる春の終わりにできる霜も出ないようになると言われています。

「八十八夜」は種まきも始める「農の吉日」

「八十八夜」の「八」「十」「八」を組み合わせると「米」という字になることと、「八」という字が末広がりで縁起がいいことから、「農の吉日」と言われてきました。

また「八十八夜」を過ぎると晩霜がなくなるため、種まきに適した季節だと考えられています。「八十八夜」が農作業を始める目安となり、八十八夜を機に農家の人たちは畑に出て働き始めます。

しかし「八十八夜の別れ霜」という言葉もあり、寒暖の差が激しいことからまだ霜が降りることもあります。そのため、農作物に遅霜の被害が出ることもあるので、地域によっては天候に注意する季節だとも考えられています。

「八十八夜」は春の季語

「八十八夜」は立春から88日目ということもあり、春の季語です。特に晩春から初夏をイメージさせる言葉で、俳句にもよく使われてきました。

「八十八夜」は「はちじゅうはちや」と読む

「八十八夜」は「はちじゅうはちや」と読みます。「八十八」は素直に数字として読み上げて、「夜」は音読みの「や」になります。

2022年の「八十八夜」はいつ?

2022年の八十八夜は「5月2日」

2022年の八十八夜は、5月2日(月)です。2022年の立春が2月3日なので、それから88日目になる5月2日が、今年の八十八夜になります。

八十八夜は毎年5月2日ごろ

八十八夜は毎年5月2日ごろで、日付は固定されていません。なぜなら立春が毎年変動するからです。

2023年の八十八夜は今年と同じ5月2日ですが、2024年と2025年は5月1日です。

「八十八夜」では何をする?

「八十八夜摘み」は新茶を摘む行事のこと

「八十八夜摘み」は新茶を摘む行事のことで、八十八夜にお茶畑でお茶の芽を摘みます。今年一番に摘まれた新茶は「はしり茶」とも呼ばれて、香りが高く、味もさわやかなことから、一年を通しても質のいいお茶として重宝されています。

生産量も多いこの時期のお茶ですが、八十八夜に摘まれたお茶は、新茶の中でも特に縁起の良いお茶と言われています。八十八夜に摘まれたお茶を飲むと、その年は無病息災でいられて、不老長寿を叶えるとも言われています。

八十八夜の定番の食べ物はない

八十八夜に定番の食べ物はないのですが、地方によってはお粥をお供えするところもあります。また、正月15日の小正月に粥占(かゆうら)を行う習慣のある地方では、その粥占に使った粥かき棒を田へと水を引き入れる口の水口(みなくち)を立てて、そこに焼き米をのせる風習があるところもあります。

「八十八夜」に漁に出て豊漁になることも

地域によっては、「八十八夜」は漁の目安にもなっています。例えば瀬戸内海では、3月から4月の頃の豊漁の時期を「魚島時(うおじまどき)」と呼びます。この時期は産卵のために魚類が増えるため、豊漁となることが多いのです。八十八夜はちょうど「魚島時」にあたるため、八十八夜を目安に漁に出ることもあるでしょう。

「八十八夜」の歌とは

唱歌『茶摘』は「八十八夜」が歌詞に出てくる歌として知られる

夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る…

『茶摘』

上記の歌詞で始まる『茶摘』という歌は、「八十八夜」が歌詞に入っている歌として有名です。文部省唱歌で、春から夏にかけて見られる茶摘の光景を歌っています。弾むようなリズムでテンポもいい曲ですが、作詞家、作曲者ともにわかっていません。

『茶摘』は1912年(明治45年)に刊行された『尋常小学校・第三学年用』のなかの1曲として掲載されて、2007年には日本の歌百選にも選ばれました。また、『茶摘』は手でお茶の芽を摘む動作をしながら歌われる手遊び歌としても歌われることがあります。

『茶摘』は小学校の教科書では『茶つみ』と表記

『茶摘』という歌のタイトルは「摘」という漢字を小学校では習わないため、小学校の教科書では『茶つみ』と表記されます。「摘」という漢字は中学1年生で習う常用漢字です。

まとめ

「八十八夜」とは「立春から88日目の日」で毎年5月2日頃です。種まきをする目安であり、また八十八夜に摘まれたお茶は、その一年は無病息災、また不老長寿が叶えられる縁起の良いものとして知られています。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。